2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【愛媛県】
40番への道(正木トンネル)
正木トンネルを抜けて愛媛県へ入った


40番への道(愛南町看板)
愛南町の観光案内板


40番への道(コスモス畑)
満倉休憩所の前に広がるコスモス畑


40番への道(僧都川)
僧都川沿いに40番を目指す



40番札所: 平城山 観自在寺 (へいじょうざん かんじざいじ)

40番

 観るも自在 聴くも自在の 旅なれば
 のんびり往かん 今ここにあれ

御本尊: 薬師如来
本歌 : 心願や 自在の春に花咲きて 浮世のがれて 住むやけだもの
コメント: 四国の西側は結構風が強いことに驚く。心なしか高知にくらべて穏やかな気を感じた。カツオとミカンの違い? 闘犬と闘牛の違い? 高知の終わりで右足首を痛め、棄権のピンチに陥った。歩くペースを落とし、できるだけ楽な道を選ぶ。いつのまにか先を急いでいた自分を反省した。
【次の札所まで40.3㌔】



40番観自在寺山門
観自在寺山門


40番観自在寺宿坊
宿坊に泊まった
中国人のグループが例によって賑やかだった


41番への道(柏坂付近漁港)


41番への道(ゆらり内海)
ゆらり内海にて昼食休憩


41番への道(ゆらり内海ランチ)



41番への道(宇和島漁村)
宇和島浦知の漁村
かつては真珠の養殖で賑わった


41番への道(削られる山肌)
宇和島に入ったらこのような採掘光景が目立った


41番への道(津島岩松川)
津島の岩松川


41番への道(津島採石場)
採石場の中をへんろ道が通っている(松尾峠付近)
この光景、世界遺産委員会の目にどう映るか?



別格6番札所: 臨海山 龍光院(りんかいさん りゅうこういん)

6番
 宇和島の 鬼門を護る この寺に
 龍の光を 仰ぎ見るかな

御本尊: 十一面観世音菩薩
本歌 : みめぐみの 杖をたよりに 有為の山 越えてくもらぬ 月を見るかな
コメント: 宇和島市街に入って車の量がどっと増えた。が、一歩国道を離れると閑散としてさびれた空気が漂っていた。龍光院は、初代藩主・伊達秀宗(政宗の長男)が入部したときに、宇和島城の鬼門鎮めに建てられたという。高台にある境内から天守閣がよく見えた。
【次の札所まで9.9㌔】



別格6番龍時光寺1
龍光院
別格6番龍時光寺2
境内
別格6番龍時光寺3
境内から宇和島のまちを見下ろす


宇和島城
宇和島城


41番への道(ダルマ石)
宇和島駅近くの路傍に見かけた存在感たっぷりの石


41番への道(三間盆地)
JR予土線・務田駅より41番に向かう一本道



41番札所: 稲荷山 龍光寺(いなりざん りゅうこうじ)

41番
 龍光の 満ちたる朝の 畑中に
 直しき人の 影を見るかな

御本尊: 十一面観世音菩薩
本歌 : この神は 三国流布の密教を 守りたまらん 誓いとぞ聞く
コメント: JR務田(むた)駅から札所へと広がる三間平野の朝の光景はただただ美しかった。龍光寺の参道にある店で、遍路姿の菅直人元総理大臣の写真が飾られているのを見た。2004年から歩き始め、足かけ10年で結願したという。ちゃっかり商売に利用されているのだが、固いことは言うまい。いい笑顔をしている。
【次の札所まで2.6㌔】



41番龍光寺1
境内より参道を見下ろす
神仏習合時代は稲荷神社に札所があった


41番龍光寺3
明治初期の神仏分離後に新たに建てられた本堂


41番龍光寺2



42番札所: 一果山 佛木寺 (いっかざん ぶつもくじ)

42番
 コスモスの 道をたどれと 案内する
 人も仏も 木石にあらず

御本尊: 大日如来 
本歌 : 草も木も 仏になれる 仏木寺 なおたのもしき 鬼畜人天
コメント: このあたりは道標が少なく道に迷いやすい。民家の庭先の老人に尋ねたら、「コスモスの咲いている道をずっと行けばいい」と教えてくれた。境内では地元の参拝者から森永チョコレートパイのご接待を受け、真心と久しぶりに口にする甘味とで脳内エンドルフィンが活性した。
【次の札所まで10.6㌔】


42番への道(コスモス街道)



42番仏木寺
仏木寺山門

43番への道(がけ崩れ)
歯長峠の惨状



43番札所: 源光山 明石寺 (げんこうざん めいせきじ)

43番
 水難の 痕めいせきに 残りつる
 西予(さいよ)のまちに 足重くして

御本尊: 千手観音菩薩
本歌: 聞くならく 千手ふしぎの ちかいには 大磐石も かるくあげいし
コメント: 西予(愛媛県西部)は2018年7月7日の豪雨被害がもっとも著しかったところ。歯長峠のへんろ道は土砂崩れで通行止め、迂回せざるを得なかった。ふもとでは「畑がすっかり水に浸かってダメになったよ」という農家の人の声も聞いた。
【次の札所まで34.6㌔】



43番明石寺
明石寺

ホンダ西予店
国道56号沿いの車販売店
ここでトイレを借りたらコーヒーをご接待いただいた
ありがとうございました


鳥坂番所跡2
大洲藩鳥坂番所跡
鳥坂峠の入口にある
通行する旅人は身分証明書と往来手形の提示を求められた
巡礼者は比較的楽に通行できたという
ところがどっこい・・・

大洲(町の風景2)
伊予大洲に到着
別格7番のある出石山(812m)を背にした大洲城が神々しい


大洲(松楽旅館)
伊予大洲の老舗旅館に泊まった


大洲(町の風景)
この風情ある城下町は
TVドラマ『おはなはん』や『東京ラブストーリー』の舞台となった


大洲(朝の肱川)



別格7番札所: 金山 出石寺(きんざん しゅっせきじ) 

7番
 勇気出し いし強く持ち 来てみれば
 見よ伊予灘に 夕日かがやく

ご本尊: 千手観世音菩薩
本歌 : くもりなき 二名の島の 金山に みのりの光 かがやくを見よ
コメント: 足首の痛みに怖じて、行こうかどうか数日迷い続けた札所。812mの明るい山頂からは、大洲の町を隠す一面の朝の雲海と、黄金に染まる夕焼けの伊予灘とが臨めた。札所に向かう山中の一本道で、降りてきたサニーさんと出くわしてビックリ。足摺岬以来である。前日に宿坊に泊まったとのこと。一日遅れで追っかけているらしい。
【次の札所まで13.8㌔】

別格7番出石寺1
山門


別格7番出石寺(境内)
境内


別格7番出石寺夕の伊予灘2
境内の西側から伊予灘と九州(大分の国東半島か)が見えた
108札所中、九州が見えるのはここだけだろう


別格7番出石寺夕の伊予灘
この出石寺でなにか吹っ切れるものがあった


別格7番出石寺朝の伊予灘
朝の伊予灘
伊方原発で有名な佐田岬


別格7番出石寺雲海
境内東側に広がる雲海


別格7番出石寺(大洲のまち)
下山中、雲海が晴れるにつれ大洲の町が現れる
幻想的な光景にしばし時を忘れた



四国の白地図第9回


CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  



次回予告
ノーベル賞作家・大江健三郎の故郷に行きます