ソルティはかた、かく語りき

東京近郊に住まうオス猫である。半世紀以上生き延びて、もはやバケ猫化しているとの噂あり。 本を読んで、映画を観て、音楽を聴いて、芝居や落語を見て、旅に出て、山に登って、仏教を学んで瞑想して、ボランティアして、デモに行って、無いアタマでものを考えて・・・・そんな平凡な日常の記録である。

評価C+

● 映画:『パーフェクト・ルーム The Loft』(エリク・ヴァン・ローイ監督)

2014年アメリカ、ベルギー共同製作
上映時間 103分

 ベルギーで10人に1人が観たという大ヒット作『ロフト.』(2008年)のハリウッドリメイク版。
 豪華なロフト(アパートメント)のベッド上に無残な姿で横たわる女性の全裸死体をめぐるミステリーサスペンス。そのロフトこそ、5人の男たちが浮気目的のために妻に内緒で共同購入したのであった。
 市民良識にしたがって警察に届ければ、ロフトのことが、浮気のことが、妻たちにばれる。それはどうしても避けたい。だが、死体をうまく始末しようにも女性の片手がベッドポールに手錠でつながれているのでそれもできない。そのうえ、ロフトの鍵を持っているのは5人の男のみ。つまり、犯人は5人のうちの誰かである。
 ――という興味深いシチュエーションが緊張と謎を生み、ロフトを利用する男たちの自堕落で奔放な性生活の描写が退廃的かつエロティックな匂いを巻き散らす。
 結末はなかなか意外性に満ち、真相は残酷なものである。
 が、トリックとしてみた場合、ずいぶん苦しい。これでは仲間も警察もだませないだろう。もちろん妻たちも・・・。
 そもそも、男友達とつるんで秘密の部屋(ロフト)を共同購入するというのは、一見、浮気を隠すいいアイデアと思うかもしれない。ホテル代も浮くし、クレジッドカードの明細からホテル使用が妻にばれる心配もない。浮気相手とホテルへ出入りする際に知っている誰かに見つからないかとキョロキョロする必要もない。だが、浮気相手との関係がこじれたとき、一発でおじゃんになる。たとえば嫉妬に怒り狂った愛人が妻にたれこんだら、ロフトという証拠があるだけに嘘は隠し通せない。連座している男友達もみな道連れになろう。浮気していたことへの怒りに加えて、勝手にロフトを購入したことへの怒りも加わる。全然よいアイデアとは思われないんだが・・・。



評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!




● 映画:『鑓の権三』(篠田正浩監督)

1986年松竹
上映時間 126分

 池袋で買い物したあと、なんとはなしに新文芸坐を覗いたら、『ー表現舎50周年記念ー 映画監督篠田正浩と女優岩下志麻の映画人生をたどる』と題した10日間の企画をやっていた。
 「おっ、志麻姐さんだ! 今日のプログラムは何だろう?」
 入口の看板を見ると、『鑓の権三(やりのごんざ)』と『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』。
 どちらも近松門左衛門原作の密通ものである。どちらも未見である。
 タイムテーブルをみると、ちょうど前の回が終了したばかりであった。
 数年ぶりに新文芸坐にて二本立てを観ることになった。

 溝口健二監督の大傑作『近松物語』(1954年、原作は『大経師昔暦』)を挙げるまでもなく、近松の心中物は、封建制度・武家社会・儒教道徳の世で、結ばれてはならない間柄にある男女(あるいは男男)が道ならぬ恋におちいり、義理や体面や恥や道理といったしがらみにがんじがらめとなり、窮地に追い込まれて駆け落ちし、追っ手に捕らわれて処刑される、あるいは心中する、という筋書きを旨とする。その意味で、『ロミオとジュリエット』や『トリスタンとイゾルデ』や『アイーダ』と同系統の「社会(世間)V.S.個人」の物語ということができる。
 個人の自由と平等と権利とが尊重される近・現代社会では成立しづらくなった物語機構である。実際、近松作品の主人公たちの置かれている苦境の質を理解し共感するのは、現代人にはなかなか難しいものがある。
 一方、人を好きになる気持ちや恋愛の最中に発生する様々な複雑な感情はいつの世でもそう変わりがないので、そのあたりを演出家や演技者がうまく表現できれば、時代を超えた感動をもたらすことができる。
 残念ながら、篠田監督はその点で失敗しているように思われる。
  
 『鑓の権三』は近松門左衛門の浄瑠璃『鑓の権三重帷子(かさねかたびら)』を原作とする。鑓の名手であり三国一の伊達男である笹野権三(=郷ひろみ)と、その茶道師範・浅香市之進の妻おさゐ(=岩下志麻)との密通の一部始終を描いている。
 権三に郷ひろみを抜擢した篠田のキャスティングの才は讃えるべきものであろう。この映画の作られた1986年当時、日本で「水も滴るいい男」というにもっともふさわしいのは郷ひろみであった。“ヤング”を抜けた大人の落ち着きと今を盛りの男のフェロモンふんぷんたる伊達ぶりは、対・松田聖子と対・二谷友里恵の恋の狭間にあって、全日本女性のオナペットというにふさわしい存在であった。
 サムライ姿の郷ひろみは確かに凛々しくてカッコいい。美男である。女性なら誰でも見とれるであろう。演技は達者とは言えないが、美貌と適役ぶりに免じて大目に見ることはできる。
 が、残念なことに色気がないのである。
 これは郷ひろみのせいではない。明らかに篠田監督と撮影の宮川一夫のせいだろう。男を色っぽく撮ることができていない。ヘテロ監督ゆえなのか、それともヒロインであると同時に細君でもある岩下志麻に遠慮したせいなのか。せっかく郷ひろみという逸材を持ってきながら、その魅力(=セックスアピール)を十全に生かし切れていない。(権三の敵役で出演している日本芸能界のドン・ファンたる火野正平の魅力さえ画面に移し損ねている!)
 このドラマを成立させる肝は、そこにいるだけで女を濡らしてしまう鑓の権三の伊達ぶり如何にかかっている。なぜ自分の栄達にしか関心がないエゴイストの権三に周囲の女達が次々と虜にされていくかというと、黙っていても漂ってくる権三の色気、すなわち男性ホルモンゆえであろう。
 そこがフィルムに定着されなければ物語は回らないし、せっかくの志麻姐さんの高テンションの熱演も空回りするばかりである。その結果、おさゐが本当に権三に惚れ抜いているようには思えない。
 
 これが木下恵介監督だったら・・・と思わざるを得ない。



評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!






