ソルティはかた、かく語りき

東京近郊に住まうオス猫である。半世紀以上生き延びて、もはやバケ猫化しているとの噂あり。 本を読んで、映画を観て、音楽を聴いて、芝居や落語を見て、旅に出て、山に登って、仏教を学んで瞑想して、ボランティアして、デモに行って、無いアタマでものを考えて・・・・そんな平凡な日常の記録である。

白山神社

● 善福寺川をたどる

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日時 2017年9月16日(日)
場所 東京都杉並区
行程
11:20 西武新宿線・上石神井駅
    歩行スタート
12:00 善福寺公園
12:25 美野山橋(善福寺川流出地点)
13:00 関根橋(JR中央線西荻窪駅北銀座通り)
13:25 JR中央線高架下
13:37 環状8号線横断
13:50 忍川上橋(JR中央線荻窪駅南口仲通り商店街)
14:20 善福寺川緑地公園
15:00 白山神社
    和田掘公園
15:20 つり掘「武蔵野園」にて休憩
15:45 松ノ木遺跡復元住居
16:00 大宮八幡宮・天満宮
17:00 善福寺川取水施設
17:10 環状7号線横断
17:20 善福寺川終点(神田川との合流地点)
17:40 地下鉄丸ノ内線・中野富士見町駅
    歩行終了
所要時間 5時間20分(うち歩行時間4時間40分、休憩時間40分)
歩行距離 約13㎞(うち善福寺川沿い10.5㎞)

杉並区map


 杉並区は善福寺川と神田川の二つの流れを擁する水に恵まれた街である。
 善福寺川は杉並区の善福寺公園内にある善福寺池に源を発し、区内を北西から南東に蛇行しながら横断し、地下鉄丸ノ内線中野富士見町駅付近でお隣の中野区に入る直前、神田川と合流する。神田川は、三鷹市吉祥寺にある井の頭公園に端を発し、これもほぼ杉並区内を横断し、善福寺川の下(南)側をつかず離れず流れている。そのさまは、対位法の二つのメロディのよう、あるいは仲の良い蛇の夫婦のようである。

 特に善福寺川は川の始まりも終わりも杉並区内にあるので、まさに杉並区の川である。
 中流の川沿いには、都立善福寺川緑地と都立和田堀公園が全長約4.2 kmに渡り整備されている。川が学校の敷地内を通過していたり、護岸工事中であったり、ところどころ土手から離れて歩かなければならないところもあるけれど、それ以外はほぼ全流域にわたって「都会でここまで!」とビックリするほど澄んだ流れを足下に見ながら、川岸を歩くことができる。首都圏の動脈たる環八と環七を横断する所はさすがに騒音に包まれるが、おおむね静かな住宅街や公園内の車の通れない小道が続いているので、子供や老人でも安全である。

 秋晴れの一日、緑と水に癒されながら、川に棲む小動物ウォッチングを楽しみ、川沿いの風物・娯楽を満喫した。


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スタートは上石神井駅(練馬区)
 降りるのははじめて。むろん「西友」だ。


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庚申通り商店街を抜けていくと確かに庚申塚がある。
1704年(宝永元年)建立。祠の中には青面金剛立像が祀られている。


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青梅街道を東京方面に行くと杉並区に入る。
 

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曹洞宗善福寺。
「善福寺川」の名の由来は池のほとりに善福寺があったからだが、
江戸時代に廃寺になっている。
いまの善福寺は福寿院が地名をとって改名したそうである。



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まるで高原の避暑地。東京にこんな素敵なところがあったとは!


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この湧き水が善福寺池の水源。名を遅野井(おそのい)と言う。
奥州征伐からの帰りに当地で干ばつに遭った源頼朝が、
弁財天に祈り弓で地面を掘ったところ、
湧き出したと伝えられる。


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池の中にある弁財天。江の島弁財天を勧請したそうな。


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い~い感じ



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善福寺川のはじまりとなる美野山橋。
なんと全部で73の橋がある。
さあ、歩くぞ!


