1969年アメリカ
136分

 フランス生まれのポランスキー監督のアメリカ映画第一作にして、国際的にその名が知られることになったヒット作。
 悪魔受胎系ホラー映画の金字塔でもある。
 本作公開後に、ポランスキー監督の妻で女優のシャロン・テートは、カルト教団に襲われて惨殺された。妊娠中だったという。 
 
 数十年ぶりに観たが、この時代のハリウッド映画の丁寧なつくりと緩慢なペースに感心した。
 アイラ・レヴィン原作のこの物語を今のアメリカで撮るなら、脚本を切り詰め、テンポを良くし、SFXやらVFXやらの特殊効果を使いまくって、よりショッキングに、より禍々しく、よりグロテスクに、120分以内の尺で撮ることだろう。
 TVゲームやスマホゲームに馴染んでいる現代の観客は、総じて飽きやすく、せっかちになったからである。
 平成生まれのホラー映画ファンがこの映画を観たら、退屈と感じるのではなかろうか。

 悪魔の子を宿してしまう若き妻を演じるミア・ファローが上手い。
 持って生まれた美しさと繊細さが、役柄にマッチしている。
 夫役のジョン・カサヴェテスは、ソルティの中では俳優としてよりむしろ、『オープニングナイト』ほか監督としての印象が強い。が、ルックスも芝居も良い。
 夫婦のマンションの隣りに住んでいる悪魔の庇護者カスタベット夫妻が存在感たっぷり。
 とくに世話焼きの妻を演じるルース・ゴードンが、親切な振る舞いの裏にそこはかとない不気味さを匂わせる、おいしい演技をしている。ゴードンは本作でアカデミー賞の助演女優賞をもらった。

 役者の演技の妙をじっくり味わうには、このくらいのペースがやはりちょうどいい。
 
IMG_20231216_154043~2
夫婦を演じるミア・ファローとジョン・カサベテス
 

おすすめ度 :★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損