● 奇妙な味 映画 : 『ダークレイン』(イサーク・エスバン監督)

パラドクス原題 Los Parecidos
製作年 2015年
製作国 メキシコ
上映時間 90分

雨により感染する伝染病の恐怖を描き、シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭などで話題となったメキシコ発のパニックホラー。世界中を襲う豪雨によって外見も内面も変貌する伝染病が発生、雨の中に潜む何かを恐れ、理性を失っていく人々の姿を映し出す。(yahoo!映画「ダークレイン」解説より抜粋)


 奇妙な味の不条理映画『パラドクス』を撮った監督。
 原題のParecidosは「類似」の意。
 欧米とは異なる南米ホラーのタッチが興味深い。同じメキシコ(&スペイン共同)製作の『永遠のこどもたち』に通じるグロさと暗さと子供恐怖症が芬々と匂っている。
 子供というのは一般に「邪気なく、可愛く、希望を与えてくれる」存在と思われているだけに、そうでない正体が明かされると絶望にも似た恐ろしさをもたらす。その先鞭をつけたのは『オーメン』(1976、イギリス&アメリカ)、あるいは『ザ・チャイルド』(1976、スペイン)あたりか。どちらも1976年公開というのが興味深い。この頃を境に、世の大人たちは子供を理解できなくなってきたのだろうか? それとも「子供=純真」という固定観念から脱したのだろうか?
 
 ホラーサスペンスでありながら、コメディタッチのところもあってやっぱり奇妙な味。
 メキシカンのマチョイズム(男らしさ賛美)を前提に鑑賞すると、マッチョイズムを揶揄しているように思える部分があってそこは面白い。



評価:C+


A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!






 

● 赤いランプにご用心 映画:『インビテーション 不吉な招待状』(カリン・クサマ監督)

2015年アメリカ映画
上映時間100分


 シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリに輝いたシチュエーションスリラー、あるいはミステリーサスペンス。
 監督のカリン・クサマは女性である。CGを多用せず、奇をてらわない落ち着いた演出による屋内ロケと役者たちの演技合戦をベースに、丁寧に作られている。演劇的な構成はそのまま舞台に乗っても面白いかもしれない。

 幼い息子の事故死で心に傷を負い離婚したウィル(=ローガン・マーシャル・グリーン)とイーデン(=タミー・ブランチャード)。イーデンはその後音信不通となる。
 2年後、ウィルの元に突然イーデンからディナーの招待状が届く。ウィルが現在の恋人と共にかつての我が家を訪れると、別人のように陽気になったイーデンと新しい恋人デビッドが歓迎してくれた。旧友たち(ゲイカップルを当たり前のように含めているのは女性監督ならではの‘大人らしさ’である)も集まって再会を喜びあうが、ウィルは次第にこの集まりに違和感を持ち始める。
 
 この映画のサスペンスの仕掛けは、ウィルが感じている違和感およびそこから来るゲストとして無作法な行為の数々が、子供を喪った男の解消されていないトラウマが引き起こす妄想のせいなのか、それとも本当にパーティーには何か不吉で禍々しい裏が隠されているのか、観る者には最後の最後まで分からないところにある。
 なのでここで結末は明かさないが、この仕掛けで最後まで引っ張っていく脚本の上手さと主要な役者たちの両義的(どっちにも取れる)演技の巧みさはなかなかのものである。
 特に、元妻イーデン役のタミー・ブランチャードの明るさの背後に透けて見える神経症的な演技と、役者名はわからないがカルト教団のグルを演じる男優の一見慈愛に満ちた引き込まれそうなカリスマ演技が印象に残る。




評価:C+


A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!





● エルム街のレオ 映画:『インセプション』(クリストファー・ノーラン監督)

公開:2010年
製作:アメリカ、イギリス
出演:
  • レオナルド・ディカプリオ
  • 渡辺謙
  • ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
  • マリオン・コティヤール
  • エレン・ペイジ
  • トム・ハーディ
  • キリアン・マーフィー
  • トム・ベレンジャー
  • マイケル・ケイン

 『ダークナイト』(2008)や『インターステラー』(2014)のクリストファー・ノーラン監督作品である。ソルティはこれが3本目だが、基本的に‘好き’な監督と言える。単なる「勧善懲悪」あるいは「自己V.S.世界」といった二元性の物語を超えた領域に、最新のCG技術を用いてファンタスティック&リリカルな映像を紡ぎだすところに好感が持てる。欧米風より東洋風、キリスト教的より仏教的なのだ。
 この『インセプション』もかなり深い。
 主人公コブ(=レオナルド・ディカプリオ)は、他人の夢に侵入し、無意識領域にある情報(=本人の隠された欲望や目覚めているときには思い出せない記憶e.t.c)を読み取る能力を備えている。それを逆手にとって、「標的の無意識に新たな情報を埋め込んで(incept)くれ」という依頼を受ける。依頼主は日本人のサイトー(=渡辺謙)である。
 標的の無意識に、「自分は自分の意思によって父から譲り受けた企業をつぶす」という情報を植えつける。覚醒した本人は、まったくの自分の意思と思って「会社をつぶす」。それがライバル会社のトップであるサイトーの利益となる。
 このシチュエイションが、「人は自分の意思によって人生上・生活上のいろいろなことを選択・決定していると思っているが、ほんとうは無意識によってあらかじめ決定されたことを、あとから‘自己(=顕在意識)’によって、あたかも‘自分が決定したかのように’追認しているにすぎない」という前野隆司の「受動意識仮説」を想起させる。あるいは仏教の‘諸法無我’を――。
 
 それ以外は、大スターたちが縦横無尽に活躍する普通のSFアクションである。
 我らが渡辺謙の英語力がどの程度のものか、英語のセリフによる演技力がどの程度のものか、残念ながらソルティには判別つかない。ただ、存在感だけは主役のレオを食うものがある。
 さすがだ。

 夢に侵入し、現実に影響を及ぼす。
 このコンセプトの古典的傑作は『エルム街の悪夢』であろう。



評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!




● 映画:『骨董屋』(ケビン・コナー監督)

製作年 1995年
製作国 アメリカ
原作 チャールズ・ディケンズ
原題 THE OLD CURIOSITY SHOP
上映時間 181分
出演
  • ネルの祖父/ ピーター・ユスティノフ
  • ネル・トレント/ サリー・ウォルシュ
  • キット/ ウィリアム・マナリング
  • ダニエル・クウィルプ/ トム・コートネイ

 原作を読んだのははるか昔なので、筋はすっかり忘れていた。老人と孫娘との可哀想なストーリーということだけ覚えている。
 「忘れる」ってのは、もう一回新鮮な気持ちで楽しめるという点で必ずしも悪いことじゃない。物語の最後で思いもかけない展開に涙腺が緩んだ瞬間に、「ああ、昔もずいぶんこのラストに泣かされたんだった」と思い出した。そう、ハッピーエンドではないのである。

 ピーター・ユスティノフは、何といっても『ナイル殺人事件』(1978)を筆頭とするエルキュール・ポワロ役が印象に残る。孫娘の稼いだ金を盗んでまで賭博に溺れるギャンブル中毒の男の姿をリアリティ豊かに演じている。さすがだ。
 サリー・ウォルシュは、この作品以外にめぼしい出演作はないようだ。可憐で純粋な雰囲気がネルにぴったり。
 最優秀演技賞に値するのは、トム・コートネイ。この人は、『長距離ランナーの孤独』(1962)で映画デビューしたあと、『ドクトル・ジバゴ』(1965)、『イワン・デニーソヴィチの一日』(1971)、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』 (2007)、『カルテット! 人生のオペラハウス』(2012)などに出ている。本作のクウィルプはディケンズらしい典型的な悪役であるが、観る者をして「憎らしい」と思わせると同時に妙に「魅力的」と感じさせる複雑なキャラクター、あえて言うなら母性本能をくすぐる不良キャラに仕立て上げている。英国の生んだ名優の一人であるのは間違いない。

 19世紀半ばのイギリスの町並みや家屋や風俗が丁寧に描かれ、ディケンズが居た時代を楽しみながら、たとえば雨の休日を費やすのに恰好の作品である。



評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!





