●歩いた日  10月30日(水)
蓑山 014●天気    晴れのち曇り、夕方豪雨
●タイムスケジュール
10:05 西武秩父駅着
      慈眼寺
10:42 秩父鉄道・御花畑駅発
11:00 秩父鉄道・親鼻駅着
      歩行開始
      萬福寺
12:15 見晴らし園地
13:00 蓑山頂上
      昼食休憩
14:30 下山開始
15:10 和銅開珎遺跡
      聖神社
15:45 和銅黒谷駅着
      歩行終了
●所要時間 4時間45分(歩行3時間+休憩1時間45分)

 蓑山は「美の山」とも書き、春から秋にかけて、フクジュソウ、桜、つつじ、アジサイ、ユリ、紅葉と次々と目を楽しませてくれる景観が繰り広げられる。低山であるが独立峰なので、東西南北、素晴らしい展望がひらけている。足で稼いでナンボ(?)のハイカーとしては、山頂まで車で行けてしまうのがかなり興ざめなのであるが、日の短い季節に日帰りでゆっくり歩くには絶好の山と言える。
 
 西武秩父駅から秩父鉄道・御花畑駅までは歩いて5分。秩父仲見世通り(アーケード)の中を進む。
 列車待ちの間に御花畑駅そばにある慈眼寺を拝観する。
 ここは秩父34ヶ所観音霊場(札所)第十三番にあたる曹洞宗のお寺で、目のお寺として知られる。禅寺とは思えないような凝った派手な作りの立派な本堂に目を奪われる。本尊は行基作といわれる聖観世音。そのやさしい笑みに目でたさもひとしお。
 老眼に悩まされる昨今、「いつまでも眼が健やかでありますように」

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 秋の野花に囲まれた秩父鉄道・親鼻駅から国道140号を渡って、萬福寺に入る。真言宗のお寺で境内には弘法大師の像がある。寺門の横に並ぶ六地蔵がなんとも和やかな風情。

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 お寺の先の小川を渡ったところが登山口。
 雑木林の山道は単調で、木の間から国道が見えることもあり、「山に来た~」という喜びはいま一つ。
 歩きながら、仕事のこと、人間関係のこと、いろいろ思いにふけってしまう。
 せっかく山に来てもこれでは意味がない。「木を見て森を見ず」どころか目の前の「木」すら見ていない。ただ自動的に足を運んでいるだけ。
 思考に支配されて周囲の自然が楽しめないのはもったいない。
 右足、左足、右足、左足・・・・・と歩く瞑想(ヴィパッサナー瞑想)を行い、心を思考から引き離す。

 そろそろ休憩が欲しくなった頃に見晴らし園地に到着。
 木のテーブルといす、山頂一帯に整備された美の山公園のマップが立っている。名前の通り、見晴らしも良い。

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 ここで、便意を催す。
 マップを見ても近くにトイレはない。
 山頂のトイレまで我慢できるか。
 それとも・・・・。
 
 人生で○回目の野グソをしてしまった
 大人になってからで思い出せるのは、
  1回目 秋吉台(山口県)の広大な秋の草原
  2回目 ポンペイ遺跡(ナポリ)の住居のトイレ
  3回目 三国山(東京都)
 そして、4回目、美の山公園を汚してしまった。
 山道から離れたところでやりましたので、ご寛恕のほど。
 しかし、立ちションもそうだが、自然の中での排泄行為はなんとも解放感がある。自分が大自然の循環の一部になったような気がする。単なる露出症?

 腹が落ち着いたところで出発。

 光あふれる気持ちのよい杉の道を抜けて、蓑山神社に着く。
 ご祭神は、大山祇神(おおやまつみのかみ)、大己貴神(おおむなちのかみ)、稚産霊神(わくむすびのかみ)。順に、山の神、農業の神、穀物の神として知られる。その昔、長雨続きで農作物に被害が出始めたときに、国司の秩父彦命がこの山に登り晴天祈願をしたところ雨が止んだ。その際に着ていた蓑を松の木にかけたのが「蓑山」という名前の由来になったと言う。農業、穀物の神が祀られていることと符合している。
 この神社の狛犬は、二体ともガリガリに痩せていて、犬というより狼のようである。


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 ひと登りで山頂に着く。
 売店やインフォメーションセンターや時計台やNHK中継塔が立ちベンチが並ぶ山頂は、広々としてまさに公園。中継塔の奥の殺風景な空き地にピークを示す標示がある。ここにもベンチやテーブルがあるが、さすがにここで弁当を広げようとは思えない。

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 展望塔から観る四方の景色はさすがに見事。
 南に秩父盆地と荒川を抱く武甲山が雄雄しい。西に黒曜石のテーブルのような両神山。北は破風山、城峰山。東は高原牧場、大霧山を見渡す。

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 ベンチに座り東側の山々を見ながら昼食をとる。
 空はすっかり秋のものだが、紅葉には早い。花の盛りも終わった。
 山頂で見かけたのは10名そこら。装備を見るに、自分以外はほとんど車かバイクでやってきた人のようである。
 
 下山は黒谷方面へと降りる。
 山道を抜けたあたりで目に入る里山の風景は、日本の原風景とも言える懐かしさと安らぎを与えてくれる。自然と一体化した暮らしの中で、人々は自分たちを見守る山々(武甲山や両神山)を神のように思ったのであろう。その武甲山も今では石灰石の削り過ぎで目も当てられない醜悪な姿になってしまった。


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 705年(飛鳥時代末期)、この黒谷の地から和銅(自然銅)が発見された。
 これを喜んだ元明天皇は年号を「和銅」と改め、日本最初の流通貨幣を鋳造する。
 和銅開珎(わどうかいちん)である。
 その後、都は奈良(平城京)に移り、律令制が整えられていく。
 銅の採掘された山のふもとに大きな和銅開珎の記念碑が建っている。脇を流れる清流が涼やかである。

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 銅の発見を祝して、守護神として金山彦命(かなやまひこのみこと)を祀ったのが聖神社である。この神は鉱山の神と言われている。秩父では江戸時代まで銅採掘、その後セメントが続いたのだから、この神はご利益大である。
「お金に縁がありますように」
 おみくじを引いたら「大吉」であった。


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 和銅黒谷駅は昔の寺小屋のような味のある外観。
 西武秩父駅まで戻って、仲見世通りで天ぷら蕎麦を食べていたら、一転空はかき曇り、どしゃぶりとなった。

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