1968年大映
80分
雷蔵=狂四郎シリーズ第11作。
脚本は星川清司。
狂四郎の敵役として、川津祐介と緑魔子が出演している。
11代将軍家斉の妾が産み落とし、所行不届き故にお膝元から追われた双子の兄妹という設定である。
この緑魔子がいい。
60年代から現在までたくさんの映画やテレビドラマに出演しているが、注目したのはこれがはじめて。
ウィキ「緑魔子」によると、
華奢な肢体に大粒な瞳の身体が放つ独特な小悪魔的に甘い声と存在感で1960年代から70年代にかけて個性的な役柄を多く演じ、「小悪魔路線」の加賀まりこと共に人気を博する。「虚ろな表情と倦怠的な雰囲気」は70年代に流行する若者気質の先取として桃井かおりや烏丸せつこら「無気力演技派女優」のルーツとも評される。
本作はまさに緑魔子の小悪魔的魅力が存分に発揮されている。
川津祐介扮する残虐な兄と近親姦の関係にあり、兄の嫉妬により二人の夫を毒殺される。
ひどい頭痛から逃れるために城下の若い男女を拉致監禁し、思うがまま惨殺する。
見ようによっては、兄の犠牲となった可哀そうなお姫様。
ローマ皇帝カリギュラとその妹ドルシラ、あるいはチェザーレ・ボルジアとその妹ルクレツィアを連想した。
おそらく、シリーズ中もっとも耽美的、背徳的、嗜虐的な一本。
東宝にも松竹にも日活にも真似できない大映らしさが光っている。
評価:★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損