1817年原著刊行
1949年角川書店より邦訳
2009年ちくま文庫(中野康司・訳)

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 元祖ラブコメ小説である。
 こんなに面白い本があるかってくらい面白い。
 男のソルティが読んでも寝食忘れるくらい面白いのだから、恋バナ好きの女子が読んだら、必ずや即日から、“オースティン推し”になるであろう。
 言ってみれば本書は、「これと言ったとりえもない夢見がちの少女が、大富豪の英国紳士に熱愛されて・・・」みたいな、ネット配信ラノベの典型のような物語である。
 二人が結ばれるまでに、誤解やすれ違いや邪魔が入るのはお約束。

 世間知らずの少女キャサリンは、生まれた村をはじめて離れ、英国の有名温泉地バースに行く。
 そこで出会った知的でハンサムな貴公子に恋をしてしまう。
 相手もまんざらではなく、キャサリンは、元修道院(アビー)を改造した広大なカントリーハウスに招待される。
 青年の家族にチヤホヤされて天にも昇る心地――と思いきや、翌日には手のひらを返したように冷酷な仕打ちを受ける主人公。
 いったい、何が起こったのか?
 ゴシック様式の古いカントリーハウスに潜む数世紀も前の亡霊の仕業か?
 それとも、暴虐な当主に毒殺された奥方の呪いなのか?

 愉快で個性的な登場人物たち。
 結婚に際して遺産や年収こそが物を言う、英国有産階級の常識。
 炸裂するアイロニーとユーモア。
 ジェイン・オースティンの描く世界は、学園物の少女漫画のように狭くてのどやかだけど、読んでいる間はジェットコースターに乗っているようにハラハラする。
 ストリーテリングの天才だからだ。
 
 オースティンの長編小説が、たった6冊しかないというのは、世界文学史の悲劇の一つである。




おすすめ度 :★★★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損