● 映画:『チャイルド44 森に消えた子供たち』(ダニエル・エスピノーサ監督)

2015年アメリカ映画。

 原作はイギリス作家トム・ロブ・スミスのベストセラー『チャイルド44』。スターリン独裁政権下のソビエト連邦を舞台とするスリラーである。宝島社が主宰する「このミステリーがすごい!」海外編2009の1位に輝いている。
 原作は読んでいないので比較しようがないのだが、137分の長尺を飽きさせずに最後まで観させてしまう脚本と演出力と役者の演技は見事である。
 
 主演のMGB(ソ連国家保安省)の捜査官レオを演じるのはトム・ハーディ。『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』(スティーヴン・ナイト監督、2013年)での名演が記憶に新しい。ここでも「体制の手先として恐れられ、自らも体制に縛られながら、スパイ疑惑をかけられた妻をかばい、国家に命を狙われながら、少年少女連続猟奇殺人の犯人を追う」という、とうてい現実的とは言えないような難しい役柄を、それほど違和感を露呈させずに演じ通している。下手な役者なら、性格破綻者にしか見えないであろう。早い話、レオよ、お前この映画の中で一体何人の命を奪っている?
 妻ライーサを演じるノオミ・ラパスの熱演も光っている。
 猟奇殺人の解決に協力するネステロフ将軍役にゲイリー・オールドマンを配しているのは、ちょっとしたボーナスポイント。
 
 共産主義独裁政権下の恐怖や悲劇、およびそこに翻弄される人間たちのドラマを描き出したいのか、それとも44人の子供を殺めた猟奇殺人犯の追跡を描きたいのか、両者の間で焦点がぼやけてしまっているのが最大の欠点。つまり、そもそものプロット(設定)に無理がある。
 数字が重要でないことは重々承知しているものの、スターリンが支配した1930年から1953年に80万人近くが反革命罪で処刑されたと言われる。保身のためなら家族や同僚さえ売るような、いわゆる「大粛清」の時代にあって、一人の精神異常者によって殺された44人の子供の死がいかほどのものであろうか、と観る者はつい思ってしまうのである。(しかもこの時代のソ連では何百万人もが飢饉によって餓死している!)
 国家が殺す何百万人には目をつぶって、一人が殺す44人にやっきになる。
 「いや、そこはやっぱり子供は人類の宝だから」と言う言葉はあまりにそらぞらしい。

 
評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!





 

● ゴシックとCGの微妙な関係  映画:『クリムゾン・ピーク』(ギレルモ・デル・トロ監督)

2015年アメリカ、カナダ製作。

 『パンズ・ラビリンス』(2006年)の魔術的映像で名を馳せたギレルモ・デル・トロ監督によるゴシックホラー。
 CG技術と撮影技術の高さ、シュールな色彩感覚が一番の見物である。ストーリーそのものは陳腐であり、ケイト・ベッキンセールの類まれなる美貌と裸体がまぶしい『月下の恋』(1995年)の二番煎じに過ぎない。
 役者では、主人公を陥れるシャープ家の姉ルシールを演じるジェシカ・チャステインの冷たく研ぎ澄まされた美貌と、正体がばれた後の憎悪と狂気の入り混じった鬼気迫る演技に圧倒される。『悪霊島』(1981年、篠田正浩監督)の岩下志麻を連想した。
 
 ゴシックロマンス(小説・映画)になくてはならない要素を上げると次のようになる。
1.古いお城、洋館、廃墟(やっぱりヨーロッパが本場)
2.超自然現象(怪奇現象、ミステリー)
3.過去の悲劇(因縁、宿命、情念)
4. キリスト教文化(神、悪魔、悪魔祓い、十字架等々)  
 
 ゴシックロマンスの先駆は、イギリスの小説家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』(1764年)とされている。それから、アン・ラドクリフの『ユードルフォの秘密』、マシュー・ルイスの『マンク』など現在ではまず読まれない傑作を経て、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(1818年)、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』(1897年)といった現在でも高い人気を誇るキャラを擁し繰り返し映像化される傑作の登場を待って、一つの分野として確立したと言うことができよう。
 ソルティは基本ゴシックロマンス愛好者である。が、上記に上げた小説は『ドラキュラ』以外は読んでいない。やはり、19世紀の小説は長くて描写が(情景も心理も)くどすぎて、読んでいて疲れる。テレビや映画の世紀に生まれた人間の生理的感覚ゆえだろう。
 ソルティがゴシックロマンスといって想起するのは、『アッシャー家の崩壊』をはじめとするポーの短編小説群、オペラ『ランメルモールのルチア』、ミステリー史上の大傑作『薔薇の名前』、ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』、そして、なんと言ってもわれらがモー様こと萩尾望都の漫画『ポーの一族』にとどめを刺す。
 とくに、『ポーの一族』には、ソルティがゴシックロマンスに求め期待するすべてが含まれている。上の4つに加えるならば、
 
5. 美しさと哀しみ
6. 失われたもの(人・場所・習慣・文化・時間・若さ・無垢など)への愛惜

 で、ゴシックロマンスととCG技術というのがどうにも相性が良くない。一方は過去志向、一方は未来志向――ベクトルが相反するように思う。
 この『クリムゾン・ピーク』には、ソルティが望む上記1~6の理想的なゴシックロマンスの条件のうち「4. キリスト教文化」と「6. 失われたものへの愛惜」が欠けている。「5.美しさと哀しみ」も不足している。その上に、CGだらけ。
 ゴシック映画というよりなんとなくSF映画のような気がしてしまうのは、ヒロインと死闘を演じるジェシカ・チャステインの姿がエイリアンかジェイソンのように思えてしまうのは、それゆえではないかと思う。(最後の最後ににもう一度蘇るかと思った。)

 いつの日か『ポーの一族』が映像化される折には、なるべくCGを多用しないでほしいものだ。


評価:C+


A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!




