この時期、高知がカツオのたたき攻勢だとしたら、愛媛はもちろんこれである。


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国道沿いの無人販売所に投げ売りのような価格で山と積まれている。
遍路でなければ喜んで5袋くらい買っていくのに、いかんせん重荷になる。
泣く泣く見送ることになる。

ある瀟洒なデザインの休憩所で休んでいたら、ミカンの袋を抱えた40代と覚しき男がやって来た。
靴下まで脱いでくつろいでいるソルティを見て、ちょっとビックリしている。
なんと遍路のための休憩所(遍路小屋)かと思っていたら、無人販売所だったのだ。

恐縮して謝ったら、
「良かったら、倉庫のほうで休んでください」
と言う。
まったく四国の民ときたら・・・・・!

「もう十分休んだので出発します」
と言うと、彼は手にした袋の中からミカン2個取り出して、こちらに差し出した。
「重荷になるから、たくさんはかえって迷惑でしょう」
よく分かっておられる。

その後の道中もミカン接待は続き、結局一日で半ダースもいただいた。
当地ではビタミンC不足の心配はなさそうだ。


それにつけても、地域の人々のお遍路サポート魂には驚くばかり。
個人的なお接待はむろんのこと、各地域で「遍路小屋」と呼ばれる東屋風の休憩所を建て、お遍路さんが疲れた足を休めるよう便宜を図ってくれる。
今日利用させてもらった愛南町の休憩所など、トイレ併設、エアコン付き、コーヒー・日本茶・紅茶サービス、まさに至れり尽くせりであった。
ほんと頭が下がるm(_ _)m


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こうした休憩所の多くには落書きノートが置かれていて、利用した遍路たちがメッセージを残せるようになっている。
当然、感謝の言葉が並んでいる。

ソルティも一筆書いて、ページをめくりながら他の遍路のメッセージをさかのぼって読んでいたら、高知市の宿で相部屋になった台湾人の青年と、足摺岬の宿で夕食を共にしたアメリカ人女性の名前を見つけた。

彼らもここに寄って休んだのか!

なんだかうれしい再会だった。