10月から大学生になった。
私立奈良大学文学部文化財歴史学科の3年次編入生。
もちろん、通信教育である。
きっかけは年初めに見かけたネットの広告。
興味が惹かれ、資料を取り寄せた。
パンフレットを開いたら、面白そうな科目が並んでいた。
仏教考古学、建築学、古文書学、書誌学、日本美術史、民俗学、平安文学論、江戸文学論、文化財修復学、奈良文化論・・・・e.t.c.
基本は、〈自宅テキスト学習+レポート提出+学科試験〉で単位を取るシステムだが、いくつかの科目は〈3日間のスクーリング+学科試験〉で取得する。
すなわち、年に数回奈良に行って、興味・関心を同じくする人たちと出会って、フィールドワーク含め実地に学べる!
なんか楽しそう。
卒業後さらに指定された9科目19単位を取得すれば、博物館学芸員資格を取ることができるらしいのだが、ソルティは資格はもう要らない。
今回は仕事や収入に直接つながる学びではない。
純粋に道楽である。
しいて実際的な面を上げるなら、記憶力の減退が進んでいる昨今、新しいことを学ぶことは認知症予防になろう。
また、コロナ騒ぎも落ち着き、日常が戻ってきたはいいが、最近どうも仕事も私生活もマンネリ化している、怠惰に流れ、無駄に時間を過ごしているような気がする。
大事な瞑想修行も、時間があると思うとかえって後回しになり、さぼってしまいがちである。
大事な瞑想修行も、時間があると思うとかえって後回しになり、さぼってしまいがちである。
ここであえて自分に負荷をかけて、生活に緊張感とメリハリをつけたほうが良いのでは?と思った。
そのためには、卒業という目標を設定し、それなりの金額を投入するに限る。
お金を払えば、回収してもとをとらねばという貧乏人インセンティヴが働く。
――とは思ったものの、仕事をしながらの勉強はたやすくはない。
ソルティは現在非常勤で働いているので、ある程度の時間は確保できるはずだが、半年あるいは1年間くらいで完了するプロジェクトクトならともかく、卒業するまで少なくとも2年間は机に縛られる。
いや、おそらく、2年間で卒業は難しいだろう。3年か4年は覚悟しなければなるまい。
果たしてそこまで気力・体力が続くかどうか・・・・・。
とかく迷っているうちに申込期限は過ぎてしまい、4月入学はならなかった。
桜並木の新入生ならず。
尻を叩いてくれたのは、何を隠そう、われらが聖子ちゃんであった。
聖子ちゃんが今春、中央大学法学部の通信教育課程を卒業したというニュースに、ソルティも世間同様、びっくりした。
あの忙しい聖子ちゃんが、つらく悲しい思いを抱えているはずの聖子ちゃんが、4年間大学に籍を置いて勉強していた。
しかも、中央大学法学部と言ったら、法科の中央と呼ばれ、高い司法試験合格率を誇る超難関である。
聖子ちゃんが頭がいいことはデビュー当時から知っていたが、これはほんとうに快挙である。
やっぱり、無敵のアイドルだ。
よし、聖子ちゃんに続け!
そんなわけで、久しぶりに母校に出向いて卒業証明書と成績証明書を発行してもらい、奈良大学の入学申請書を作成し、20万円強の年間授業料を振り込んで、晴れて大学生になったのである。(入学試験はなかった)
分厚いガイダンス資料と共に送られてきた学生証を手にし、気持ちがウキウキした。
写真・学籍番号・氏名・生年月日は変えています
――って分からいでか
――って分からいでか
卒業までには最低23科目60単位を履修し、卒業論文を書かなければならない。
結構、ハード。
結構、ハード。
先日、今年度(10月~翌年9月)受講したい科目を選び、履修届を提出した。
大学時代の春先を思い出した。
あの頃は、とにかく単位が取りやすい授業、テストやレポートがなくて出席さえしていれば単位がもらえる授業、友人による代返が可能な授業、そんなのばかり選んでいた。
要領よく進級し、卒業することが重要だった。
40年以上経た今回は、ほんとうに自分が好きなテーマ、興味があることを、じっくりと学んでいけたらと思う。
いまのところ、卒業まで3年間計画で考えているが、進行具合によっては4年か5年、あるいは途中休学を入れてもっと長くかかるかもしれない。(最長10年間在籍できる)
来年の2~3月に最初のスクーリングがある。
しばらくは奈良にどっぶり漬かることになりそうだ。
まさに奈良漬け。