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はじめチョロチョロ


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ラインのほとりのような洒落た光景


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軽く1メートルはあろう巨大なコイの群れ。
30センチはあろう亀も泳いでいた。


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都会の川らしくなってきました。


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ところどころこんな親切な表示があって励みとなる。


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西荻窪駅北銀座通りとの交差(関根橋)
川向うに「幸福の科学」の建物が見える。


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まるで湿原のように水草の島が点々と続く。


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カルガモは全流域で見ることができる。


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シラサギも結構多い。

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荻窪駅の700メートル西で中央線の高架をくぐる。


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創業は昭和23年。
なつかしの『チャイルドブック』


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荻窪駅南口仲通り商店街に続く道。
このあたりはボランティアの関係でよく来るところ。
普段と違った視点から街を見ると新鮮である。


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上高知か? このあたりでもこんなに澄んでいる。


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デジカメの性能が悪くて残念。
カワセミです!


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地球博物学大図鑑」より



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善福寺川は昔からよく氾濫する川として知られている。
2005年9月4日の豪雨では約3000戸の浸水被害があった。


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善福寺川緑地公園は木も花もいっぱい。
春先は花見の名所として賑わっている。


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こんなところに白山神社があるとは!
ここを境に和田掘公園に入る。

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和田掘公園のつり掘「武蔵野園」で喉の渇きを潤す。


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古墳時代(6世紀)の住居を再現


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和田掘池


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大宮八幡宮 
1063年源頼義公により創建。


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縁起よりも猫が気になる。猫が・・・。


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ここの境内で薪能(たしか『葵の上』)を見たことがある。
原始人のように回転摩擦式発火法(弓錐式)で薪の火を熾す儀式が面白かった。


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境内にある天満宮でケアマネ試験の吉報を祈る。
(って勉強しろよ!)


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洪水被害を防止するための取水施設。
土手に開けた横穴から川の水を地下に落とし、
地下40mの調節池(延長4.5キロ×内径12.5m)に貯留する。


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環状7号線を渡ると、そこは立正佼成会の根城でした。


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独特なデザインの大聖堂が目立ちます。


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そろそろ日暮れも近い。腹も減った。



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うん?


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もしかして、これは?


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やった! 終点だ!
神田川(上側)とのランデブーです。


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I wonder if you've already forgotton that age ?
  


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神田川はこのさき隅田川と合流し、東京湾に注ぐ。



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ゴールは中野富士見町駅。
お疲れ様。
次回は、神田川をここから井の頭公園まで辿ってみるかな?


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今日も良い一日でした。




 

● 多摩ニュータウン探訪

 コンサート終了後、パルテノン多摩の背後に広がる多摩中央公園を散歩した。曇りがちではあるが、暑くも寒くもなく、夕刻の涼風が素肌に心地よい。
 木々に囲まれた広大な芝の広場は、円形劇場のようにゆるやかな傾斜を持って底面の池を囲んでいる。空も大きく、どうしたってここで寝転がりたい気になる。
 久しぶりにゆっくり空を見て、思考という名の雲の行く末を追っていた。


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テントを張っている人もチラホラ
 
 
 広場の奥には森木立があり、散歩道がついている。
 江戸時代から代々の村主をつとめた富澤家の遺構が残っている。明治天皇はじめ皇族方が、この地に兎狩り()に来られた際、休息所として利用したという。

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 丘の中腹に多摩市立グリーンライブセンターがある。
 四季折々の草花の観賞、植物に関する相談、散策や休憩もできる施設で、恵泉女学園大学・多摩市グリーンボランティア連絡会・多摩市の三者で運営管理している。庭園のほかに温室やオーガニックコーヒーの飲めるホール、相談コーナーなどがある。

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 今の時期は、なんといっても薔薇である。
 庭全体が色とりどりの薔薇で埋め尽くされ、おとぎの国のようであった。
 『ガラスの仮面』で一躍有名になった‘紫の薔薇’がソルティの目を引いた。

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その名もアメジスト・バビロン


 丘のふもとには白山神社がある。
 立看板によると、「御神体として祀られている木造の神像七躯は遠く平安時代(1180)に遡る」とあり、その後、江戸時代の元和四年(1618)に加賀・白山大権現の神霊を勧請したとの由。
 某サイトによると、ここはパワースポットだとか・・・。
   神社のすぐ前に風俗店があった。
 なるほどパワースポット

