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日時: 2024年6月30日(日)14:00~
会場: 埼玉会館 大ホール
曲目:
  • モーツァルト: 歌劇『魔笛』序曲
  • マーラー: 交響曲第9番 ニ長調
指揮: 篠﨑 靖男

 開演1時間前にJR浦和駅に到着。
 時間つぶしになりそうな場所はないかと google map を見たら、駅西口から徒歩10分のところに調神社という名のちょっと大きめな神社がある。
 あっ、そう言えば、今日は水無月晦日(6月30日)。
 日本古来の半年に一度の神事、夏越の祓(なごしのはらえ)ではないか。
 半年間で積もり積もった罪や穢れを祓い落とすチャンスである。
 行くべし。

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JR浦和駅西口

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調神社(771年創建)
「つきじんじゃ」と読む
かつて、調(律令時代の税)を納める倉があったことに由来する
鳥居がないのは、調運搬の邪魔になるため作らなかったからとか

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狛犬のかわりに狛ウサギ
調(つき)=月の連想から月待信仰と結びつき、ウサギを神の使いとするようになった

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手水舎にもウサちゃんがいた

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拝殿
ご祭神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、豊宇気姫命(とようけびめのみこと)、
素盞嗚尊(すさのおのみこと)
参道に置かれた茅の輪(ちのわ)を8の字を描くように潜ることで穢れを祓う

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スサノオノミコト像
子どもの作った粘土の人形さながら

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神楽殿
干支の龍が描かれたビッグ絵馬

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木々に囲まれた池の静けさが夏の暑さを和らげる

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ここにも白ウサギ

 心も体も(?)清らかになったところで、埼玉会館に向かう。

 オーケストラ・モデルネを聴くのははじめて――と思ったら、2022年6月晴海で聴いていた。
 ソルティの週末アマオケ道楽も8年を数え、聴いたオケ数は軽く70は超える。
 2度目3度目があっても、それを初回と勘違いしていても、不思議ではない。
 だいたいが、大学オケはともかく、社会人オケはみんな同じようなカタカナ名をつけるから、差別化がはかりにくい。 

 モーツァルトの『魔笛』序曲が約7分、マーラーの交響曲第9番が約90分、休憩なしで合わせて約100分。
 途中で腰が痛くなるか、痔が痛くなるか、尿意を我慢できなくなるか、前に後ろに舟を漕いでしまうか、イビキで周囲から白い眼で見られるか・・・・と危惧した。
 もう、還暦だもん。仕方ないよね。
 よっぽど目覚ましい気の入った演奏でないと、昨今のコンサートホールの椅子の心地良い柔らかさと程よい照明のほの暗さには勝てないのだ。
 時節柄、暑かったり肌寒かったり、気圧が乱高下したり、老いの体にかかる負荷もなまなかではない。
 だいたい昼ご飯を食べた後の14時頃が疲労回復モードすなわち眠気のピークに当たるわけで、周りを見たらご高齢の観客の皆様の多くは頭をかしいでいた。
 ソルティは眠ったつもりはないのだけれど、なんか「あっ」という間に終わっていた。
 半覚半睡?
 アルタード・ステイツ(変性意識状態)?
 よくわからない。

 ただ、9番はいつもなら、悲痛・悲哀・悲愴・悲嘆・悲観といったネガティヴなイメージに胸を締めつけられ、甘美なる鬱に漂いながら終焉するのだけれど、今回の9番とくに第4楽章は、ネガティヴな感情を掻き立てることはなく、むしろ、静かさと安らぎのモードが勝っていた。
 諦念の先にある微細な優しさと言おうか。
 浄化された魂の昇天と言おうか。

 そんな印象を受けたのも、コンサート前の大祓いのせいなのかもしれない。
 というのも、いつもは70年代ヒット曲イタリア童謡『チンチンポンポン』の残像のせいで、「よぉーく洗いなよ」と聞こえてしまう第4楽章の回音音型(ミーファミレ#ミソ)が、今日は「よぉーく祓いなよ」と鳴り続けていたのだから。

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埼玉会館