● その愚かさ、無限・・・。 映画:『インフィニINFINI』(シェーン・アベス監督)

2015年オーストラリア映画。

 Infiniはフランス語で「無限」の意。「アンフィニ」と読むのが正しかろう。
 謎のウィルス――感染した人間たちの獣性を引き出して互いに殺し合いをさせる――が蔓延した惑星インフィニに降り立ったクルーの運命を描いたSFスリラー。
 人間の隠された獣性を引き出して‘朱血肉林’の凄惨な殺戮シーンを現出させるという点では、すでに伝説的なB級オカルトスプラッタSF『イベント・ホライズン』(ポール・アンダーソン監督、1997年)を思わせる。あのグロテスク極まる映画の前日譚がこの作品ではないかと思うほどの地獄絵図が展開される。
 最後には、獣性と対峙する人間の聖性(=愛)が勝利をおさめ、謎のウイルス自身の持つ奇跡的な能力によって、死んだはずのクルー全員が生き返り、無事地球への帰還を果たす。
 ――という、なんとも安直でご都合主義のハッピーエンド。
 気が抜けた。
 
 一つ面白いなと思ったのは、人間を遠くの惑星まで瞬時に転送させる「スリップストリーム」という未来社会の革新的技術。これで、大宇宙をスペースシップに乗って危険な航行する必要も、苦しい物理法則を駆使してA地点からB地点へワープする必要もなくなった。制作サイドからすれば、物語を一気に核心であるインフィニに進めることができるし、スペースシップがらみの手間のかかるシーンを撮る必要がないので予算も削減できる。ご都合主義もここまで来れば、かえってどうでもよくなる。
 この夢のような驚異的技術を使って未来社会の人類がやっているのは、膨大な数の低所得者を他惑星に派遣して地球のエネルギー源を開発・転送させる3K(危険・きつい・気違い沙汰)仕事。いわば、大宇宙を舞台にした炭鉱堀り。
 スリップストリームという技術自体の不安定性(=危険度)に加え、地球とはまったく環境の異なる未知の惑星でのストレスフルな仕事。命懸けと言えばカッコいいが、例えてみれば、廃炉になった福島第一原発で残っているウランを取り出す作業のようなもの。
 なぜ未曾有の科学力を全人類が幸福になる方向に使えないのか?
 
 ああ、そうか。人類の愚かさの無限(アンフィニ)を揶揄しているのか。


評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 


 

● 時を駆ける女たち 映画:『はじまりのみち』(原恵一監督)

2013年松竹映画。

 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』(2001年)、『カラフル』(2010年)という傑作アニメ映画を作った原恵一監督の初の実写作品、しかも題材が若い日の木下恵介の実話ということで、期待を込めて鑑賞した。
 
 時は戦時下。木下監督がかの有名な『陸軍』を撮影し、そのラストシーンが陸軍省の反感を買い、次の仕事を干されたところから始まる。監督業に絶望した木下は、寝たきりの母のいる浜松の実家に帰る。空襲が激しくなり、家族は山間の親戚の家に疎開を決める。そこまで行くには暑い盛りを山越えしなければならない。病気の母の安静を保つために、木下は兄とともにリヤカーで運ぶことにする。
 
 まずは松竹の良心とでも言うべきか、役者陣は手堅いところを押さえている。
 木下恵介役の加瀬亮は、シスターボーイ風の美青年だった木下を髣髴とさせる。演技も合格点。おそらく実物はもっとフェミニンな匂いを醸していたのではないかと思われるが、まあそこは映画だから・・・。
 母親木下たま役の田中裕子。松竹「ここぞ」という時の最強の切り札であろう。セリフのほとんどない病人役にもかかわらず、存在感たるや随一である。脳溢血による片麻痺という設定だと思うが、片麻痺の母が頑張って息子(恵介)に喋ろうとする有りさまが、日々老人ホームの仕事で実際の患者に接しているソルティから見ても真に迫るものであった。田中裕子が峠を越えるのはこれで2回目だろうか。
 兄敏三役のユースケ・サンタマリアは個人的には好きな役者でないが、この映画に限っては渋い控えめな演技で通していて及第点を与えられる。実際には木下は8人兄弟の4男だった。この映画には敏三、恵介を含む4人の兄弟姉妹しか出てこない。実の弟の忠司(4つ下)は作曲家として活躍し木下作品の音楽も担当している。名前すら出てこないのには理由があるのか? このあたりの家族関係の処理がいい加減な気がした。
 兄弟と一緒に家財道具を引いて峠を越える羽目になる便利屋役の濱田岳。auのCMに出てくる金太郎である。愛嬌ある顔立ち体つきで、ユニークで憎めない個性が光る。いま魔夜峰央のギャグ漫画『パタリロ』の舞台化で、加藤諒が主役パタリロに抜擢され話題となっている。濱田岳のほうが良かったんじゃないか。

 全体に丁寧に品良く作られた作品と言える。原恵一の才気はむしろ控えめである。最初は意外な気もしたが、木下恵介へのオマージュである作品で、別の監督の個性が目立つのはうざったいだけだろう。これで良いのかもしれない。
 ただ、全般に画面の奥行きが乏しく、リアルな空気感(とくに戸外の)に欠いている感はあった。それをアニメ(2次元)映画のプロとしての原監督の出自のせいとするか、松竹の予算や撮影時間の縛りのせいとするか。それこそ同じ峠越えを描いた松竹の『天城越え』(1983年、三村晴彦監督)と比すれば差は歴然としよう。『はじまりのみち』では蝉の声すら聞かなかったような・・・。
 
 木下監督へのオマージュとして、有名な木下作品が次々と引用される。
 監督デビュー作である『花咲く港』をはじめ、問題となった『陸軍』、『わが恋せし乙女』、『お嬢さん乾杯!』、『破れ太鼓』、『カルメン故郷に帰る』、『日本の悲劇』、『二十四の瞳』、『野菊の如き君なりき』、『喜びも悲しみも幾歳月』、『楢山節考』、『笛吹川』、『永遠の人』、『香華』、『新・喜びも悲しみも幾歳月』。
 コメディあり、恋愛ドラマあり、家族ドラマあり、人情物あり、文芸作品あり、時代劇あり、社会派ドラマあり。本当に素晴らしい作品をたくさん作ったんだなあと感嘆する。

 引用された映画の断片をずっと観ていて、一つのことに気がついた。

「木下映画とは、女性が一人、駆ける映画である」
 
 多くの作品で、主人公の女性が画面に大きく映し出されて、戸外を一人で駆け回るシーンが思い出される。街中であったり、因習強い田舎の野良道であったり、大自然の中であったり、と舞台はさまざまであるが、女たちは何かから逃げるように、あるいは何か重いものを脱ぎ捨てるように、あるいは一心に思いつめた表情で、あるいは晴れ晴れと人生を謳歌するように、駆け回っている。
 そのはじまりの一歩が『陸軍』ラストシーンの田中絹代だったんじゃないだろうか。
 そして、その走りは現代の『アナと雪の女王』において、凍てつく道なき雪原を一人進むエルサまで続いているんじゃないだろうか。
 
「自分の息子に『立派に死んで来い』なんて言う母親はいない』
 木下恵介は、昭和という時代を通して、‘声なき女たち’の代弁者だったのではないかと思うのである。

 最後に一つ。
 やっぱり、お母さんはバスで行ったほうが楽だったと思う。
 


評価:C+
 
A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!




