1982年松竹、角川春樹事務所
111分

 第1回横溝正史ミステリー大賞・斎藤澪の同名小説の映画化。

 横溝の名を冠するだけあって、呪わしき因縁と血みどろの殺戮と結末の後味悪さが際立つ陰鬱な作品。ほんと、なんであの時代、こんなものが流行ったのだろう?
 日本列島が改造し尽くされ、高度経済成長が頂点を極めてプラトー(高原状態)に入り、一億総中流が叫ばれた、まさにバブル突入前夜、前近代の暗さとグロテスクを纏った横溝ワールドが浮上したのは、思えば不思議な符号だった。
 
 『妻は告白する』など若尾文子とのコンビで才気を見せた増村保造監督の最後の作品であり、岩下志麻との(おそらく)唯一のコラボレイションということで要チェック。それ以外は、岸田今日子のいつもながらの怪演が印象に残るばかりで、説明ゼリフが多く、増村の演出は光らず、全体的に凡庸な作品である。志麻姐さん得意の勝気と狂気もここでは岸田に押されて開花せず。役柄損とは言え、相手が悪かった。
 冒頭すぐ、胸をはだけて殺される被害者役の畑中葉子(「カナダからの手紙」)が哀れにも懐かしい。


評価: ★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損