2021年河出書房新社

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 ソルティは現在、奈良大学通信教育学部で文化財歴史学を勉強している最中であるが、卒業に必要な単位とは別に、博物館学関係の9科目19単位を取得すれば、卒業と同時に博物館学芸員の資格を取ることができる。
 学芸員資格を持っていれば、定年後に博物館や美術館で監視員やガイドのアルバイトなんかできないかなあ~、なんてことをたまに想像する。
 インバウンド外人観光客らに、日本の仏像や仏教文化について英語で説明するなんて、面白いし、誇らしいだろうなあ~。
 むろん、そのためには英語力もつけなければならないが・・・。

 そんなことを妄想してたら、本コミックが目に入った。
 作者は、博物館学芸員資格をもつ漫画家&イラストレーター。
 地元の郷土資料館の資料整理の経験をもとに、漫画化したという。

 寄贈などで集まった資料の整理や保管の方法、ゴキブリやシロアリなどの害虫駆除の苦労、保存科学を駆使した金属資料の保存、資料調査カードや収蔵票によるデータベース作成、企画展の準備や一連の作業、学芸員の七つ道具の紹介、そして由緒(因縁)ある古物や古美術が集まる収蔵庫において起こるミステリアスな現象の数々・・・・。
 博物館や資料館の裏、学芸員の具体的な仕事ややりがいを、楽しみながら知ることができる。

 「学芸員さんの細かすぎる日常」という副題が示す通り、学芸員の仕事は、調査や研究ばかりではない。資料の正確な実測図を書いたり、根気のいる細かい修復作業をしたり、何万枚もの調査カードを地道に作成したり、重い荷物を運んだり、資料を傷つけない展示方法を工夫したり、神経を使う細かい作業が多い。
 絵を描くのが苦手で、ずぼらで不器用で、根気と注意力のないソルティには合わないようである。(霊感はないので、霊障は受けないと思うが)
 やっぱり、監視員かボランティアガイドくらいが関の山かなあ。

 いや、そもそもちゃんと進級&卒業できての話だった。

東京国立博物館
東京国立博物館 
エリート学芸員さんの宝庫である
 


おすすめ度 :★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損