● 映画:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(ジェームズ・ガン監督)

2014年アメリカ。

 アメリカの人気コミックを原作とするSFスペースアクション映画。
 なんの気構えも予備知識も期待感もなくおもむろに観始めて、思わぬ楽しさが待っていた。
 拾い物の一本である。
 
 まず、今さらであるがCG技術の凄さに感心する。もとがコミックでスペースものなので、どれだけCGが使われていても全然気にならない。これが恋愛映画だったり歴史ドラマだったりしたら、やっぱりCGの過剰投与は製作者の‘手抜き’感を高めるだろう。
 また、コミックだけあってキャラクターの‘立ち(=個性)’が素晴らしい。とりわけ、チームを組む5人の戦士のうち、遺伝子改造されたアライグマのロケットと、彼の相棒である木のヒューマノイドのグルートのコンビが、最高にユニークで楽しい。役者世界の有名な言葉に「子供と動物には勝てない」というのがあるが、まさに「動物と植物には勝てない」といったところか。

 家族や友達と酒を飲みながら、休日前夜を楽しく2時間過ごしたいと思うならば、恰好のオススメ映画である。(そのかわり3日経てば内容を忘れる。)


評価:C+


A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!





● 永遠の神経衰弱 映画:『リピーテッド』(ローワン・ジョフィ監督)

2014年イギリス・アメリカ・フランス・スウェーデン共同制作。

 原題はBefore I Go to Sleep. 「私が眠りにつく前に」

 ニコール・キッドマン主演のミステリー&シチュエーションスリラーである。
 どんなシチュエーションかと言うと・・・・・
 クリスティーンは10年以上前の外傷が原因で記憶障害になり、朝目覚めると前日までの記憶をいっさい失ってしまい、20歳の自分に戻ってしまう。
 ベッドの横には見知らぬ中年の男が眠っている。
 (これは誰?)
 (ここはどこ?)
 (私は何をしているの?)
 パニクっているクリスティーンに見知らぬ男は言う。
「ぼくは君の夫のベンだ。ぼくたちは14年前に結婚して、それから一緒に暮らしている」
 ベンの説明を聞き、壁に貼られた結婚式以来の様々なツーショット写真を見て、クリスティーンはやっと気持ちを落ちつかせる。
 そんな朝が繰り返される。
 
 ニコール・キッドマンも、ベンを演じるコリン・ファースもベテランらしい確かな演技で観る者を惹きつける。少ない登場人物で、派手な演出もアクションもなく、おそらくCGもない? 度肝を抜かれるほどの‘どんでん返し’もなく、最後は‘母と子の再会’という永遠の涙腺弛緩テーマで感動を誘う。
 可もなく不可もなく、何も残らない。
 
 ・・・・・のであるが、連想したのは職場(老人ホーム)の認知症の進んだ高齢者たちである。
 「毎朝目が覚めると、昨日までのことをすっかり忘れている」
 というのは、まさに彼らのことなのだ。
 
 部屋のベッドで目が覚める。
 白い天井が見える。
 (はて、ここはどこだろう?)
 起き上がって、周囲を見回す。
 ベッド柵がある。ライトがある。カーテンの閉まった窓がある。ゴミ箱がある。自分のものらしい衣類が置かれた棚がある。
(昨日は家でなくここに泊まったらしい。どうしてだろう?)
 誰かがやって来る足音がして、部屋の扉がガラリと開く。
「○○さん、おはようございます。朝ですよ。今日もいい天気です。さあ、起きましょう」
 見知らぬ若い男が、わざとらしい愛想良さで声をかけてくる。
(これは誰? でも、私の名前を知っているようだ。ホテルの従業員?)
「は、はい。おはようございます。今起きます」
 男に渡された衣類に着替える。
(いつの間に寝巻きに着替えたんだろう?)
 男と一緒に廊下を歩いて、とりあえずトイレに向かう。
 同じような部屋がたくさん並んでいる。
(やっぱり、ここはホテル?)
 食堂に入ると、たくさんの見知らぬ顔が並んでいる。爺さん、婆さんばかり。車椅子に乗っている人もいる。みな、自分と同じようにわけが分らないような顔して押し黙っている。
(ここは病院らしい。自分は病院に連れてこられたのか・・・? どこか悪いんだろうか?)
 隣でお茶をすすっているお婆さんに聞いてみたいけれど、「私はなぜここにいるのですか?」なんて尋ねたら、なんと思うだろう。こちらをキチガイかなんかだと思うのではないだろうか? 
 お茶を配っているあの人に聞いてみようか。でも、なんだかとても忙しそうで、ゆっくり話ができる雰囲気じゃない。
 しばらく黙って様子を見ていよう。
(おや? あの人は見たことがある。名前は知らないけれど、前に話したことがある。とても親切な人だ。ああ、良かった。知っている人がいて・・・・・。そう言えば、お腹がすいた)
 
 こんな朝が繰り返されているのではないかと想像する。
 
 施設で働き始めたばかりのころ、認知症の人たちのレクリエーションでトランプの神経衰弱をやったら、まったくテーブルの上の札が減っていかない。いつまでたっても終わりが見えない。
 前の自分の番のときにめくった札の場所や数字はおろか、直前の人がめくった札の数字も覚えていないのである。記憶を頼みとする神経衰弱は、認知症の人の最も不得意なゲームなのだ。いきおい、2枚の同じ数字の札がめくられるのは、純粋に偶然か直感かに限られる。確率的にかなり‘起こりえない’。
 しまいには参加者全員飽きて、ゲームは中途終了となった。
 その次からは、数字をあわせるのではなく、スーツを合わせるやり方に変えた。ハート同士、クラブ同士、ダイヤ同士、スペード同士合えばOKというように。これなら偶然でも当たる確率は1/4となる。もっとゲームスピードを上げたいときは、色同士で合わせる。赤と赤、黒と黒ならOKというように。これなら目隠しでやっても1/2の確率で当たる。
 かくして神経衰弱は記憶力を競うゲームから、直観力あるいは‘その日の運’を競うゲームに変貌したのである。

 朝方、不安と疑問と心細さで一杯だった入所者たちも、朝食をすませ、トイレを済ませた頃には落ち着いてくる。近くの席の人たちと笑顔で世間話なんかを始める。
 その鮮やかな転換ぶりが4年経ったいまでも不思議なのだが、おそらく彼らは自分が朝方不安におびえたこともまた忘れてしまうのだろう。
 そうでなければ、本当に神経衰弱になってしまう。
 


評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 


● 森×一より笠智衆 映画:『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(リチャード・カーティス監督)

2013年イギリス、アメリカ。

 「もう一度あの時に時間を戻して、人生をやり直せたら・・・」
 という妄想は誰でも一度は描くであろう。
 この映画は、その妄想を現実化してしまった青年の話である。
 
 主人公ティム(=ドーナル・グリーソン)は21歳の誕生日に父親から重大な秘密を打ち明けられる。
「我々一族の男にはタイムトラベルできる力がある。過去に自分が存在した場所に戻って、別の選択肢を選ぶことができる」
 善良で家族思い・友人思いのティムは、その力を悪用することなく、自分の恋愛の成就のため、そして周囲の愛する人々のために使う。
・・・・・というハートウォーミングなSFヒューマンコメディである。
 
