鈴木亮平に誘われ、ゴールデンウィーク直前に3日間の奈良旅。
 奈良のイケメンならぬ、イケ仏たちに会うがため。

1日目 国宝まつり
 斑鳩の里(法隆寺~法起寺~法輪寺)
 奈良国立博物館・超国宝展
2日目 花まつり
 室生寺の石楠花
 長谷寺の牡丹
3日目 古代まつり
 飛鳥巡り(甘樫丘~飛鳥寺~岡寺~石舞台古墳~天武・持統天皇陵)
 
 3日間とも駅前で自転車をレンタルし、効率的かつ気分良く、名所・名跡を巡ることができた。
 暑くもなく、寒くもなく、うららかに良く晴れて、それほど混み合うこともなく、花も新緑も仏も里山もすこぶる美しく、素晴らしい時が持てた。

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鈴木亮平 in 石舞台古墳

1日目(4/25)晴れ
 前泊 京都市内
 08:30 JR法隆寺駅
     自転車レンタル
 08:45 法隆寺(2時間半stay)
 11:40 法輪寺(30分stay)
 12:30 法起寺(40分stay)
 13:30 JR法隆寺駅
     自転車返却
 14:00 JR奈良駅
     自転車レンタル
 14:20 奈良国立博物館・超国宝展(2時間半stay)
 17:10 近鉄奈良駅
 宿泊 天理市内

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JR法隆寺駅
駅前の喫茶店で自転車を借りる(一日600円)。
バス便が少ないので、斑鳩の里めぐりには自転車が非常に便利。
地図をもらい、道順や駐輪場所も教えてもらった。

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法隆寺
前回来たのは2年前の春。
今回どうしてもこの時期に来たかったのには訳がある。

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夢殿に直行。

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御開帳(4/11~5/18)の救世観音を見たかった。
楠製の一木造で金箔を押している。宝冠は金銅製。
7世紀前半の作で作者不明。
聖徳太子の等身大の像として有名だが、思いのほか小ぶりに感じた。
像高約180cmはソルティより20cm高いはずなのだが。
離れたところから金網越しに見たせいであろうか?
いまひとつ迫力(霊力)が感じられなかった。
修学旅行生到着前を狙ったので、ゆっくり拝むことができた。
(画像は法隆寺発行のパンフレットより)

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もちろん、お隣の中宮寺に寄り、弥勒菩薩の神秘的な微笑に癒された。

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西院伽藍
修学旅行生が続々やって来た。
小学生が一人一台タブレットPCを持って学習していたのには驚いた。

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境内には素晴らしい古木がある

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法隆寺の裏手にある天満池
このあたりは池が多い。
年間降水量が少なく、大きな川や湖もない大和平野の農民たちは、用水不足に悩まされてきた。つまり、人造池である。

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天満池から法隆寺を望む。

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池のほとりに立つ斑鳩神社
祭神は菅原道真公
それゆえ天満池と言うのだ。

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法輪寺
聖徳太子の御子の山背大兄王子(やましろおおえのおうじ)創建と伝わる。

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三重塔は昭和19年(1944)落雷で焼失。
昭和57年(1975)に再建された。

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講堂
飛鳥時代の薬師如来像、虚空蔵菩薩像、平安時代の十一面観音菩薩像、鎌倉時代の聖徳太子2歳像、室町時代の聖徳太子16歳像、江戸時代の妙見菩薩像など、バラエティに富む仏像たちがずらり。時代ごとの仏像の様式の違いを学ぶのに恰好の陳列。
中でも、邪鬼ならぬ米俵に乗った毘沙門天(平安時代)は珍しい。お寺の人の話によると、江戸時代に改造されたとか。豊作を願う当時の里人の生んだ変体仏であろう。

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のどかな畑中の道を薫風に吹かれて快適サイクリング

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法起寺
聖徳太子が法華経を講義した岡本宮を、のちに寺に改めたと伝えられる。
太子建立7ヵ寺の1つに数えられている。

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ご本尊・十一面観音菩薩立像
像高350cm  
10世紀後半頃の作と伝わる。

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講堂
元禄7年(1694)に再建したもの。
どことなく城郭風である。

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国宝の三重塔
慶運3年(706)建立と伝わる。
現存する日本最古の三重塔である。  
Simple is beautiful.

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三重塔の中を覗く。
いかにも初期の塔らしい簡素な構造。

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法輪寺や法起寺まで足を延ばす人は少ない。
それだけに、静かでゆったりした斑鳩の里の気を満喫できた。

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奈良国立博物館へ移動

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これが今回の旅の目玉の一つ。
約110件の国宝が一堂に集められた贅沢極まりない展覧会。
仏像好きにとっては万博どころでない空前絶後の仰天企画である。
ソルティは学生なので、観覧料一般2200円のところ学生1500円。
――と思ったら、奈良大学は博物館のメンバーシップ会員になっているので、学生証を見せればなんと400円で入れる! 
超オトク!

主役級の役者たちが共演する昭和時代の年末特番ドラマ(『忠臣蔵』とか)のような豪華さに、圧倒されっぱなしだった。

大物キャスト紹介(ほんの一部、おおむね時代順)
  • 百済観音(法隆寺)・・・法隆寺では模刻が留守番していた。
  • 四天王立像(法隆寺)・・・飛鳥時代の木像の傑作。文科系の広目天が渋い。
  • 天寿国繍帳(中宮寺)・・・聖徳太子妃の橘大郎女の発願にて、太子が往生した天寿国のありさまを描いたもの。現存する日本最古の刺繍。
  • 釈迦如来倚像(深大寺)・・・三鷹からいらしてたのね。
  • 維摩居士坐像(法華寺)・・・肖像彫刻の傑作。個性爆発のユイマ。
  • 義淵僧正坐像(岡寺)・・・奈良時代にこのリアリティ。義淵(643-728)は法相宗の僧侶。
  • 釈迦如来坐像(室生寺)・・・どっしりした安定感。下腹のたるみに親近感。
  • 菩薩半跏像(宝菩提院願徳寺)・・・どこから見ても隙のない完璧な美はグレタ・ガルボか原節子のよう!
  • 吉祥天像(薬師寺)・・・2次元から飛び出てきそうな高貴な天女絵。むかし教科書でお目にかかった。
  • 金地螺鈿細毛抜形太刀(春日大社)・・・鞘に刻まれた何匹もの大和猫のデザインがキュート
  • 大日如来坐像(円城寺)・・・若き運慶の出世作。天才の出現を告げてあまりない。
  • 病草子(京都国立博物館)・・・ふたなり(半陰陽)、痔瘻の男、口臭のきつい女など、病者をリアリスティックに描いた平安末期の珍絵巻。
  • 重源上人坐像(東大寺)・・・運慶作か? 皺のひとつまで、生きているかのようなリアリティ。重源上人は平重衡によって焼かれた南都の復興に尽くした人。
  • 天燈鬼・龍燈鬼立像(興福寺)・・・奈良大学通信教育学部パンフレットの表紙を飾る。運慶の息子・康弁の手による。
 2時間半、集中して見続けてフラフラになった。
 おそらく今日一日で見た国宝の数は、過去60年間分のそれを上回るであろうし、この先もこれほどたくさんの国宝を一度に見ることはまずあるまい。
 国宝バブリーな一日であった。

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疲れた頭と体を天理の温泉で休めた。


つづく。