2012年アメリカ映画。

 弦楽四重奏は、第1バイオリン、第2バイオリン、ヴィオラ、チェロの4つの弦楽器によって構成される。

 結成25年目を迎えたプロの弦楽四重奏団「フーガ」は、父親格のチェロ奏者ピーター(=クリストファー・ウォーケン)がパーキンソン病にかかったことから、突如メンバー交代の節目を迎える。それがきっかけとなって、残り三人の奏者の心の中でくすぶっていた様々な思いが浮上し、人間関係に齟齬が生じていく。事態は混乱の極みに達し、ピーターの引退公演を直前にして「フーガ」は解散の危機に陥ってしまう。
 ――という人間ドラマが、「フーガ」の十八番であるベートーヴェン《弦楽四重奏曲第14番》の調べをモチーフにしながら進行していく。登場人物の性格や心の動きにのっとった無理のないドラマ展開、セリフの自然さ、演じる四者(第1バイオリン:マーク・イヴァニール、第2バイオリン:フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィオラ:キャサリン・キーナー)の滋味ある演技。芸術家のドラマとしても通用するくらいの良く取材され練られた脚本。人生の秋を迎えた大人達の鑑賞に堪える佳品である。
 
 クリストファー・ウォーケンと言えば、いまだに『ディアハンター』のイメージが強いが、相変わらずの演技達者ぶりである。存在感も別格。
 ピーターの亡き妻ミリアムを演じているのは、実在の有名な美人メゾソプラノ歌手アンネ=ゾフィー・フォン・オッター。彼女の出演シーンはピーターの回想中のほんの一シーンだけだが、その歌声は艶やかな気品に満ちたもので、はっと耳をそばだてさせる。

 ベートーヴェン《弦楽四重奏曲第14番》を聴きたくなること間違いなし。


評価:B-

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!