2011年チェコ映画。

 良くできたサスペンス&ミステリー。
 監督の確かな演出の腕が光っている。映像も良い。
 終わりまで観て、もう一度始めから繰り返し観たくなる映画である。登場人物の一人のその場その場の表情を確認するために・・・・。すると、二度目はその役者の上手さが光って見える。
 テーマは何というか、因果応報というか自業自得というか。人倫にもとる行為をした人物たちが最後には揃って罰を受けることになる。
 チェコの国民性は知らないが、意外と倫理観の強いお国柄なのだろうか。
 外務省のホームページを見ると、こうあった。 

チェコの宗教は、人口の約58%が無宗教、約26%がローマ・カトリックを信仰しています。公用語はチェコ語で、英語は観光地や大都市ではある程度通じます。
 チェコ人の国民性は、概して穏和かつ理性的で暴力を嫌うと言われています。http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure.asp?id=163)  

 そう言えば、映画の中で宗教的な匂いのするシーンは一つもなかった。「穏和かつ理性的で暴力(破綻)を嫌う」というところは、この映画の主人公トマシュ医師そのものである。その性格があだになって、トマシュは罪のぬかるみにはまりこんでしまうのだ。
 トマシュの児童性虐待疑惑の捜査を担当することになった刑事ラダもまた同様だ。
 ラダは、15年前自分を裏切ってトマシュに走った前妻ミラダに未練たらたら。そのミラダに面と向かって罵倒されるシーンがある。普通にプライドある男なら当然カッとなるような侮辱のされようである。アメリカ人や韓国人なら殴っているだろう。ラテン系の男ならその場で首を絞めているかもしれない。日本人でさえ、相手に唾を履きつけるか、追い返すかするだろう。
 ラダは冷静に対応し、その場を離れて、なんと泣くのである。 
 これが刑事役として通るのなら、チェコの男は少なくともマッチョではないらしい。
 
 本筋とは関係ないが、一番の驚きシーンであった。



評価:B-

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」     

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」
    
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!