2010年アメリカ、カナダ
109分
ホラーと思って借りたら・・・・
独身のソーシャルワーカーであるエミリーは、長年両親に虐待されてきた少女リリーを救い出し、自ら引き取って育てることを決意する。
いたって真面目な社会派ドラマの装い。
あれ? GEOスタッフが間違えて、ホラーコーナーに仕分けてしまったのか?
鑑賞モードの変更を迫られ、いささか戸惑ったが、ショットがなかなか凝っていて、語り口もうまい。ソーシャルワーカー役のレネー・ゼルウィガーの演技も良く、黒髪の美少女リリー(ジョデル・フェルランド)がこれまた魅力的。
そのまま引き込まれてしまった。
リリーは、エミリーの愛と福祉の力で虐待トラウマを克服していくのだろうか?
――なんて思っていたら方向転換。
エミリーの担当していた少年が、リリーと接触した後、寝ていた両親を惨殺するに及んで、物語はサイコサスペンスへと切り換わっていく。
リリーにはどこかおかしなところがある。
エミリーは気づくが、時すでに遅し。
エミリーの恋人、エミリーの恩師・・・・次々と犠牲者が上げられていく。
いったいリリーは何者?
その正体は?
ついに観る者は、オカルトホラーという仕分けが正しかったことを知る。
善意から引き取った養女が実はとんだ曲者だった――というプロットは、あのおぞましくもスリリングなホラーサスペンスの傑作『エスター』を思わせる。
『エスター』も本作と同じ2009年公開のアメリカ映画だった。
本作が日本未公開だったのは、内容がダブっていたからか?
ともあれ、こうした養子ホラーは、養子縁組大国のアメリカやカナダなればこそ、発想され、生み出されるものであるには違いない。
その元祖は『オーメン』(1976)のダミアンじゃないかと思う。