1966年フランス、イタリア
 102分

 原題 Le Roi de Cœur は「ハートの王様」
 邦題から戦争映画のイメージがあるが――いや実際、第一次大戦時のフランスを舞台とする反戦映画なのだが――、一風変わったシュールなコメディである。
 その「一風変わったシュールさ」は、主要な登場人物が精神病院から抜け出した患者たちで、戦地における彼らの自由で奇矯な振る舞いを描くことが、この映画のツボだからである。
 精神病院の内と外、いったいどっちが狂ってる?
 患者の人権が唱えられる現在では、もはや容易には創れない作品かもしれない。

 フランスの田舎に残る中世の古い街並みと、色とりどり派手に着飾った精神病患者たちの対比が面白い。
 主演のアラン・ベイツは、ロバート・アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク』(2001)で執事ジェニングスを演じた英国の名優。
 最後のシーンで、二人の尼さんを前にして全裸の後ろ姿を披露しているが、このシーンを観たとき、「あっ、この映画、子どもの頃に見た!」と思い出した。
 このシチュエーションに強烈な印象を覚えたのだろう(笑)
 1974年に日曜洋画劇場(解説:淀川長治さん)で放映されている。
  
 いまもカルト的な人気を博している作品で、2018年に4Kデジタル修復版が公開された。


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アラン・ベイツ本人じゃないかもね・・・


おすすめ度 : ★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損