 監督のリチャード・カーティスは、ローワン・アトキンソン主演の『Mr.ビーン』や、人気ハリウッド女優(ジュリア・ロバーツ)としがない書店店員(ヒュー・グラント)の身分(?)違いの恋愛を描いた『ノッティングヒルの恋人』、レネー・ゼルウィガー主演の『ブリジッド・ジョーンズの日記』など、コメディ映画の脚本家としてむしろ有名である。脚本兼監督をつとめたこの『アバウト・タイム』も、上記の作品同様、イギリス風のとぼけたユーモアと不器用に生きる市井の人々へのあたたかい眼差しをもって、何の変哲もない日常生活の中にひそむ「生」の魅力を描くことに成功している。
 
 役者の中では、ティムの父親を演じたビル・ナイが俄然光っている。どこかで観た顔なのだが、何の映画の何の役だったのか思い出せず・・・。
 ウィキで調べたら、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のデイヴィ・ジョーンズ役をはじめ、『ハリー・ポッターと死の秘宝PART1』、『銀河ヒッチハイクガイド』、『ショーン・オブ・デッド』、『オペラ座の怪人』ほか、たくさんのヒット作・話題作に出演している名バイプレイヤーなのである。
 名前を覚えておこう。(無理)
 
 実際には、ティム青年が持っているような過去に戻る超能力を与えられたら、その人は間違いなく不幸になるだろう。失敗しても何度でもやり直しが効くので、目の前の一つのことに心をこめて打ち込むことができなくなってしまうだろうし、自分の人生を完璧にしたいという執念が異常なまでに高まって、ちょっとでも気に入らないことがあると、簡単にタイムトラベルを繰り返すようになる。しまいには、整形手術にはまった芸能人みたいにコントロールとバランス感覚を失って、グロテスクな結末を迎える羽目になろう。

 「もう一度あの時に時間を戻して、人生をやり直せたら・・・」と願うのは、その人が「今の自分」を受け入れられないところから来る。
 たとえ、タイムトラベルをして状況が思い通りに変わったとしても、「今の自分を受け入れられない」という性格自体が変わらなければ、結局、 堂々巡りになるだけだろう。主体がマイナス(-)であるとき、いくらプラス(+)を掛けても、出てくる答えはマイナス(-)にしかならない。
 「今の自分」「その時々の自分」を受け入れられることこそ、幸福でいるための最大の秘訣である。
 きっと、その秘訣をものにした人の顔は、穏やかに輝いていて、見る人をも幸せな気持ちにさせ、いくら歳を重ねようが整形手術の必要などないに違いない。
 笠智衆のように。



評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!





 


● シーシュポスの岩 映画:『パラドクス』(イサーク・エスパン監督)

2014年メキシコ映画。

 原題はEl  Incidente
 「出来事」といった意味か。

 1階まで降りると9階の踊り場に、9階まで上がると1階の踊り場に到達する出口のない階段。一本道をずっと運転し続けると、いつの間にか通り過ぎたはずの道に舞い戻ってしまう道路。山手線のように同じ軌道をグルグル走り続け降車できない列車。漕げども漕げども陸地も他の船も見えない大海原を漂う筏。
 無限に繰り返される出口のない空間に、30年以上、訳も分からず閉じ込められた数名の男女のパニックと恐怖と苛立ちと絶望と墜落と諦めとを描くシチュエーションスリラー。
 「世界各地の映画祭で注目を集めた」というDVDパッケージの煽り文句に乗せられてレンタルした。
 
 趣向は面白い。
 しかし、意味が分からん。
 結局なんだったのか、最後まで明かされることがない。
 永遠にループするシステム自体は判読できる。一つのループシステムが別のループシステムに、登場人物の一人を介してつながってゆくという仕組みは分かった。だが、いったい誰がどういった意図で、このようなパラドクスをある特定の人物に仕掛けたのかが説明されないで終わってしまう。
 その点で、パラドクス(逆説)というより不条理である。喜劇にしろ悲劇にしろ、幸福にしろ不幸にしろ、すっきりした結末がない。

 深読みするならば、元になっているのはギリシア神話に出てくる『シーシュポスの岩』だろう。
 
 シーシュポスは神々を二度までも欺いた罰として、タルタロスで巨大な岩を山頂まで上げるよう命じられた(この岩はゼウスが姿を変えたときのものと同じ大きさといわれる)。
 シーシュポスがあと少しで山頂に届くというところまで岩を押し上げると、岩はその重みで底まで転がり落ちてしまい、この苦行が永遠に繰り返される。(ウィキペディア「シーシュポス」より)
 
 『異邦人』で有名な久保田早紀、じゃなかったアルベール・カミュ(1913-1960、←タレントのセイン・カミュの大叔父にあたる大作家)が、このエピソードをもとに『シーシュポスの神話』というエッセイを書いている。ソルティ未読だが、「いずれは死んですべて水泡に帰すことを承知しているにもかかわらず、それでも生き続ける人間の姿を、そして人類全体の運命を描き出した。」(ウィキペディア『シーシュポスの神話』より)。
 イサーク・エスパン監督がここまで哲学的なところを踏まえて、この映画を撮ったのかどうか知らないが、確かに人生の比喩として観ると‘面白い’・・・て、言っていいのやら。どころか、仏教徒のソルティが観ると、もっと深く、もっと残酷に、これは輪廻転生の比喩のようにも思える。
 
 この世に生まれると同時に前世の記憶をすっかり抜き取られ、一からやり直し。理由も目的も分からず、ゴールも分からず、出口も分からず、ただ欲望を満たすために闇雲に闘うだけ。得られたものはすべて奪い去られ、老いて病んで苦しみのうちに死んでいく。それが何万回、何億回と繰り返される。
 これがブッダの説いた輪廻転生の実体である。

 そのあたりと絡ませると、この映画はかなり深遠な興味深いものになっただろう。
 でも、エスパン監督は仏教を知らんだろうな。

 いずれにせよ、怖ろしいシステムだ。
ハムスター車

評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!