 
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 このあたりは1960年代後半から始まった多摩ニュータウン造営計画によって、すっかり開発された地域である。当時立てられた団地はいまも残っている。

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落合3丁目団地から多摩センター駅方面を眺める 
 

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なぜか駐車場にD-51が置かれていた


 散歩の終わりは極楽湯。
 土曜の午後、さすがの混雑であった。

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● オペラ:ヴェルディ作曲『アイーダ』(マリボール国立歌劇場)

日時    10月17日(金)18:30~
会場    練馬文化センター大ホール(東京都練馬区)
aidaキャスト
 指揮     フランチェスコ・ローザ
 アイーダ  クリスティナ・コラル(ソプラノ)
 ラダメス   ミロ・ソルマン(テノール)
 アムネリス  イレナ・ペトコヴァ(メゾソプラノ)
 アモナズロ ダヴィド・マルコンデス(バス)
 ランフィス   ヴァレンティン・ピヴォヴァロフ(バス)
 エジプト王 アルフォンス・コオリッチ(バス)
 管弦楽&合唱 マリボール国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 舞踏     マリボール国立歌劇場バレエ団


 マリボール国立歌劇場はスロヴェニアにある。
 スロヴェニアは、イタリアの右、ハンガリーの左、オーストリアの下に位置し、アドリア海に面した人口約200万人の小国である。国土の58%が森林という自然豊かな美しい国である。
 今秋、芸術レベルの高さで知られるマリボール国立歌劇場が来日し、日本各地で18回の『アイーダ』公演を行う。
 今日は、その初日であった。

 今回の公演の目玉は、世界的なドラマティックソプラノの双璧と言えるマリア・グレギーナとフィオレンツァ・チェドリンスが特別出演(ダブルキャスト)で主役のアイーダを歌うところにある。もっとも、全公演を通してではなく、東京近辺の名の知れた劇場のみで、あとはマリボール歌劇場のプログラムで主役を務めた若手のソプラノによるダブルキャストとなっている。
 もっとも、こうした情報はあとからネットで調べて知ったことで、たまたまどこかのホールで手にした練馬文化センターの『アイーダ』のチラシを観て、久しぶりに生オペラを聴きに行きたいと思い、チケットを取ったのであった。アイーダ役は若手ソプラノである。
 チェドリンスが出ると知っていたなら、それを聴きたかった気もするけれど、おそらく高額なチケットはすでに完売であろう。

141017_1659~01 練馬文化センターははじめてである。
 早く着きすぎたので、近くにある白山神社を詣でてパワースポットとして有名な大ケヤキを見物する。
 樹齢推定900年。1083年、源義家が「後三年の役」で奥州へ向かう際、戦勝を祈願して苗を奉納したと伝えられている。都内最大のケヤキで、高さ19メートル、幹周り8メートル、国の天然記念物に指定されている。枝の先のほうから色づき始めていた。完全に紅葉したら見物であろう。
 神社のご祭神はイザナミノミコト。
 両手を合わせ、慈悲の瞑想をする。
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 『アイーダ』は好きなオペラである。
 まず、舞台が古代エジプト王宮なので、ゴージャスで神秘的でエキゾチックな舞台美術を楽しむことができる。
 第二幕「凱旋の場」においてクレッシェンドしていく管弦楽と合唱のクライマックスは、いつも興奮させられる。第三幕ナイルのほとりでアイーダによって切々と歌われる「おお、わが故郷」のリリシズムも陶酔させられる。
 人質として捕らえられたエチオピアの王女アイーダとファラオの王女アムネリスの、将軍ラダメスをめぐる女同士の火花を散らす争い(ののしりあい)も面白い。
 アムネリス「私からラダメスを奪えるものなら奪ってみるがいい。この女奴隷め!」
 アイーダ 「受けて立ちますとも! 私だって世が世なら・・・・ああ!」
 まるで、一昔前の大映テレビドラマ(『スチュワーデス物語』ほか)のようなエグ味とコクのあるベタな展開に心はやるのは、自分の中のオネエ気質のせい?
 歌唱、管弦楽、バレエ、芝居、服飾、美術、演出、舞台セット・・・・総合芸術たるオペラの真髄をこってり味あわせてくれるのが『アイーダ』である。


