今回の旅の目的の一つを書き忘れていた。
八坂神社である。
2018年12月に最寄り駅の階段から転落して、左足かかとの骨を折って入院した。
無事手術を終えて退院する明け方、京都か奈良のどこかの古い泉で湧水を飲む夢を見た。
甘く美味しい水だった。
今年になって、サンドウィッチマン出演の旅番組を観ていたら、
「あっ、ここ夢で見た水飲み場だ!」
それが八坂神社境内の御神水(ごじんずい)だったのである。
もちろん、八坂神社には何十年も前に行ったことがあるので、記憶に残っていた映像が夢に現れたのであろう。そこに不思議はない。
が、ここを訪ねて水を飲みなさい、といういずこからの声を聞いたように思った。
こういったスピリチュアルな直観は大事にするソルティである。
2日目は八坂神社以外、とくに予定を決めてなかった。
嵐電に乗って広隆寺の弥勒菩薩に久しぶりに会いに行くことにした。
昨年訪ねた中宮寺の弥勒菩薩と比較してみるのも一興。
そこから自転車をレンタルして、龍安寺、金閣寺と、黄金の修学旅行コースを回ることにした。
3月8日(金)晴れ時々曇り、一時小雨
08:00 宿出発
08:10 八坂神社
市バスと嵐電に乗って太秦広隆寺へ
09:30 広隆寺
10:40 東映映画村
12:30 昼食
自転車レンタル
13:30 龍安寺
14:40 金閣寺
16:15 六角堂
16:50 瑞泉寺
17:20 自転車返却後、河原町散策

八坂神社
主祭神は素戔嗚尊(すさのをのみこと)
疫病退治の神として、コロナ禍で大活躍された

本殿
この地下に青龍の棲む龍穴があるという

御神水
夢見たとおりの甘く柔らかい水であった
ご利益がありますように

嵐電で太秦広隆寺へ
実に40年ぶりの訪問

上宮王院太子殿
1730年に再建された入母屋造のお堂
本尊は聖徳太子像
太子建立の寺と言われているが、実際は渡来系の秦河勝(はたのかわかつ)の可能性が高い

弥勒菩薩半跏思惟像
64年前、この像に魅せられてジュディ・オング京大生が思わず抱きついてしまい、
薬指を折ってしまったという伝説の仏像(そのせいか今も監視の目が厳しい)
個人的には奈良の中宮寺の像のほうが、高貴で慈悲深い感あって好き

中宮寺の弥勒菩薩像
薬指を折ってしまったという伝説の仏像(そのせいか今も監視の目が厳しい)
個人的には奈良の中宮寺の像のほうが、高貴で慈悲深い感あって好き

中宮寺の弥勒菩薩像

東映太秦映画村
訪れたのは中学の修学旅行で『銭形平次』撮影中の大川橋蔵と香山美子を目撃して以来
ずいぶん様変わりしていて驚いた
いまや撮影所というより巨大テーマパーク(大人の入村料2400円)

港町の風景
5分に1回、水中から怪獣が現れ、水しぶきを吐く
(東映なのでゴジラではない)

オープンセット
江戸の街並み
はるか先に望むは方角的に嵐山だろうか

銭形平次の住む長屋風景

江戸吉原通り
子連れの親たちがここを子供にどう説明するか見物である

一日数回、芝居小屋(中村座)で忍者ショーを実演している(見物無料)
さすがに迫力あるアクションシーン
遠足で来た園児たちが目を丸くしていたのが可愛かった

映画文化館
ここが一番の目的
1階は美空ひばり展示館、2階は映画記念館

日本映画の名作、名優、名監督、名スタッフらの仕事が紹介されている
映画好きにはたまらない空間

マキノ雅弘監督『お艶殺し』(1951)のポスター
谷崎潤一郎原作、山田五十鈴・市川右太衛門共演
フィルム現存するなら観てみたい
昼食は村内のうどん屋で
京都名産九条ネギをふんだんに使った「九条ネギうどん」が爽やかな苦みで胃袋を熱くした
映画村近くの HELLO CYCLINGステーションで電動アシスト自転車を借りる
ここからサイクリング開始


