2023年アメリカ
111分

 ITオンリー・スリラー映画『search/サーチ』の第2弾。
 前作同様、デジタル機器の画面上でストーリーのすべてが完結する。
 前作では行方不明になった娘を、IT音痴の父親が不器用にアプリを操作しながら必死に探す話だった。
 今回は逆に、ITマスターである十代の娘が、恋人との旅行中に行方不明になった母親を、パソコンを自在に駆使して探索する。
 原題はmissing

 二転三転するミステリーとしての面白さもさることながら、ITの凄まじい進歩に口をあんぐり。
 自分は旧世代の人間であると、つくづく感じた。
「パソコンやスマホでいったい何ができるの?」と問う人には、本作を見ることをお勧めしたい。
 自宅にいながらにして、こんなことも、あんなことも、そんなこともできる。
 本作の主人公であるジュン(演・ストーム・リード)は、家から一歩も出ることなしに、警察やFBI顔負けの捜索をITを駆使してやってのける。
 もっとも、これはあくまでフィクションであり、実際には存在しないアプリや素人が容易にはアクセスできないサイト(情報)もあるとは思うが・・・。
 恐るべし、Z世代。
 (しかし、この映画を見ると目が疲れる)
 
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Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 ケアマネという仕事柄、よく高齢者(おおむね80歳以上)から、「スマホで何ができるの?」と質問を受けることがあり、答えに窮する。
 自分も全然使いこなせていないからってこともあるが、スマホやパソコンを持っているだけでは駄目で、アプリをダウンロードしないとなにも始まらない、ということを分かってもらうのが難しいのである。
 そしてまた、ソルティはどうもIT技術には信用が置けなくて、いろんなアプリをダウンロードすることに抵抗がある。
 プライヴァシーの漏洩やネット詐欺、SNSを使った犯罪など、落とし穴がほうぼう空いているイメージ。 
 下手に高齢者にアプリを紹介して、害を与えることになったらまずいと思ってしまうのである。
 ネットで新たな人間関係をつくることも高齢者はよくしないので、ガラ携レベルの機能があれば十分なんじゃないかと思うことが多い。
 が、一方、認知症の人が行方不明になった時、スマホを持ち歩いていれば、GPS機能を使って居所を突き止めることができる。
 そのために、子供世代が高齢の親にスマホを持たせるケースも増えている。
 2024年に実施されたある調査では、スマホを持っている人の割合は、60代で9割超、70代で8割超、80代前半で6割超であった。(モバイル社会研究所のホームページより)
 今の50代が高齢者になった暁には、ほぼ100%、スマホか、それに代わる何らかのモバイル通信端末を持ち歩いていることだろう。

 ソルティもじき高齢者(65歳以上)になる。
 本音を言えば、「スマホは卒業したい」のであるが、世の中の動向がどんどんそれを許さなくなっていく。(たとえば、キャッシュレスオンリーの店の増加や「JRみどりの窓口」の軒並み閉鎖など)
 ピーター・ウィアー監督、ハリソン・フォード主演の映画『刑事ジョン・ブック 目撃者』に登場するアーミッシュは、アメリカやカナダに住むドイツ系移民の宗教集団で、電気も自動車もテレビもない、移民当時の自給自足の生活を今も送っている。
 移動は馬車で、讃美歌以外の音楽は禁じられている。
 もちろん、スマホやパソコンなんて論外である。
 時々、アーミッシュに憧れるソルティなのだが、やっぱり無理だろうなあ。
 聖書以外の本が読めないのは耐えられん。

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おすすめ度 :★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損