半蔵門ミュージアムは、仏教系教団『真如苑』が運営している仏教美術館。
2018年4月にオープンしたのだが、存在を知ったのはつい最近である。
地下鉄半蔵門駅の真上、皇居まで徒歩3分という好立地。
現代的で、美しくシンプルな建物。
展示品の由来や見どころを、わかりやすく丁寧に伝えてくれるシアターホール。(座席シートが快適すぎて、上映時間の半分は寝ていた)
コーヒーを飲みながら関連資料を閲覧できる居心地の良いラウンジ。(60分まで利用可)
あたたかい笑顔と親切な応対が気持ちよい女性スタッフたち。
そして、運慶作と推定される大日如来像(重要文化財)や京都醍醐寺伝来の如意輪観音菩薩坐像をはじめとする見応えある所蔵品の数々。
これで入場料無料というのだから、『真如苑』の力のほどが察しられよう。
スタッフの女性たちはおそらく信徒なのだろう。
奉仕の精神が感じられた。
地下の静かな暗闇に浮かび上がる大日如来の毅然とした美しさ、片足を床におろした珍しいお姿の如意輪観音、子供のくせに典雅なたたずまいの二童子、下部に中将姫が描かれた當麻曼荼羅(写本)、見事な色彩で描かれた虚空蔵菩薩像の絹本・・・・等々。
いずれも鑑賞者の目を喜ばせ、脳を活性化し、心を浄め、敬虔な気持ちを呼び覚ます。
ソルティが最も惹かれたのは、仏像が作られ始めた紀元2~3世紀のガンダーラ美術。
ソルティが最も惹かれたのは、仏像が作られ始めた紀元2~3世紀のガンダーラ美術。
ヘレニズム文化すなわちギリシア彫刻の影響を帯びた顔格好の仏像や、石に彫られた仏伝が興味深かった。
仏伝は、「前世、誕生、四門出遊(出家)、降魔成道(悟り)、梵天勧請、初転法輪(最初の説法)、アジャータサットゥ王の帰依、入滅」といったブッダの生涯を描いたもの。
各場面におけるブッダを取り巻く人々(家族や弟子たち、世俗の人々、悪魔や神々など)の表情や動きが、当時としてはかなり写実的に表現されている。ルネサンスの端緒となった画家ジョットの『キリスト伝』を連想させた。
別のフロアに場面ごとの詳しい解説があり、絵解きの面白さとともに、当時の人々の素朴な信仰のさまが伺える。
各場面におけるブッダを取り巻く人々(家族や弟子たち、世俗の人々、悪魔や神々など)の表情や動きが、当時としてはかなり写実的に表現されている。ルネサンスの端緒となった画家ジョットの『キリスト伝』を連想させた。
別のフロアに場面ごとの詳しい解説があり、絵解きの面白さとともに、当時の人々の素朴な信仰のさまが伺える。
ジョット「死せるキリストへの哀悼」
(イタリア、スクロヴェーニ礼拝堂)
平日だったので館内は空いていて、落ち着いた空間で心ゆくまで鑑賞できた。
なんとまあ、4時間近くも滞在してしまった。
ブッダ推し、仏像ファンなら、一度は行っておきたいオアシスである。
(「真如苑」への勧誘行為はなかったよ)
虚空菩薩坐像(ポストカード)
記憶力を増強する力があるとのことで、かの空海も念仏した。
認知症予防を期して購入。