臨済宗龍安寺
1450年に細川勝元が創建した禅寺
京都人の言う“先の大戦”すなわち応仁の乱(1467-1477)で焼失したが、1499年に再建
有名な石庭はその際に造られたという

庭園の梅の花が見事
外国人旅行客の撮影スポットと化していた

外国人観光客はこれを見て、何を思うのであろうか
仏道修行15年のいまソルティ思うに、この庭のテーマは「色即是空、空即是色」なのでは?
岩が「色」を示し、地の白砂が「空」を表す
「空」から起こった心のさざなみが、澱みを生み、凝り固まって岩となる
すなわち「我」が誕生する

漢字クイズのような銭形のつくばい
水戸黄門が寄進したという
4つの漢字が隠されています
わかるかな?

石庭で有名な寺だが、鏡容池を囲む庭も風情があって良い

きぬかけの道を気持ちよく走って金閣寺へ
外国人:日本人=7:3くらいの比率だった
3組の外国人の写真撮影に協力した

ここで空がにわかにかき曇り雨が落ちてきた
慈悲の瞑想をすること10分、雲間より青空がのぞいた
陽が射すと射さないとでは、景色がまったく違う

ここも一応、臨済宗の禅寺なのだが、そうは見えない
豪華絢爛ぶりは藤原氏の宇治平等院といい勝負と思う

1950年、見習い僧による放火で全焼、その後再建された
外国人旅行客の中には、三島由紀夫の小説や市川崑の映画で興味を持った人も多かろう

京の街中を下ル
路地を縦横無尽に走れるのが自転車の魅力

昭和がたっぷり残っていて、嬉しくなる
一条千本通付近のアパート

六角堂(天台宗紫雲山頂法寺)
三条烏丸通り、ちょうど京都観光マップの中心あたりに位置する
聖徳太子創建という伝承があるが、実際の創建は藤原時代(10世紀後半)と想定される
華道、池坊発祥の地としても知られる

名前の由来は本堂が六角形をしているから

隣のビルのエレベータから見下ろす

そのまま三条通を東進したら、鴨川ほとりに気になる寺があった
浄土宗慈舟山瑞泉寺
門前に自転車を止めて参詣する

豊臣秀吉の甥っ子で養子となった秀次ゆかりの寺であった
秀次は関白の地位まで上るも、秀吉と淀君との間に秀頼が生まれたことにより、
一転、秀次は邪魔者となった
石田三成らの奸計で謀叛の罪をかぶせられ、自刃させられた(1595年)

同時に、秀次の息子、娘、34人の側室は鴨川の河原で惨殺された
一族の菩提を弔うために、瑞泉寺は建てられたそうな(1611年)
境内には、秀次はじめ亡くなった一族の墓がある

境内にある地蔵堂
亡くなった一族および家臣たちをかたどった49体の京人形が地蔵菩薩を囲んでいる
合掌
宿に帰ってスマホで調べていたら、なんとびっくり!
瑞泉寺の住職は、ソルティお気に入りのイラストレーター、中川学であった。
僧侶であることは知っていたが、よもや京都のお坊さんとは思わなかった。
それも非業の死を遂げた豊臣秀次一族ゆかりのお寺とは。
泉鏡花原作の『化鳥』や『榲桲(まるめろ)に目鼻のつく話』や『朱日記』など、中川の描く世界は、虐げられる“おんな、こども”の苦しみと悲しみに満ちている。
そのテーマ性の源にあるのは、ひょっとしたら、この地蔵堂なのでは?

『化鳥』に出て来る金沢の浅野川と天神橋が、京都の鴨川と三条大橋に重なった
還暦にして学ぶこと多し。
まったくもって修学旅行の一日であった。