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 行こう行こうと思いながら先送りになっていたこの催し。気がつけば会期終了目前だった。
 混んでいるかもしれないなと思いつつ、11/11(土)の午後に出かけた。

 南山城というのは、京都府南部、奈良県に接する一帯をいう。
 緩やかな丘陵地を木津川が流れる心安らぐ地である。
 宇治茶の産地としても知られる。 
 このあたりは由緒あるお寺や素晴らしい仏像がたくさんあるのだが、世界的観光名所の京都と奈良にはさまっているせいか、人が殺到していない。
 ソルティは、東日本大震災のあった2013年10月に、9体の金色阿弥陀仏で知られる浄瑠璃寺とその近くの岩船寺に行った。
 秋の里山歩きが実に気持ち良かった。
 今年3月には木津川市の畑中にある蟹満寺に行き、白鳳時代につくられた国宝・釈迦如来坐像に会ってきた。
 「こんな田舎に、こんな立派な仏像が、こんな無防備に、おわすのか!」と驚いた。

蟹満寺
白鳳時代の釈迦如来坐像がある蟹満寺

 今回の展示では、浄瑠璃寺・岩船寺のほか南山城地区の7つのお寺の仏像たち、計18体が招かれていた。
 平安時代(9~12世紀)のものが16体、残り2体が鎌倉初期である。
 メインとなるのは浄瑠璃寺の9体の阿弥陀仏像の中から選び出された1体。
 修理を終えたばかりの金色に輝く肌と、堂々たる風格、人の心のすみずみまで見通しつつもあくまで慈悲深い眼差し、会場を一際明るくするオーラ。同じ国宝の広目天と多聞天に左右を守られて、圧倒的存在感であった。
 浄瑠璃寺で拝観したときよりずっと間近で見ることができて、うれしかった。

 ほかに、海住山寺の十一面観音立像、浄瑠璃寺の地蔵菩薩立像のあまりの美しさにときめいた。
 少し前にあった根津美術館『救いのみほとけ展』でも思ったが、平安時代の地蔵菩薩像の洗練された美しさはもっと認識されて良いと思う。 
 内部は撮影禁止だったので、素晴らしい仏像の数々はここで紹介できない。
 京都南山城古寺の会『南山城の古寺巡礼』というホームページにその一部を見ることができる。

 最近ソルティは、有料の音声ガイドリストを進んで使うようになった。
 作品の横に掲示されている説明書きを読むのが老眼でわずらわしくなったのと、音声ガイドだと鑑賞ポイントを的確に教えてくれるから見落としがない。
 今回の音声ガイドには、仏像マニアとして知られるみうらじゅん氏といとうせいこう氏による対談風解説がついていた。
 テレビの副音声みたいで面白かった。浄瑠璃寺の本堂に居並ぶ阿弥陀如来を「ロイヤルストレートフラッシュ」と表現したのは至言。

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東京国立博物館
来場者は多かったが鑑賞の妨げになるほどではなかった。
 
 特別展のあと、本館1階の常設展の仏像コーナーに行った。
 前回(今年6月)観た時と微妙に展示が変わっていた。
 中で面白かったのは、鎌倉時代の康円作『文殊菩薩騎師像および侍者立像』。
 文殊菩薩が4人の侍者を伴って海を渡る姿を彫った群像である。
 4人の侍者の一人、善財童子がなんとも可愛かった。

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 左から、大聖老人、于闐王(うてんのう)、文殊菩薩、善財童子、仏陀波利三蔵
 仏師康円は運慶の孫。
(奈良興福寺)

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こんなフィギュアがほしい