1945年原著刊行
2009年岩波文庫(小野寺健訳)

 第一次大戦前の英国上流階級の一家の物語である。
 美しく広大な荘園ブライズヘッドに建つ、贅を凝らした壮麗なマナーハウス(邸宅)。
 生活のためにあくせくと働くこともなく、社交や旅行や恋愛や趣味道楽にうつつを抜かす貴顕たち。
 名門オクスフォード大学の寮生活でのボーイズラヴ。
 TVドラマ『ダウントン・アビー』やE.M.フォスターの描く世界と同様、ソルティのハートを鷲づかみにする要素のオンパレード。
 上下巻をむさぼるように読んだ。
 イーヴリン・ウォーの本はこれがはじめて。

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 副題に「チャールズ・ライダー大尉の信仰と俗生活と、二つの人生にかかわる思い出」とあるように、中年になったライダーが、第二次大戦中の軍の移動でたまたまブライズヘッドを訪れたことがきっかけとなって、過ぎ去った青春の日々の回想が始まるという構成。
 語り手はライダーである。

 宗教の問題や隠された同性愛テーマやアルコール依存症の問題などはあるが、あまり難しいことは考えずに、英国の古き良き時代の最後の輝きと終焉、それに重奏するように回想される甘く切なくほろ苦い青春の輝きとその終焉の物語を、楽しむのがよかろう。
 落日の美しさは、言葉で語るものではなく、ただ眺めるものである。

 この物語は2008年にマシュー・グッド、ベン・ウィショー共演で映画化され、『情愛と友情』のタイトルでDVD化されているらしい。
 探してみよう。

 それにしても、ここ最近、妙にイギリスづいているなあ~。




おすすめ度 : ★★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損