7/5(水)より始まった当展をツイッターで知り、さっそく足を運んだ。
高麗博物館は在日コリアンが多く居住する新宿区新大久保にある。
JR山手線新大久保駅から徒歩10分、職安(ハローワーク)通りに面したビルの7階にあった。
ここを訪れたのは初めて。
JR新大久保駅
15年ぶりに下車した。若者、外国人が多くてビックリ!
15年ぶりに下車した。若者、外国人が多くてビックリ!
「朝鮮人が井戸に毒を入れた」、「あちこちで放火やレイプをしている」といったデマゴギーに端を発して起きた日本人による朝鮮人虐殺事件については、これまでにずいぶんと関連図書を読んできたので、今回の展示内容そのものに関して取りたてて新しい知見はなかった。
- 当時の日本に蔓延していた朝鮮人に対する差別や偏見。
- 未曽有の震災による被害の凄まじさ。
- 錯綜する情報とパニック。
- 群集心理の怖ろしさ(ちょっと前にJR山手線内で起きた「包丁を持った外国籍の男」事件を想起)
- 自警団をはじめとする軍国主義下の男たちの残虐ぶり。
- 率先して朝鮮人虐殺をそそのかし、国際社会からの批判が強まるや、今度は朝鮮人の犯罪証拠をでっち上げようとした閣僚や警察や官人たち。
- そして、学者たちによって認められ長く教科書に掲載されていたにもかかわらず、半世紀以上たって、「朝鮮人虐殺はなかった」、「あったのは震災に乗じて犯罪をおこなった朝鮮人たちに対する正当防衛」などと言い始め、教科書の記述を変えさせようと圧力をかける歴史修正主義者の厚顔無恥ぶり。それが現岸田政権のお膝元に巣食っているのだから、ほんとうに自民党は、日本は、おかしくなった。
100年経ってもいまだにこの事件が大々的に蒸し返されて、こうやって展示やイベントが開かれるのも、政府が事件にきちんと向き合って来なかったからである。
左翼のせいなんかではない。
会場の風景
いくつかの新聞に報道されたらしく入場者は絶えなかった。
いくつかの新聞に報道されたらしく入場者は絶えなかった。
今回の展示に惹かれたのは、本邦初公開の『関東大震災絵巻』が展示されているというからであった。
2021年にネットオークションに出品されていたものを、前館長の新井勝紘氏が見つけて個人的に落札したという。
作者は、福島県西白川郡出身の画家・大原彌市。雅号を「湛谷(きこく)」という。
震災の2年半後の大正15年に描かれたもので、2巻合わせて32mにもなる長大な巻物である。
保存状態も良い。
保存状態も良い。
関東大震災直後の町や村の様子が生々しいタッチで描き出されているのだが、その一部に朝鮮人虐殺の場面もあった。
場所がどこかは特定されていなかったが、警官と軍人と自警団の男たちがよってたかって無抵抗の朝鮮人をなぶり殺しにしているのを、柵の向こうにいる群衆が見物している。
中には、柵を乗り越えて自分も加わろうとする住民らしきもある。
まさに虐殺の動かぬ証拠である(上記チラシ参照)。
関東大震災100周年を待っていたかのように忽然と現れた絵巻。
「日本人よ、忘れるな!」