2021年韓国
116分、朝鮮語

 『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編。
 謎のウイルス蔓延によってゾンビフィールドとなった韓国。
 国としての機能は完全に失われた。
 運の良い人々はいち早く半島を脱出し、難民となって海外移住していた。

 香港に移住した元軍人ジョンソク (カン・ドンウォン)は、ある日、闇の組織から仕事を依頼される。
 「ソウルの街中に、大金が積まれたトラックが捨て置かれたままになっている。それを回収して来い。褒美は山分けだ。」
 ジョンソクは義兄らとともに半島に渡る。
 そこには「神に見捨てられた」世界が待っていた。
 
 前作同様、ゾンビパニック+バイオレンスアクション+家族愛ドラマが展開される。
 前回は急行列車(エクスプレス)が惨劇の主たる舞台であったが、今回は荒廃しきった街中での派手なカーチェイスが目玉となっている。
 さらに、ジョンソクらの敵はゾンビだけではない。
 もともと市民を守るべく組織された民兵集団が、半島に取り残されて凶悪化し、相手かまわぬ殺人を行う愚連隊になっていたのである。
 その名も631部隊。
 彼らは、ゾンビ化していない人間(野良と呼ばれる)を街で見つけると番号をつけて檻に収容し、制限時間を決めてゾンビと戦わせるという、古代ローマの見世物のようなアトラクションを開発していた。
 明らかに、日中戦争時に捕虜を使った人体実験を行った日本の731部隊を揶揄っている。

 そもそもジョンソクの乗った避難船は、当初日本に行くはずだった。
 途中で行き先を変更し、香港に変えられたのである。
 おそらく日本が韓国人の受け入れを拒否したのだろう。
 本作には、日本に対する反感や批判が隠し味のようにたくし込まれている。
 気づかない人も多いだろうが・・・・。

 それにしても、家族愛をここまでストレートに打ち出した作品を、日本人は、昔も今も作ることができない。
 日本人の感情表現はもっと控えめである。
 韓国朝鮮人はラテン系に近いのではないか?
 国民の1/3というクリスチャン人口も、精神文化の根幹が西洋に馴染みやすいことを匂わせる。
 そもそも、ゾンビというキャラクターは、「復活」という奇跡を信じ土葬文化をもつキリスト教文化圏だからこそ、発想され“人気”を得たものであろう。
 言うまでもなく、史上最強のゾンビはイエス・キリストである。
(ゾンビ映画のそもそものルーツは、ハイチのブードゥー教にあると言われている)
 日本にも『カメラを止めるな!』や『屍人荘の殺人』などゾンビ映画はないこともないが、やはり日本人の感覚には合わないようである。
 
 
ゾンビ集団
歩きスマホしている人間はゾンビに近いかも・・・


おすすめ度 :★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損