 座席は2階席の舞台正面。舞台全体が非常によく見える好位置。料金はA席1万円だった。渋谷のオーチャードホールならきっとS席(2万4千円)扱いになるであろう。1階席はほぼ埋まっていたようだが、2階席には空席が目立った。もったいない。

 舞台装置や演出は、非常にオーソドックスで、気を衒ったところがない。そこが好感持てる。やはりアイーダはゴージャスでなければ。
 あえて独創的な点を挙げるなら、幕開け(序曲)では時を現代とし、エジプトの遺跡を発掘していた考古学者が抱き合っている男女1対の骸骨を発見する場面から始まる。それがつまり二千年後のアイーダとラダメスなのである。
 やっぱり、大映ドラマ風のえぐさ(笑)。
 そこから、時ははるか遡って、古代エジプトに飛ぶ。


 ラダメス役のミロ・ソルマンは、顔立ちも体型も物腰も仕草も声も発声も、悲劇より喜劇向き。大軍を率いるカリスマ戦士というイメージではない。初日で緊張していたのか、声もあまりよく出ていなかった。
 アムネリスのイレナ・ペトコヴァも不調。声が管弦楽に消されてよく響かない。途中、歌詞を忘れたようなところもあった。アムネリスが強靭でないと、この作品は面白くない。最後まで持つかハラハラしたが、最終幕のアムネリスの見せ場では奮起して、愛する男を嫉妬から死に追いやった愚かな哀しい女の苦悩を熱演していた。
 ランフィス、エジプト王は及第点。
 アモナズロを演じたマルコンデスは黒人で、わざと褐色の肌を露出する衣装をまとい、いかにも囚われたエチオピア人って感じを出していた。そこはインパクト大であるが、やはり声が弱い。アモナズロに与えられた非常に魅力ある、アクの強いメロディを御し切れていない気がした。まだ若いためか。
 素晴らしいのはアイーダを歌ったクリスティナ・コラル。他の歌手の不出来を補って余りある見事な歌唱であった。ドラマティックソプラノだから、声が大きいのは当然だが、本当に良く通る、強靭な声で、低い音から高い音までホールの隅々までしっかり響いていた。ピアニシモも美しく伸ばせていた。第一幕のアリア「神よ、慈悲を(Numi, pieta)」の苦悩表現、第3幕のアリア「おお、わが故郷」の叙情表現も上手かった。ただ、ラダメスを色仕掛けで落として戦闘の極秘情報を聞き出す場面は、説得力(=フェロモン)が不足していた。これから女として経験を積んでいくであろう。
 いずれにせよ、この歌手はこのまま行けば国際的なレベルまで行けそうである。なんか、掘り出し物を見つけた気分。

 指揮と管弦楽は、優れた部分と妙にたるんだ凡庸な部分とが交互していた。優れた部分では、登場人物の心象風景が音として表現されているのを(ヴェルディがそのように作ったすごさを)発見する思いがした。
 合唱とバレエは文句なく素晴らしかった。
 全体として、良い舞台であり、良い歌唱であった。

 「あれ???」と思ったのは、観客の反応の鈍さである。
 普通なら拍手が鳴るところで拍手がなく、「ブラボー」が飛び交って然るべきところで無言。喝采の持続時間も総じて短く、「この出来なら3倍長くていいはずなのに・・・。」「いったん引っ込んだ歌手を拍手で引っ張り出してもいいくらいの出来なのに・・・。」とたびたび思った。
 自分一人、頑張って拍手して、「ブラボー」を叫んだが、やっぱり一人じゃシラける。
 「歌手も指揮者も楽団員も奇異に感じているだろうなあ~」と変に気をまわしてしまったのだが、最後の幕が下りると、それまで控えていたエネルギーが噴出したかのように、盛大な喝采が湧き起こった。
 おそらくオペラを聴きなれていない人が多かったのであろう。

 久しぶりに生の舞台に接してつくづく思ったのは、超一流の舞台を家でDVDで観るより、たとえ二流の舞台でも――マリボール歌劇場は二流ではないが――なまで観る(じかに聴く)ほうがずっと良い、ということ。ナマ音の波動を体で受け止めるに如くはない。


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