2017年イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作
脚本 ジェームズ・アイヴォリー
原作 アンドレ・アシマン『Call Me by Your Name』
130分

 ハンサムなアメリカ青年とイタリア美少年のひと夏の恋を描いたボーイズラブ&成長物語。
 北イタリアが舞台で、ジェームズ・アイボリーが脚本を書いているせいか、『眺めのいい部屋』や『モーリス』と同系統のエレガンスが行き渡っている。一幅の絵のように完成された美しい物語が展開される。腐女子、要チェックの映画である。
 
 全編これ「THEイタリア」と言いたくなるような映像&音響が続く。光線の加減、色彩、空気感、木々の緑、湖水の煌めき、雨音、中世の建物、贅沢な食卓、彫刻や音楽、話好きで享楽的な人々。
 「キャメラ、いいなあ~」と感心していたら、撮影のサヨムプー・ムックディプロームはタイ映画『ブンミおじさんの森』(2010年)を手がけた人。さすが、いい仕事している。
 
 ルカ・グァダニーノ監督の名前ははじめて聞く。ウィキによれば、1971年シチリア州パレルモ生まれ。影響を受けた映画や監督に、『アラビアのロレンス』、『サイコ』、大島渚、鈴木清順、溝口健二、押井守、宮崎駿の名を挙げている。親日家なのだろう。ゲイかどうかは不明。アイボリー(もう90歳!)はカムアウトしている。
 
 時代は80年代初頭なので、現在のような国際的LGBT潮流はなかった。周囲の目を忍びながら、かつ自分自身のセクシュアリティ(欲望)に戸惑いながら、次第に魅かれあい、牽制しあい、ついには結ばれて別れていく二人の姿が丁寧に描かれている。北イタリアが舞台のしのび逢う恋という意味で、「ロミオとジュリエット」に近いものを感じた。

 続編に期待。



評価: ★★★

★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損