2022年メキシコ
100分

 原題は Mal de ojo 「邪眼」
 この監督の作品を観るのは、不条理サスペンス『パラドクス』、伝染病パニックホラー『ダークレイン』に継いで3本目。
 すごく面白いとか傑作というわけではないのだが、怖さの中にメキシカンならではの珍妙な味(タコス風?)があり、「たまにはB級映画で肩の力を抜きたい」、「無駄なひとときを怠惰に過ごしたい」と思うような晩には手頃な作品である。

 本作もあえて筋書きや見どころを紹介したいと思うほどのものではなく、半年後にはおそらく、どんな映画だったか人に聞かれても答えに窮するだろう。
 映画後半で脈絡なしに挿入される、キリスト文化のサバト(悪魔の宴)と天岩戸の神々の馬鹿踊りをミックスさせたような楽しげ(怪しげ?)な祭りのシーンなどは、なかなか奇天烈で興趣深い。
 この路線を強引に突き進んでくれたら、「ウミウシ映画」の称号を与えられたのだが・・・・。

 クセのある祖母、気の強い母親、強情な姉と病弱な妹、裏表ある女中、そして毒々しい魔女。
 女たちの競演(饗宴)の中で男の登場人物たちの影の薄いこと。
 ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド&ジェラルディン・ペイジ共演の『白い肌の異常な夜』(1971)のような、女たちの欲望と嫉妬と狂気の物語――それを描く男性監督のガイノフォビア(gynophobia、女性恐怖)の証明――として観るのも一興である。

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Marc TremblayによるPixabayからの画像



おすすめ度 :

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損