8/25~27、青春18切符とバスを使って上記ツアーを挙行。
天気はおおむね曇りで穂高連峰は見えなかったが、関東地域は大雨だったので、まあ降られないだけラッキーだろう。

25日 
18切符で中央線を下る。最寄り駅から松本まで延々5時間。ほとんで眠って過ごした。
松本から松本電鉄で新島々へ。名前が変わってる。島々(しましま)という地名が近くにあるので、それが元だろうが、こんな内陸地でなぜ島々?

バスで上高地へ約1時間。大正池で下車。ムードのあるところだが、やはり穂高が見えるのと見えないのとでは歴然の差だろう。そこから梓川左岸の森の中を快適なウォーキング。河童橋を過ぎたら、時刻のせいもあろうが、途中のキャンプの学生たちを除けば誰とも会わなかった。その静けさを手にすると、河童橋までの観光地化は興ざめである。


長野パワースポットツアー2012夏 001


18時に明神館に到着。森の中の一軒屋。一番安い相部屋だが、寝台車風に2段ベッドが通路をはさんで左右3つずつ、計12床。各ベッドにはカーテンがついているのでプライバシーは一応保たれている。山小屋によくあるように、自分の寝るスペースを確保するのに苦労なんてことはない。
なぜか来る途中にも宿にも韓国人が多かった。

26日 
明神館に泊まる良さは、朝早く明神池に行くのに便利なこと。6時起床、明神橋を渡り対岸へ。
明神池は穂高神社のご神域。祀ってあるのは穂高見命(ほたかのみこと)、北アルプスの守り神である。水面に漂う霧が幻想的であった。

長野パワースポットツアー2012夏 004


帰りの明神橋では猿の軍団に遭遇。人が近づいても逃げない。橋の欄干を走ったり、川の中をじゃぶじゃぶ歩いたり、お互いに毛づくろいしたり、と見ていて飽きない。
朝食後に宿を出て、梓川右岸を戻る。早起きの泊り客たちとすれ違う。
途中、非常に「気」のあふれる場所があった。梓川に下る清流が木々の間をほとばしるように走る。体の中まで、細胞のすみずみまで、洗われる心地した。


長野パワースポットツアー2012夏 008


11時40分のバスで松本に戻る。そこから長野まで篠ノ井線で1時間。長野県は名前のとおり長い。
途中「姨捨(おばすて)」という恐い名前の駅があった。姨捨伝説も興味深いが、それ以外にもこの駅は面白い。以下ウィキ「姨捨駅」からの抜粋。

標高551mの山の中腹に位置し、全国でも数少ないスイッチバック方式を擁する駅である。当駅のホームから見下ろす善光寺平は絶景として知られ、根室本線の狩勝峠(現在はルート変更により廃止)、肥薩線の矢岳駅と共に日本三大車窓の1つに数えられる。姨捨地区からの景観は上高地や天竜峡、寝覚の床、光前寺庭園と並び長野県下にある国指定の名勝5ヶ所のうちの一つでもある。

日本経済新聞社の2007年アンケート「足を延ばして訪れて見たい駅」の全国第2位にランクされた(1位は北九州市門司港駅、3位が霧島市嘉例川駅で東京駅は4位であった)。

長野パワースポットツアー2012夏 033



長野駅着。周辺でおやきを買って、戸隠行きのバスに乗る。善光寺の裏手からくねくね山を登って人里離れていく。小学生の一団が乗車。騒がしいことこの上ない。おおむね飯綱湖あたりで降りていったが、毎日ここから長野市内に通っているとは感心。

戸隠神社
肌もあらわな戸隠山こそ、天から落ちてきた天の岩戸の扉。神様方はまさに巨人である。この神話は、手塚治虫の「火の鳥」にも描かれている。もっとも、隠れたのは天照大神でなくて卑弥呼になっているが。

