2012年竹書房

 2011年に新潮選書から発行された溝口敦著『暴力団』を、4人の漫画家(鴨林源史、沖田龍児、根本哲也、田丸ようすけ)により作画、コミック化したもの。暴力団入門――というと語弊があるか――暴力団の基礎知識といった内容である。
 溝口は、『食肉の帝王』、『池田大作「権力者」の構造』、『山口組動乱 ‼ 』などで知られるジャーナリスト兼ノンフィクション作家。

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 現在、オレオレ詐欺やネット犯罪や貧困ビジネスなど、いわゆる半グレ集団の犯罪が社会問題化している。社会構造の変化や暴力団対策法などの締め付けにより、暴力団であることのうまみが減じているためと言われる。このあたりは東海テレビ制作の傑作ドキュメンタリー『ヤクザと憲法』でも触れられていた。
 溝口によると、「近い将来、暴力団は零落して四散し、いくつもの小さな犯罪集団に、つまりマフィア化への道をたどるだろう」とのこと。

 ときに、今年1月、山口組が『絆會(きずなかい)』と名称変更したというニュースを耳にした。
 「マジ? 今後マスコミは事件報道に際して、山口組という代わりに絆會のメンバーが云々・・・と言わなければならないのか?」
 と思っていたが、改称したのは日本最大の指定暴力団・六代目山口組そのものではなくて、山口組を源流とする一派「任侠山口組」であった。
 絆會は、山口組の内部抗争により分裂発生したグループで、大本の山口組とは敵対関係にあるらしい。
 
 それにしても、「絆會」とは、福祉系 NPO 法人のよう。
 ネット検索したら、実際に、「きずな会」、「絆の会」と名乗るNPOが全国各地にあった。
 NPOにしてみれば、迷惑千万な話であろう。
 メディアは、わざわざ、暴力団が自称する名前で呼んであげる必要はあるまいて。



おすすめ度 : ★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損