熱海の来宮神社は昨今のパワースポットブームに乗ってか参詣者が多い。テレビや雑誌で紹介されることもたびたびである。
人々の目的は、神社にある樹齢2000年以上の大楠である。
幹の周囲24メートルのこのクスノキの周りを一周すると寿命が一年延びる、心を込めて願い事をしながら回ると願いが叶う、といった迷信、もとい言い伝えがあって、神木に触れることなく参詣者が周囲を回れるように、ちゃんと階段状の通路ができている。

拝殿の左奥にその楠は鎮座している。
実際、見事な楠である。
環境省から全国2位の巨木の認定を受けていると言う。
1位は鹿児島県姶良(あいらい)市の蒲生八幡神社にある「蒲生のクス(周囲24.2メートル)」である。
屋久島の縄文杉は周囲14メートルでトップ10に入っていない。
だからって、どうってこともないが・・・。
そばで見ると、幹の節というかコブというか気根というかのグロテスクなこと。これを「垂乳根」と言うにはあまりに世の母たちに失礼である。
神聖な感じは特段しないけれど、「木の宮」というだけある。圧巻のたたずまい。

神社の祭神は次のお三方。
1.日本武尊(やまとたけるのみこと)・武勇と決断の神
2.五十猛命(いたけるのみこと)・営業繁盛・身体強健の神
アマテラスの弟・素盞鳴尊(すさのおのみこと)の御子。木の神として有名。
3.大巳貴命(おおなもちのみこと)・樹木と自然保護の神
素盞鳴命(すさのおのみこと)の御子。大国主命(おおくにぬしのみこと)、俗に「ダイコク様」として有名。
熱海に行ったら時間あれば必ず立ち寄ることにしている温泉がある。
日航亭大湯である。
1200年以上の昔、平安時代に噴き出した温泉で、徳川家康も湯治に来たという。
もちろん、源泉100%掛け流しである。
ここの良さは、お湯の質もさることながら、雰囲気である。
家族や若い女性を呼び寄せるべく「おしゃれに、豪華に」開発されてしまったホテルが立ち並ぶ中にあって、昭和の面影を残しているのだ。そこが実に落ち着くのである。
一見「ボロい」たたずまいを敬遠してか、熱海駅や海岸から少しはずれている場所にあるせいか、いつ行っても空いていて、ゆっくり浸かれるのも良い。
ここの露天風呂は広くて、静かで、日当たりも良く、本当に気持ちがいい。ややぬるめの湯に浸かって青空を眺めていると、ふつふつと幸福感が身内に湧き上がってくる。湯のしょっぱさに熱海という名の由来を感じることができる。
隣にある同じ大きさの内風呂もいい。
山小屋みたいな造りで、壁と屋根に檜を使っている。その香がプ~ンと籠もっていて、気分がほぐれる。
脱衣所が広いのもゆったりできて良い。
これからもあまり混まないでいてほしい。
変にきれいに建て直しなんかしないでほしい。
今回はじめて建物の入口の所に、空海の手形があるのに気づいた。
なんでここにあるのか、本物なのか、手形の上の説明版に由来は書いてあったけれど、メモしなかった。熱海と空海、単に「海」つながりか?
ただ、この手形に手を合わせ、その手で体の悪い部分に触れると痛みが消え、快方に向かうらしい。
試みに手形に自分の左手を乗っけてみたら、
なんと!
シンデレラとガラスの靴よろしく、寸分違わず、空海の手と自分の手はピッタリ合ったのである。5本の指の太さや長さまで、全く同じだなんて正直驚いた。
しかし、先日の延岡と言い、どうも行く先々で、空海と出会うなあ~。(屋久島&高千穂スピリシュルツアー参照→http://blog.livedoor.jp/saltyhakata/archives/6027567.html)
















帰りは高速船。速くて便利だが、やはり情緒はない。
もちろん、弁当を広げるのも最高の楽しみ。鹿児島中央駅で買った「えんこ弁当」(420円)は「こういう弁当がほしかったんだよ~」という涙ものの一品。鮭とおかかの大きなおむすびに、さつま揚げ、だし巻き卵、沢庵、ししゃも二匹が、竹皮模様の包み紙におさまって紐でくくられている。「えんこ」とは鹿児島弁で遠足のことである。この弁当を企画した人、えらい! きっとあなたも鉄男でしょう?
・パン工房「ペイタ」

「ペイタ」という名前の手作りパン屋さんで、噛むほどにおいしさ広がる本物のパンとカフェオレで一服。この店は落ち着けていい。



歩き回って汗をかいたので、尾之間温泉に行く。








夜は宮之浦の素泊まり民宿「屋久島89」に泊まる。




フェリーなら、自由に広い船内を探索できる。風呂にも入れる。甲板に出て間近に汽笛を聞きながら遠ざかる鹿児島港や桜島を見送れる。(BGMは小柳ルミ子「瀬戸の花嫁」) 大海原と大空を独り占めできる。コーヒーを飲みながらラウンジでくつろげる。通り過ぎていく大隅半島や種子島にカメラを向けられる。もちろん、客室にゴロ寝して船内図書館で借りたマンガを読みながらビール片手にうだうだ過ごすのも最高である。そして、だんだんと大きくなって近づいてくる屋久島の姿に感動できる。イケメンの逞しい男たちが、船から撃たれた縄を手際よく扱って船を係留させる姿を見るのも楽しい!
屋久島はキャベツみたいな、赤ん坊のオムツ姿みたいな、五角形に近いいびつな円形をしている。島全体が山なので、道路と集落は海岸に沿ってぐるりと円周を成している。大きな集落は3つ。時計で言えば、1時にある宮之浦、3時にある安房(あんぼう)、5時にある尾之間(おのあいだ)。港は前2つの地区にある。島を車で一周すると約3時間(周囲132キロ)かかるが、島内のバスは10時にある永田浜から時計回りに島の東側を巡って8時にある大川の滝までをつないでいる。つまり、島の西部(8時から10時の区間)はバスでは行けない。時計の中心部に島内最高峰である宮之浦岳(1936メートル)と、屋久島詣をする人々の最大の目的である縄文杉が聳えている。
いっぽう、民家や畑や電柱などはまったく本土と同じなので(当たり前だが)、沖縄に初めて足を踏み入れた時に感じたような異国風な感じはない。のどかな日本の田舎といった風情。
時計回りで、今夜の宿泊先である安房の「杉の里」へ。バスを降りたら、あたりは真っ暗。宿を見つけるのに苦労した。
久しぶりの鹿児島。
何か面白い本はないかと近所の古本屋を渉猟しているとき目についた。