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1948年松竹
75分、白黒

 古本屋で見つけたDVD(700円)。

 家計を助けるためキャバレー歌手となった元華族の娘・伸子(高峰三枝子)と、肺病で療養中の妻を持つ脇村(上原謙)の報われない愛を描く。
 画質も音声も良くないが、高峰三枝子が歌う部分だけは別録りしたのか、音が澄んでいる。
 藤浦洸作詞、万城目正作曲の主題歌「懐かしのブルース」をはじめ、美しくしっとりした歌声を披露している。
 高峰の歌声は、不思議と人を陶然とさせる心地良い響きがある。
 キャバレーで歌うシーンのエレガンスは言わんかたない。

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歌う高峰三枝子(公開時30歳)

 高峰の典雅なこと。
 所作や言葉づかいの美しさは、高峰自身がお嬢様育ちゆえ、身についたものだろう。
 どこか淋しげな大人っぽい美貌は、悲恋物語にピッタリである。
 80年代以降の日本なら、結婚前(25歳という設定)のSEXはもちろん、妻ある男との不倫など平気で乗り越えていく女性は少なくないと思うが、戦前・戦中の風土が色濃く残るこの時代、世間の目はきびしかった。たとえ男の妻が余命いくばく無くとも。
 ラストで男の妻は亡くなったようなので、それで晴れて二人が結ばれるかと思えば、それも許されない。
 このあたりの機微を理解するのは、なかなか難しいところである。

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脇村に別れを告げる伸子
う・うつくしい・・・!
30年後に犬神松子となる

 伸子の不甲斐ない父親を小沢栄太郎が、伸子の家を買う戦後成金を東野英治郎(水戸黄門)が演じているのも見物。
 上原謙はハンサムだが、ちょっと胸騒ぎがするくらい暗い目をしている。
 そこがまた当時の女性ファンが熱狂する一因だったのかもしれない。
 陰キャはいまでこそ流行らないが、バブル以前は「陰のある寡黙な男」のほうが、能天気な陽キャよりモテたものである。

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脇村を演じる上原謙

 妻ある男とキャバレー歌手の悲恋。
 これを「ドラマ」として成り立たせるのが難しくなったところに、様々な枷(かせ)を失った令和ドラマの自由とつまらなさがあるのだ。





おすすめ度 :★★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損