2017年アメリカ
115分

 ナタリー・ポートマン主演の『ブラック・スワン』を撮った監督である。
 幻想的で印象に強く刻まれる映像を紡ぎだす才には恵まれているが、表現する世界がマニアック過ぎて、メジャーには収まりきれない人だと思う。
 この映画も批評家の間では賛否が分かれ、一般観客からは酷評を得たという。

 映像は凄い。
 が、ストーリーが意味不明、というか破綻している。
 出演している俳優たちも、最後まで物語が、そして自分の役が、理解できなかったのではなかろうか?
 DVDの特典映像では、主演のジェニファー・ローレンス――『ウィンターズ・ボーン』での名演技が記憶に新しい――をはじめ、参加スタッフたちが一様に本作の独創性を讃え上げ、アロノフスキー監督と共に仕事できたことに感謝の意を表明している。(ほかに言いようもないだろうが)
 本心はどうなのだろう?と思わざるを得ない。
 
 不気味で不可解な現実が一転してサバト(悪魔の宴)と化していくルカ・グァダニーノ監督『サスペリア』に通じるような破壊性と超越性を、本作にも見てとることもできよう。
 観る者の予想を裏切り、想像をはるかに超えた、あたかも高熱で寝込んだ夜に見る悪夢のような恐ろしくも不条理な展開に、ヒロインともども徹底的に打ちのめされ絶望する、マゾヒスティックな快感に酔う者もいよう。
 だが、次々と襲い来る不条理について悪魔(魔女)という根拠をもつ『サスペリア』に対し、本作では不条理の根拠を欠いている。
 不条理は不条理のまま投げ出され、解明は拒まれる。
 あるいは、観る者に下駄は預けられる。
 無責任なまでに――。
 
 そこをどう取るかで、評価は分かれるだろう。



おすすめ度 : ★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損