1966年大映
79分

 雷蔵=狂四郎8作目(よ~見る!)

 敵役に天知茂を配しているのが見物。
 この男優は何と言っても明智小五郎のイメージが強い。
 着物よりスーツ。
 草履より革靴。
 刀よりピストル。
 鬢付け油よりポマード。
 ふんどしよりブリーフ。
 ・・・・・・

 時代劇はどうかと思ったが、渋くてダンディで、狂四郎と対照的な白い着物姿もサマになっている。
 イイ男は何を着てもイイ男ってことだ。
 実際、主役の雷蔵を喰うほどの存在感である。

 脚本が7作目まで連続の星川清司から伊藤大輔に変わっている。
 星川の散漫な脚本にいい加減飽いていたので、新たな書き手に期待大で観たのだが、今回もまた出来は芳しくない。
 話の筋が入り組んで登場人物も多く、いったい誰が敵で誰が味方かよくわからない。
 説明ゼリフが多く、そのたびテンションが損なわれる。
 雷蔵=狂四郎もよく喋る。
 が、冗舌な狂四郎はカッコ良くない。
 しかも、何の罪もない江戸の庶民を救うために闘うという大上段の正義を語る。これまでのニヒルな狂四郎キャラとちょっと違う。原作者の柴田錬三郎は試写を見て「これは(自分の)眠狂四郎ではない」と語ったとか・・・。
 
 三隅監督のスタイリッシュな映像が見事なだけに、もったいない。
 思うに、柴田錬三郎の小説(ソルティは読んだことがない)が脚本化しにくいのかもしれない。


評価:★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損