なんとも不思議な巡り合わせで、今日は因縁の大歩危に行ったのである。



IMG_20181120_202830



阿波池田の宿を発って別格15番箸蔵寺を打ち、また同じ宿に戻る。歩行距離20㎞弱の、いわゆる「打ち戻り」が本日の予定だった。
午後2時頃には歩き終わってしまうが、箸蔵寺から19㎞離れた次の雲辺寺(標高910m)まで行くにはちょっと無理がある。
たとえ行けても宿泊に困る。

そんな話を昨夕、宿の管理人さんにしたら、
「それなら、昼から大歩危に連れて行ってあげよう。車ですぐだから」
と言われる。
感謝感激何とやら、お願いした。


箸蔵寺は見事な古刹だった。
広い境内は晩秋の澄んだ大気に被われて、紅葉が陽の光に燦めいていた。
無事打ち終えて、寺の駐車場でランチし、管理人さんの車を待った。
小春日和である。


吉野川沿いに国道32号線を登って行き、祖谷口橋(いやぐちばし)、小歩危、大歩危と巡る。
途中からは、祖谷川沿いの雄大な渓谷を縫うように走って、有名な「祖谷のかずら橋」に寄った。


IMG_20181120_202710



名産の祖谷そばを食べたり、アスレチック施設のゴーカートに乗ったり、たくさんの外国人(台湾人が多い!)に混じって土産物屋を覗いたり、観光客そのものの半日。
遍路の身であることをつい忘れそうになった。


こんなラッキーな経験ができたのは、ソルティの人徳ゆえーーではない。
数日前から、アメリカ人女性と一緒に歩いているおかげである。

彼女との馴れ初めはそのうち触れるとして、「たった一人ではじめての四国遍路をしている外国人女性」を目の前にして、四国民の誰が優しくしないでいられようか?
しかも、彼女は愛嬌があり、礼儀をわきまえており、なかなかの美人と来ている。

彼女に降り注ぐ厚いお接待の余波が、一緒に歩いているソルティに及んでいる。
いわば、おこぼれに預かっている?

もとい、計算ずくで一緒にいるわけではない。
「もちつもたれつ」の関係だと思う。
日本語がそれほど達者でなく、携帯電話を持っていない彼女の代わりに、これまで何度か宿の予約を代行した。 

昨晩は同じ宿に泊まり、今日は出発時刻は違えどーーー歩く速さが違うのでーー箸蔵寺を同時に打ち終え、駐車場で管理人さんの迎えを一緒に待ったわけである。

ソルティだけだったら、ここまではしてもらえなかったと思う。


数日一緒に過ごしてみて気づいたのだが、似たもの同士で、彼女もよくボケをかます。
今日は、寺に行く途上、カメラと杖の置き忘れをして都合3㎞ロスしたと言う。

大ボケ&小ボケコンビかも・・・。


IMG_20181120_123318


泊まっている宿から見える吉野川風景。
この風景に惹かれ、「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」の林芙美子は、この町に10日滞在したそうだ。

納得!