 


 
 
 
 
 

● 人類愛・・・。 映画:『インターステラー』(クリストファー・ノーラン監督)

2014年アメリカ、イギリス。

 原題(Interstellar)は「星の間」の意。
 169分という長尺のSF映画であるが、最初から最後まで退屈することなく楽しめた。テンポが良いこと、トウモロコシ畑や宇宙空間や未知の惑星をはじめとするヴィジュアルの美しさ、そこで起こる不可思議な現象(相対性理論やブラックホールに由来する)への興味が、観る者を引っ張っていく。逆に言うと、ドラマそのものは貧弱である。その点で、すぐ前に見た『オン・ザ・ハイウェイ  その夜、86分』と真逆の位置にある。
 
 波打つトウモロコシ畑と中年に差しかかった男の捨てられない野望という点では『フィールド・オブ・ドリーム』を想起し、人類愛と父と娘の愛情という点では『アルマゲドン』『コンタクト』と重なり、宇宙空間の神秘と科学性という点では『2001年宇宙の旅』『コンタクト』に追随し、ドラマの貧弱さでは『サイン』と同列である。‘ごった煮’という印象は否めない。
 人類救出という大事件をテーマとする大作の割りには驚くほど登場人物が少ない。(ここがまた『サイン』と通じる) その中で光るのは、アメリア・ブランド博士を演じるアン・ハサウェイの理知的な美しさ、主人公ジョセフ・クーパー(マシュー・マコノヒー)の幼少の娘マーフを演じるマッケンジー・フォイのクールな美少女ぶりである。あと、後半でマット・デイモンがマッドキャラで登場するのは望外の喜び。

 この作品は、「ワームホールを描写し、相対性理論を可能な限り正確にするために理論物理学者のキップ・ソーンが科学コンサルタントを務めた」(byウィキペディア『インターステラー』)そうである。
 なので、科学音痴の自分が難癖つけるのはおこがましいのだが、やっぱり見終わった後に腑に落ちないものがある。タイムトラベルものに不可避について回るパラドックス(矛盾)がこの作品でも生じている。
(注意:ここからはネタバレです。)

1. 主人公クーパーの娘マーフの部屋で、ポルターガイストと思える「不可思議な現象」が起こる。
2. その謎の解明をきっかけに元空軍パイロットのクーパーはNASAと接触するようになり、人類を救う使命を受けて宇宙に旅立つことになる。
3. 宇宙旅行の様々な試練難関をくぐり抜けた挙句(その間に地球では数十年が過ぎていた)、クルーのブランド博士を助けるため、クーパーはブラックホールに一人飛び込む。
4. ブラックホールの行き先は4次元空間で、幼い頃の娘の部屋の本棚の裏側に通じていた。
5. クーパーは、ブラックホールで手に入れた人類を救うために必要なデーターを、なんとか娘に伝えようと苦心する。
6. それが、はじめの「不可思議な現象」の正体だった。

 かいつまんで言えば、上記のような構成なのだが、1と6とでつながって時間がループしている。
 ここで頭をひねるのは、
A.「不可思議な現象」が起こらなかったら、クーパーが宇宙に旅立つことはなかった。
B.クーパーが宇宙に旅立たなければ、「不可思議な現象」も生じない。 
C.結果として人類が救われることもない。
 このAとBとCは因果的に動かせないだろう。ここには矛盾はない。
 次に、こう仮定する。
A’ 「不可思議な現象」を目にしても、クーパーが宇宙に旅立つことを何らかの理由で拒否する。(幼い娘の懇願に負けてとか)
B’ その場合、クーパーはブラックホールを通じて4次元空間に入り込むことはないので、「不可思議な現象」を起こせない。
 この仮定A’と結論B’は明らかに矛盾する。
 クーパーが宇宙に旅立たなければ、「不可思議な現象」はそもそも起こらない。
 つまり、「不可思議な現象」が起こった時点で、すでに「クーパーが宇宙に旅立つ」ことは決定付けられている。それ以外の選択肢はあり得ない。
 「すべてはあらかじめ決まっていた」と結論付けるほかない。
 
 「すべてがあらかじめ決まっていた」を「アリ」とするなら、ドラマが介在する余地はなかろう。人類は、あらかじめ運命づけられているストーリーを神(だか高度生命体だか)の書いた脚本どおりに仕方なく生きているだけの話になる。人類が滅亡するも救出されるも「別に・・・」ってことになりかねない。
 それともこれは、あらかじめ決まっている運命の中で、それでも懸命に愛し合い、夢を見、運命に抗って生きようとする人類の気高さを謳っている作品なのか。

 それにつけても、この種のアメリカ映画を観るといつも思うのだが、人類ってそれほどまでに生き残らなければならない‘種’なのだろうか。
 自分が親でないからそう思うだけ? 
 自分が人類愛を欠いているだけ? 


評価:C+

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 
  

● 映画:『ハングオーバー 最後の反省会』(トッド・フィリップス監督)

2013年アメリカ映画。

 ハングオーバー・シリーズの第3作。
 頼りがいある冷静なフィル(=ブラッドレイ・クーパー)、生真面目でパニクりやすいスチュ(=エド・ヘルムズ)、イケメンで友達思いのダグ(=ジャスティン・バーサ)、そして‘イッちゃってる’アラン(=ザック・ガリフィアナキス)の親友4人が、毎度毎度面倒な事件に巻き込まれ、次々と襲い来るハプニングにきりきり舞いし、命の危険にさらされながら、いちかばちかの度胸と厚い友情と運の良さとで苦難を乗り越えるドタバタコメディ。
 本シリーズでザック・ガリフィアナキス同様、吹っ切れた‘怪演’により人気に火がついたレスリー・チャウ(=ケン・チョン)も一層パワーアップして舞い戻ってきた。
 脚本とキャラクターの面白さで、3匹目のドジョウとは言え、ドタバタコメディとしてはまずまずの出来。期待を裏切らない笑いが待っている。
 でも、4作目は要らないな。
 これでオーバーで正解。


評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」       

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。

      「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!



 

● 映画:『聖衣』(ヘンリー・コスター監督)

1953年アメリカ映画。

 聖衣とは、イエス・キリストが処刑されたときに着ていた衣のこと。
 古代ローマ帝国の護民官(官僚)であるマーセラス(=リチャード・バートン)は、時の帝王ティベリウスの後継ぎであるカリギュラの不興を買いエルサレムに飛ばされる。そこで出会ったのは、神の子として人民から崇められ慕われているイエス・キリスト。マーセラスは、ピラト総督の命によりイエスを磔刑に処する。そのときから彼の心の苦しみが始まる。

 マーセラスの回心とキリストへの帰依が主たるテーマであるが、『ベン・ハー』(ウィリアム・ワイラー、1959年)のように‘主’との感動的な遭遇シーンがあるわけでなし、手に汗握る戦車競争シーンが用意されているわけでなし、なんか中途半端な筋立てである。
 しかも、主役を務めるリチャード・バートンとジーン・シモンズに華がないのは致命的。二人とも容姿は整っているし、誰もが認める演技達者である。だが、少なくともこうした歴史超大作で主役を張れるほどの華がない。リチャードはやはりリズ・テーラーあってのアントニウスだし、ジーン・シモンズにいたっては代表作が思い浮かばない。

 CGを使わないセット撮影の贅沢とそれを可能にした50年代ハリウッド=アメリカの威信を実感する映画である。それ以上ではない。

 にしても、イエス・キリストとカリギュラ帝が同時代に生きていたとは知らなかった。
 カリギュラと言えば、自分の世代ではなんと言ってもティント・ブラスの映画『カリギュラ』(1980年)である。表は歴史超大作の顔をして、その実はまったくのハード・コア・ポルノ。ぼかしのないスクリーンを見ようと、日本から大勢の男達が「カリギュラ観賞ハワイツアー」に参加したのが記憶に残っている。
 その後しばらくしてから日本で再映された‘ぼかし入り’を某成人映画館で観たのだが、「別にどうってことはなかった。」(いつだってそうだ。「チャタレイ」も「エマニュエル」も「エーゲ海に捧ぐ」もなんであんなに騒いだのかよくわからん。)
 ‘猥褻’というのが「陰毛が見えた」とか「陰部がバッチリ見えた」とか「挿入場面のアップ」とか「乳首が見えなければ脱いだことにならない」いった即物的・肉体的レベルにおいて語られるのは、本当に小学生レベルだと自分は思うのだが・・・。
 世の男どもよ。『マドモアゼル』を観なさい。
  
