2018年イギリス
91分
SF異生物ホラーサスペンス。
原題は Await Further Instructions 「次の指示を待て」
何より怖いのは、2018年に作られたこの映画が今のコロナ社会を予言しているかのような点。
異なるのは、人類を襲ってくるのが新型コロナウイルスではなく、イカのような触手を何本も持った謎の知的生命体であること。
この最強のエイリアン(ソルティ命名「メタリック星人」)に目をつけられた一家の受難を描く。
クリスマス休暇に何年ぶりかに実家を訪れた長男ニックとインド系移民の恋人アンジー。ニックの母親は二人を温かく迎えるも、超保守的なニックの祖父と父親トニーはアンジーを見て露骨に嫌な顔をする。そこへ長女で妊娠中のケイトが夫のスコットを連れてやって来る。ケイトもまた頭のいいアンジーに対するコンプレックスが隠せない。熱心なクリスチャン一家の排他的空気に耐えられなくなったアンジーとニックは、翌朝早く、実家を出ようとする。が、時すでに遅し。家屋はまるごと何者かの手によってメタリック質の壁で厳重に封鎖され、ネットも電話もラジオもつながらず、一家は閉じ込められてしまう。「緊急事態発生。ステイホームして次の指示を待て」テレビモニターに現われる指示は政府のものなのか。それとも・・・・・?
といった異常なシチュエーションで、一家は、「ステイホームによる自粛」、「汚染された食べ物の廃棄」、「正体不明のワクチンの接種」、「家族の中の感染者の隔離」・・・・と、だんだんとグレードアップしてゆく当局からの指示に戸惑いながらも従ってしまう。
冷静で科学的思考をもつニックとアンジーはそれらの指示に疑いを抱き、黙って従うことに抵抗を示すが、一家の主人たることに強迫的なこだわりをもつ権威主義のトニーは、当局の指示を鵜のみにし、強引に家族を従わせていく。
このあたりの家族それぞれの振る舞いが、まさにコロナ禍の社会の人間模様を映しているかのよう。
すなわち、
すなわち、
祖父と父親トニー・・・・・権力に盲従するマチョイズムの自粛警察
母親と婿のスコット・・・・自分の意見を持たず、権威に逆らえない右顧左眄の人々
長女ケイト・・・・感情的衝動的で容易にパニックに陥いる人々
長男ニックとアンジー・・・・冷静に理性的に判断し振舞おうとする一部の人々
一家の中では、自粛警察のお父さんトニーが、実に怖い。
子供の頃から父親(ニックの祖父)に馬鹿にされ続けていた憤懣がここに来て爆発し、この未曽有の危機をかえって家族内での自らの権威と支配を高めるために用いようとする。
その結果、すさまじい家庭内暴力をまねき、外からのメタリック星人の攻撃を待つまでもなく、一家は勝手に内部崩壊していく。
敵は外にいたのではなく、内部に育っていたのである。
お父さんは最後にはメタリック星人に寄生されて、文字通り、手足となって動くようになる。
「私を敬え」と叫びながら、息子のニックとアンジーを斧で殺戮する。
ただ一人残されたのは、死んだケイトのお腹の中にいた赤ん坊。
クリスマスの夜に生まれた男の子であった。
ハレルヤ!
ハレルヤ!
おすすめ度 : ★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
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