2日目の夜は天理市にある奈良健康ランドに泊まった。
 露天風呂やサウナはもちろん、いろいろな種類の風呂があり、マンガ本の揃ったレストルームも広くてきれい。
 心地良く過ごせた。

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JR郡山駅前から送迎バスが出ている

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朝のJR郡山駅

 住井すゑの『橋のない川』を読んだときから「聖地巡礼したい」、すなわち舞台となった御所市柏原に行ってみたいという思いがあった。
 折しも昨年は水平社創立100周年にあたり、柏原にある水平社博物館がリニューアルされたばかり。
 コロナの状況や財布の状態と相談しながら行く機会を探っていたが、間宮祥太朗主演の『破戒』を観て、「今でしょ!」と決行した。 
 御所市は奈良県中部の西よりに位置し、大阪府と和歌山県の県境に近い。


第3日(2/28)奈良

09:49 JR郡山駅
10:41 JR掖上駅
11:00 水平社博物館(60分)
12:00 『橋のない川』聖地巡礼
    昼食
14:37 JR掖上駅
16:28 近鉄京都駅
17:05 JR京都駅発

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JR和歌山線・掖上(わきがみ)駅
無人駅である
ここから20分ほど、のどかな宅地を歩く

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曽我川と郡界橋
ここからは川に沿って進む

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住宅地の目立たぬところに建つ水平社宣言記念碑(1975年建立)
「全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ」で始まる水平社宣言が刻まれている
読んでいると、「人の世の冷たさが、どんなに冷たいか」の箇所でいつも胸が詰まる

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水平社博物館
建物も立派だし、展示内容も充実していた。
特に、1922年3月3日の京都市公会堂での創立大会を一聴衆となって体感できるシアターが良かった。
この日こそは、日本の人権史において最も重要なメルクマール。
また、西光万吉、阪本清一、松本治一郎など水平社運動の基盤を作った人々が、晩年になってから、当時を振り返って語っている映像を見ることができる。
当事者の証言および表情は、いかなる展示物より多くを物語る。
じっくり見学したら3~4時間はかかるだろう。

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受付でもらった周辺マップを手にフィールドワーク
『橋のない川』の登場人物たちやエピソードを思い出しながらの聖地巡り

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西光寺(浄土真宗本願寺派)
西光万吉(本名:清原一隆)の生家。1748年に建立された。
部落の人々の心の拠り所であったろう。
現在、お寺の周囲は「人権のふるさと公園」となっている。

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境内にある西光万吉の墓
「人の世に熱あれ 人間に光あれ」

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いのち燦燦の塔
水平社創立90周年を記念して建立
3月3日には記念碑の穴から朝日が差し入る

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お寺の背後にある本馬山の一角に立つ燕神社
1921年8月28日に建立された。
万吉をはじめとする青年たちはここに集まり、部落差別をなくすための話し合いを重ねたという。

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彼らはこの集まりを燕会と称した。
燕が「日本国中どこに散らばっていても、春が来たら必ず戻ってくる」ように、同志はどこへ散らばっても一年に一度故郷に戻ってくるように、という思いを込めた。

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燕神社から掖上駅方面を望む
中央のテーブルのような山は国見山(229m)
おにぎりとゆで卵の昼食。
こんな平和でのどかな村で酷い差別があったなんて・・・

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燕神社より本馬川と曽我川の合流地点を見下ろす

中世において「穢多」とは、掃除や葬送、土木工事、斃牛馬(へいぎゅうば)の処理や皮革業など、「ケガレ」を清める仕事を担っていた「河原者」の異称であった。(ひょうご部落解放・人権研究所編/解放出版社発行『はじめてみよう!これからの部落問題学習』より抜粋)

「穢れ」を取る→穢取り→えとり→えた、という説もあるようだ。
ある種の宗教的職能者の一群だった可能性を示唆する。
筒井功の説を想起した。

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JR掖上駅にて列車待ち
2時間半の滞在のつもりが、1時間伸びた。
指定予約していた「のぞみ」に間に合わず、自由席で帰った。

今回の旅は、お稲荷さんと白鳳仏と水平社に呼ばれた旅であった。
奈良にはまだ見たことのないお寺や仏像がたくさんある。
古墳や古代の天皇の御陵にも行ってみたい。
次回は一週間くらい滞在したいなあ。
ご縁がありますように!


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神泉苑(京都)