●歩いた日  12月8日(日)
●天気    くもり時々晴れ
●タイムスケジュール
10:00 富士急行線「富士山駅」発平野行きバス発車(富士急山梨バス)
10:37 平野バス停着
石割山 00110:45 歩行開始
11:45 石割神社着
12:05 石割山頂上
      小休止
12:30 下山開始
13:00 平尾山
13:30 大平山
      昼食休憩(20分)
14:40 大出山入口バス停(山中湖畔)
       山中諏訪神社~山中浅間神社
15:15 富士山山中湖(ホテルマウント富士入口)バス停着
      歩行終了
●所要時間 4時間30分(歩行3時間30分+休憩60分)
●最大標高差 430m
●歩数   17,900歩

 地図で見ると石割山と富士山の距離は16キロ。間に山中湖を挟んで視界をさえぎるほどの山がない。もっとも富士山がよく見える山の一つである。
 冬の晴天の午前中に行けば、フットライトをいっぱいに浴びた大スターの如く、山中湖に反射する日光を受けて燦然とそそり立つ富士山の圧倒的な迫力と美しさとにしびれること間違いなし。
 しかし今日は朝から曇りがちであった。
 中央線で大月に向かう途中「今日は視界がいまいちかも」と思ったけれど、「なにも富士山を見るばかりが山登りではあるまい」と達観して計画を遂行した。
 最近の自分の一番の目的は「山の‘気’に触れる」ことにある。できるだけ良い‘気’に触れて心身を清浄に保ちたいと思うのは、おそらく自分自身の‘気’が弱いために普段周囲にある良くない‘気’を溜め込みやすいせいなのだろう。疲れやすいのがその証拠。
 いや、年齢のせいか。
 
 知らないうちに富士山駅と改称されていた昔の富士吉田駅で下車して、バスを待つ。やはりここまで来ると外に居続けるのはきびしい寒さである。待合室で、つなぎの上にノースフェイスのレインパンツを身につける。

石割山 003


 平野バス停で降りたとき、空はほとんど雲に覆われていた。
 日曜なのでハイカーが多いかと思っていたが、共に下りたのは6名ほどであった。
 そこから石割神社の鳥居がある登り口まで車道を歩く。
 ここから350段以上あるという階段が始まる。
 上を見ると切りがない。
 ヴィッパサナー瞑想の出番だ。足元だけを見て「右、左、右、左」と足の裏に意識を向けながら、一段一段着実に土を踏みしめる。
 すると、天を突くような長い階段も途中で息が切れることも、へたばることもなく、登れてしまう。
 遠い立派な目標を見続けるより足元の着実な一歩が大切という教訓のようだ。

石割山 004

石割山 005


 案内板によると、この神社の主祭神は天手力男命(あまのたじからおのみこと)。古事記にある天岩戸伝説の中で、アマテラスオオミカミがお隠れになった岩穴の扉の石を素手でこじあけた力自慢である。なぜこの神が祭神なのか言うと、石割神社のご神体が大岩で、天岩戸の扉と目されたからである。
 天岩戸と伝えられている岩を見たのは、戸隠神社(長野)天岩戸神社(高千穂)に続き、これで3枚目である。
 この大岩には高さ15メートル、幅60センチ、長さ15メートルの割れ目がある。その隙間を時計回りに3回通り抜けると、運が開けると言われている。
 もちろん、3ベン回って拍手を打った。
 ご利益のほどはともかく、このように人ひとりがなんとか通れる幅の割れ目が自然にできたということに驚きを感じる。(たぶんマツコデラックスや森久美子あたりだと通れないだろう。)


石割山 007


石割山 009


 神社から山頂まではあっという間。
 今日の登りは楽だった。
 ここに至るまで出会った人は少なかったのに、山頂には数十名のハイカーがそこかしこの草むらで休憩と展望を楽しんでいた。自分は遅出組だったのだ。
 思ったとおり富士山はすっぽり雲のかげ。
 慈悲の瞑想で祈ってみること20分、ほんの少し姿を見せてくれた。
 慈悲の瞑想は効く。


石割山 010

石割山 011


石割山 012


 ここから富士山を真正面にした緩い下りの尾根が始まる。
 木も草も枯れて熊笹のみがアクセントをつける山道を行くと、平尾山に着く。
 冬の午後の柔らかい日差しと山中湖の静かな照り返しにまどろむような芙蓉台別荘地が印象的。ミレーの絵のようだ。

石割山 013

 

石割山 015


石割山 017


 山中湖を一望する大平山で遅めの昼食をとる。
 もはや肌寒いので長居は無用。
 飯盛山、長池山、足早にいくつかのピークを越えて、個性豊かな建物が楽しい庶民的な別荘地を通り抜けて山中湖畔に出る。
 水際にはたくさんの白鳥がいた。人なれしているのか、近づいても逃げ出す気配がない。

石割山 020


石割山 021


 バスの時刻まで間があるので、湖畔の神社をめぐる。
 山中諏訪神社は、安産、子授けの社として知られている。確かに、夫婦らしきカップルが拝んでいた。祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと)。妊婦が神輿を担ぐという全国でも珍しい例大祭(はらぼて祭)がある。ここでおみくじを引いたら大吉だったのだが、安産も子授けも考えたら関係なかった。

石割山 023


 山中浅間神社は、富士山信仰の社。境内と参道に杉の木が立ち並ぶ清浄な感じのする神社である。社の正面の左右に、狛犬よろしく、木で作られた犬か馬の像が置かれていた。いいや、角があるところを見ると鹿? クリスマスが近いからトナカイ?
 誰が、なんのために?
 不思議である。 

石割山 026


石割山 025

 
 日本の山登りは、つまるところ神社巡りに帰着するということが最近ますます実感される。