長野パワースポットツアー2012夏 016

長野パワースポットツアー2012夏 014

5社祭神
奥社・・・天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)。スサノオの命の度重なる非行に天照大神が天岩戸にお隠れになった時、無双の神力をもって、天の岩戸をお開きになった。
中社・・・天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)。岩戸神楽(太々神楽)を創案、岩戸を開くアイデアを出した。
宝光山・・・天表春命(あめのうわはるのみこと)。中社祭神の御子神様。
火の御子社・・・天鈿女命(あめのうずめのみこと)。岩戸の前で舞いをして、天照大神を引っ張り出 すきっかけをつくった。
九頭龍社・・・九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)。元からこの土地を守っていた神様。水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結の神。

宝光社から火の御子社を回って、中社の宿まで歩く。
宿は高山坊。古くからの宿坊である。ここの主人はとても親切な人だった。朝は宿から奥社の入口まで車で送っていただき、行列のできる蕎麦やの予約を取ってくれた。それもそのはず、この方は戸隠神社の神主で、この部落の重鎮らしかった。
「翌日の昼前に中社でお神楽が見られますよ」と勧めてくれたので見に行ったら、楽団の一人として涼しげな直衣姿で横笛を吹いておられた。それが滅法上手い。

長野パワースポットツアー2012夏 022


27日
朝6時に奥社に。
整然と続く杉並木のすがすがしい参道を小一時間歩く。さすがに「気」が違う。
上高地で浴びた「気」が丸く人を包むものとしたら、戸隠の「気」は天から地へと、地から天へと、垂直に人を貫き、震わせる。ビンビン来る。 あるスピリチュアリストによると「戸隠のパワーは人の戸を開ける。つまり、閉ざされた自己を開放させる」という。なんとなくそれが頷けるようなパワーのみなぎりである。この感覚は、オーケストラと共にコンサートホールで第九を歌った後の感覚に近いかも。

長野パワースポットツアー2012夏 013


参拝した後は、神域の森の中をウォーキング。 戸隠の鎮守は水の神だけあって、森のところどころに池がある。それがどれも静かで美しいたたずまいを見せていて、ほとりでゆっくり時を過ごせる。鏡池には湖面にもやが立ち込めていたが、その向こうからあの世の人が現れ出てくるんじゃないかと思うような、幻惑的な雰囲気であった。
宿に戻って朝ごはん。チェックアウトして中社に。

ここの「気」もすばらしい。力強い、熱い「気」がある。とりわけ、拝殿の右の滝のあたりは、清冽な気が満ちていて、立っているだけで身も心も洗われる。

11時過ぎからのお神楽を見学。天岩戸の物語を舞い演じる。
面白いのは、岩戸に模した絵の前で男たちがお囃子に合わせて一通り舞ったあと、最後に出てきたのは小学生くらいの少女4人。つまり、彼女らがアメノウズメノミコト役。村の子どもたちだろう。普段から練習しているのであろう。扇の扱いや袖のさばきなど、なかなかどうして様になっていた。
戸隠神社はもともと女人禁制であった。お神楽も男性だけかと思っていたので意表を付かれた。もっとも、お神楽のそもそもの起こりはこの天の岩戸の物語にあり、主役の天照大神だって、功労者のアメノウズメノミコトだって女性なのだから、女性を讃美してこそ、忌避するのはおかしい。
ただ、今思うと、少女だから(生娘だから)許されるのかもしれない。

中社前にある「うずらや」で戸隠そばを食べる。前夜からわさびせんべいを食べすぎて鼻がおかしくなったのか蕎麦の香りが感じられなかった。

昼過ぎのバスで長野市街に戻る。善光寺を裏から入って本堂へ。人がたくさん。戒壇めぐりも20分待ちとかでやる気をなくす。戸隠の神々しい清浄さとくらべると、善光寺はあまりに俗化され雑然としていて、興ざめであった。パワースポットという点では、善光寺はものの数に入らないだろう。 読経だけして早々に退散する。

長野駅から最後の(5回目の)18切符で帰路に着いた。

今回の旅では、なんといっても戸隠が良かった。地元の人が戸隠の森と伝統を守ろうとする心が感じられた。パワースポットブーム、加えて吉永小百合のJRのコマーシャル(杉の木に耳を押し当てるおばさん)の影響で観光客が押し寄せているらしいが、このまま今の「気」を失わないでいてほしいものである。
 
長野パワースポットツアー2012夏 003