2014年原著刊行
2016年創元推理文庫

 オーストラリアの女性作家によるユーモラスなミステリー。
 文庫で上下巻を元日一日で読み切った。

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 読みやすさの秘密は、幼稚園のママ友たちのいざこざといった極卑俗な日常がメインとなっているから。
 誰それの子供が誰それの子供をいじめたとか、誰それの子供の誕生パーティの招待状が1人の子供にだけ配られなかったとか、誰それグループと誰それグループの派閥争いとか、ちょっと前にあった観月ありさ主演のTVドラマ『斉藤さん』の世界である。
 そこに各家庭のママたちの抱えるトラブル――家庭内暴力、レイプトラウマ、思春期の娘の反抗、夫の浮気など――が加わって、事態は混迷の態をなしてくる。
 それぞれのストレスがはちきれんばかりに高まった保護者懇親会の日に、ついに事件は起こる。

 ユニークなのは、殺人事件が起こる懇親会当日の記述を物語の最後に持ってきて、半年前からそこに至る過程を時系列でたどっていく構成になっているところ。
 懇親会当日に殺人事件が発生したことだけは冒頭で明らかにされるが、具体的にそこで何が起こったのか、だれが殺されたのか、犯人はだれなのか、動機はなにかといったことが、最後の最後まで伏せられる。
 殺人が起こる一点に向かって、複数のエピソードがまじりあいながら全体としてユーモラスに語られ、あちこちで伏線が張られ、謎とサスペンスを高めていくさまは、クリスティの傑作『ゼロ時間へ』を思わせる。
 登場するキャラクター(とくにママたち)もよく書けている。
 とくに、主人公ママ、陽気でおしゃべりで喧嘩っぱやくて姉御肌のマデリーンが魅力的。

 この小説(原題 Big Little Lies )を気に入ったニコール・キッドマンとリース・ウィザースプーンは映像権を獲得し、2017年に自らW主演してドラマ化した。(邦題『ビッグ・リトル・ライズ セレブママたちの憂うつ』)
 全米で大絶賛、エミー賞はじめたくさんの賞を獲得している。
 日本ではまだDVD化されてはいないようだ。 
 シーズン2ではあの大女優メリル・ストリープも出演しているとか・・・。
 早く見たい。



おすすめ度 : ★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損