2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】

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へんろころがし(11番藤井寺~12番焼山寺)断面図
その日の宿まで4つのピークを越える
最後の450mが玉ヶ峠
(へんろみち保存協力会編『四国遍路ひとり歩き同行二人』より)


12番への道(台風あと)
台風の爪あと生々しい山道


12番への道(柳水庵手前)
振り向けばこれまで歩いてきた平野が広がる


12番への道(長戸庵)
登り始めて約1時間、そろそろ休憩したい
ちょうどいいところにある長戸庵


12番への道(柳水庵)
また1時間歩くと柳水庵
湧き水で喉を潤せる


13番への道(へんろ小屋)
地域のボランティアグループが管理する遍路小屋


12番への道(柳水庵へんろ小屋)



12番への道(浄蓮庵)
一番のピーク浄蓮庵(745m)
お大師さまが迎えてくれる


12番への道(浄蓮庵3)
ここで掃除していた地元のボランティアの方と喋る
「東京から出店した企業が地元の店をつぶしておいて、
儲からないからとすぐ去っていくのは詐欺同然」
と怒っておられた
もっともな話


12番への道(谷の川)
400mまで下って左右内谷川を渡り
また登る


焼山寺(山門)
焼山寺山門(700m)
11番スタートから約5時間で到着!



12番札所: 摩盧山 焼山寺(まろざん しょうざんじ)

12番
 焼山で 燃え尽きること なかりしに
 玉ヶ峠に 転がされたり


御本尊: 虚空蔵菩薩
本歌 : のちの世を 思へばくぎょう 焼山寺 死出や三途の 難所ありとも
コメント: アップダウンのはげしい焼山だが、山歩きに慣れていたおかげか、思ったほどきつく感じなかった。参拝を終え下山してほっと一息。「あとは宿に行くだけ」とルンルン気分で向かった玉ヶ峠(455m)がよもやの難関だった。歩きづらい岩登りと、延々と続く舗装の下り道に、足が棒になった。
【次の札所まで5.9㌔】

焼山寺境内
焼山寺境内


焼山寺(景色)
境内からの風景


玉が峠
玉ヶ峠頂上


玉が峠2



13番への道(鮎喰川遠景)
鮎喰川(あくいがわ)が見えたらゴールは近い


13番への道(鮎喰川遠景2)



植松旅館の食事
植村旅館の夕餉
ふだんなら多すぎる量だが、ペロリと平らげた


13番への道(鮎喰川近景)
翌朝、翡翠色にかがやく鮎喰川の岸辺を歩く


童学寺トンネル
新童学寺トンネルを抜けて


童学寺トンネルの向こう
町に戻ってきた



別格2番札所: 東明山 童学寺 (とうめいざん どうがくじ)

2番
 童学の 長いトンネル 抜けたれば
 受難の寺は 砂山のなか


御本尊: 薬師如来
本歌 : まいるなら 三世の悪行 消へはてる 南無や薬師の 瑠璃の光に  
コメント: 遍路初のトンネルは全長641mの新童学寺トンネル。歩行者専用通路があり、危険は感じなかったものの、かたわらをトラックが通過する際の笠を飛ばすほどの風圧に驚いた。たどりついた別格2番は工事中で、山門の脇で大きなクレーン車が動いていた。看板によれば火事にあったばかりで、再建のため3億円必要とか・・・。お寺もたいへんだ。
【次の札所まで6.2㌔】

別格2番童学寺山門
童学寺山門


別格2番童学寺湧き水
お筆の加持水
弘法大師が硯の水に使ったという
書道の修練に用いれば誰でも筆達者になれる



13番札所: 大栗山 大日寺 (おおぐりざん だいにちじ)

13番
 コリアより 舞姫来たり 大日に
 しあわせ祈る 菩薩にも似た


御本尊: 十一面観音菩薩
本歌 : 阿波の国 一の宮とは ゆうだすき かけて頼めや この世のちの世  
コメント: ここの住職は韓国籍の女性で人間国宝・金昴先(キム・ミョウソン)さん。舞踏団のツアーで来日したときに先代住職に見染められ結婚、住職に先立たれ、跡を継いだのである。運よく、納経所で拝顔することができた。境内の「しあわせ観音」に似た美人であった。
【次の札所まで2.3㌔】

13番大日寺本堂
大日寺境内


しあわせ観音
しあわせ観音


一宮神社(13番前)
道をはさんだ向かいにある一宮神社
石柱に「阿波國一宮」と刻まれているが・・・


一宮神社境内(13番前)
初日に詣でた大麻比古神社が阿波一宮ではないの?


一宮神社(縁起)
どうやら“本舗”争いしているらしい



14番札所: 盛寿山 常楽寺 (せいじゅざん じょうらくじ)

14番
 常楽の 眠りむさぼる 猫たちが
 水の岩にて 蹴伸びするなり

御本尊: 弥靭菩薩
本歌 : 常楽の 岸にはいつか 至らまし ちかいの船に 乗りおくれずば  
コメント: この寺はよく印象に残っている。お寺が水成岩の上に建っていて、秩父札所19番龍石寺を思い出した。「おかげで水はけがいいんですよ」と寺庭婦人。境内では数匹の猫が我が物顔に歩き回り、ところかまわず身を伸ばしていた。お寺と猫は相性がいい。ソルティも一緒になってくつろいだ。
【次の札所まで0.8㌔】

14番常楽寺
常楽寺境内


14番常楽寺(猫たち)



15番札所: 薬王山 国分寺 (やくおうざん こくぶんじ)

15番
 天平の 遠きを思う 国分寺
 槌の音さえ しじまの中に


御本尊: 薬師如来
本歌 : 薄く濃く わけわけ色を 染めぬれば 流転生死の 秋のもみじ葉
 
コメント: 国分寺は聖武天皇の命により全国に造られた由緒あるお寺。ここは、法相宗→真言宗→曹洞宗と宗派が変わっている。往時は栄えたことだろう。全面的に改装工事中で、令和2年3月完成予定とあった。もうお披露目しているのだろうか。有名な枯山水の庭も見たかったなあ。
【次の札所まで1.8㌔】


15番国分寺
国分寺山門



16番札所: 光耀山 観音寺 (こうようざん かんおんじ)

2番
 いにしえの 国府のまちの 観音寺
 暮れの光に 丸腰のまま


御本尊: 千手観音菩薩
本歌 : 忘れずも 導きたまえ 観音寺 西方世界 弥陀の浄土へ  
コメント: JR徳島線府中(こう)駅近くにある。一日の最後を締める札所でほっと一息。立派な門こそあるものの塀や囲いのない境内は、周囲の民家とそのままつながって国府の町に溶け込んでおり、村の鎮守とでもいった親しみやすい風情。境内でお爺さんとお孫さんらしき女児が遊んでいる姿がまたその感を強めた。
【次の札所まで2.8㌔】

16番観音寺
観音寺




四国の白地図第3回

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