 
評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」  

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

 

● 美人女優の放尿&オナニー考察 映画:『ペーパーボーイ 真夏の引力』(リー・ダニエルズ監督)

 2012年アメリカ映画。

 ダニエルズ監督は1959年生まれの54歳。
 ニューヨーク市在住のアフリカ系アメリカ人。
 2009年に公開された『プレシャス』で日本では知られるようになった。(ソルティ未見)
 カミングアウトしている同性愛者でもある。(この映画でもゲイセクシュアリティが物語の一つの鍵となっている。)

 お気に入りのニコール・キッドマンが出演しているのでレンタルしたのだが、まあ、ニコールの女優魂に感嘆した。
 衆人(囚人)環視の場でマスターベーションするわ、恋愛感情を向けてくれる少年(ザック・エフロン)の体にオシッコをかけるわ、台所のシンクに手をついて激しくバックを責められるわ、ニコールには「美人女優としてのイメージを大切にしたい」なんてポリシーはまったくないのである。
 ほんと、素敵!
 むろん、「美人女優」であることより、どんな役でもこなせられる「演技派」であることを重視しているのだろうが、日本の女優でこの役をやれる人がいるだろうか?

 マスターべーションとオシッコ。
 この二大恥辱をスクリーンで披露した女優として、なんと意外なことに、吉永小百合がいる。
 吉永小百合は『天国の駅』(1984)で死刑囚を演じたときにオナニーをしてみせ、『映画女優』(1987)で田中絹代を演じたときに畳の上で着物を捲り上げて放尿してみせた。「清純派脱皮」を目指して役者根性を見せたものの、やっぱりイメージからの脱皮はかなわなかった。
 同じ美人女優で実力派。
 なのに、ニコールと小百合の差はどこにあるのだろう?
 ニコールは脱いだけれども小百合はついにヌードにはならなかった――ってところにあるのか。根強いサユリストらの作る結界が小百合の脱皮を阻むのか。
 思うに、ニコールは映画の中の登場人物になりきることができるけれど、小百合は何を演じても「小百合」になってしまうところに要因があるような気がする。演じる役柄(たとえば死刑囚、田中絹代、『鶴』のつう)よりも、演じている小百合のほうが前に出てしまうのである。
 親の反対を押し切って15歳年上の岡田太郎と結婚したことが示すように、平和運動や脱原発運動に力を入れ積極的な発言をしていることが示すように、吉永小百合は非常に強い「個」と自意識を持っているのだろう。
 清純派というのはお門違いで、実は無頼派なのじゃないだろうか。
 
 つい話が小百合に持っていかれたが、ニコールの熱演とザック・エフロンの白いパンツ一丁姿が印象に残る良質なサスペンスである。


評価:C+

A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」  

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

● MOTTAINAI! 映画:『斬る』(三隅研次監督)

1962年大映。
 

 時代劇の巨匠三隅研次監督の美的センスの冴える映像と、雷様こと市川雷蔵の臈たけた魅力を楽しめる作品。

 それだけで十分という気もするが、物語的にはもの足りない。というか、もったいない。

 自死(切腹)で終わる一人の剣客・高倉信吾(=雷蔵)の波乱の生涯を描いた物語なのだが、物語の枷とも動因ともなるのが信吾の出生の秘密である。

 信吾の母親は、自らが仕えていた主君の愛妾を手にかけて打ち首となる。その際の処刑人こそが信吾の父親であった。生まれて間もない信吾は秘密裡に高倉家の養子となり、何も知らないまま成長し、義父を実の父と思い尊敬し、義妹を実の妹と思い可愛がってきたのであった。

 これは物語の枷としては十分すぎる仕掛けである。この秘密を信吾がいつどうやって知るか、知った後に義父や義妹との関係はどう変わるか、この衝撃をどう乗り越えるか、母親の起こした殺人事件の内容をどのように知るか、それをどう受け止めるか、生存している実の父親とどのように再会を果たすか・・・。
 語りどころ満載、見所満載になるはずである。

 しかし、そこがうまく活かされていないのである。

 せっかく観る者を最後まで惹きつける魅力的な仕掛けが用意されていながら、脚本(新藤兼人)が拙いせいで不発に終わってしまっている。

 残念至極。

 同じような出自のトラウマを物語の動因としてうまく活用し展開した『破戒』(市川昆監督)や『源氏物語』(森一生監督)とくらべると、そのもったいなさは明らかである。

 映像が素晴らしいだけにかえって惜しまれる。



 

評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」
   
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!

 


 


● 映画:『日本女侠伝 真赤な度胸花』(降旗康男監督)

 1970年東映。

 藤純子主演の日本女侠伝シリーズ第2弾。
 開拓時代の北海道が舞台となる西部劇風ドラマである。
 普段はきっちりと帯を締めた着物に結い上げた髪も艶やかな藤純子が、『二十四の瞳』の女教師の如く、洋装に髪を長くたらし上品な日本語をあやつる姿は、「おっ」と思うほど新鮮である。すっきりした顎のラインと典雅なたたずまい、声優の池田昌子によく似た声は、オードリー・ヘップバーンを思わせる。
 藤純子とヘップバーン。まったく思いもつかなかった相似に惑乱する。
 西部劇で言えば「シェーン」のように、風のように現われて風のように去っていく高倉健も相変わらず渋くてカッコいい。
 高倉健演じる風見五郎が藤純子演じる松尾雪に愛を告白するシーンの気障っぽさといったら、ほとんどポエムである。アイ・ラブ・ユーという言葉を持たないこの時代の日本人が、いきなり相手を奪うのではなしに(とりわけそれはストイックな健さんには許されない)、相手に気持ちを伝えるには、どうしても歯の浮いたセリフと気の利いた演出を用意しなければならない。それが日本映画の恋愛シーンの繊細さ(あるいは歯がゆさ)を生んできたのであろう。
 冗談とも本気ともつかぬ口調で「お前に惚れたんだ」と欲望まるだしで雪に迫るトッカリ松(=山本麟一)を歯牙にもかけず、「アイ・ラブ・ユー」を言わない(言えない)風見五郎を選びとる雪の姿勢に、日本人の言葉に対する不信を読むと言ったらうがちすぎだろうか。




評価:C+


A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。 
        「東京物語」「2001年宇宙の旅」   

A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
        「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
        「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
        「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
        「スティング」「フライング・ハイ」
        「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」    

B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
        「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
        「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
        「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
        「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」 
        「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
        「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
        「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」
        「アナコンダ」 

C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
        「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
        「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!


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