2017年12月9日放送
BS11制作
97分

北斎ミステリー

 本作は、BS11の開局10周年特別番組として制作・放送され、翌年DVD化された。
 江戸時代の天才絵師・葛飾北斎と、その娘でやはり絵師だった葛飾応為ことお栄。2人の“謎"に迫る、意欲的かつクオリティの高いドキュメンタリーである。
 絵画とくに浮世絵に詳しくない人でも興味をもって楽しく観ることができる。
 ナビゲーターを元フジテレビアナウンサーの内田恭子、監修・解説を日本美術史学者の安村敏信、ナレーターを松田洋治がつとめている。

 ここで語られる葛飾北斎の最大の謎とは、2016年にオランダで発見された6枚の日本画について。
 医師シーボルトが長崎から江戸に旅した際に、北斎に注文し描いてもらったものをオランダに持ち帰ったという。
 富士山を遠景とした日本橋や両国橋、月夜の品川宿、雪の増上寺など、江戸の風景が、西洋画の技法を完璧に駆使して描かれている。
 これが北斎の手によるものではないかと物議をかもしているのだ。
 代表作として知られる『冨嶽三十六景』の浮世絵タッチとはまったく違う。
 「これが北斎だったら日本美術史が変わる!」と思うほどの、素晴らしい、先進的な絵である。
 北斎の天才と進取の気性、90年におよぶ長い生涯を考慮すれば、あり得ない話ではないだけに、今後の研究が期待される。

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 葛飾応為の謎とは、彼女の画家としての才である。
 今でこそ、フェルメールやレンブラントと並び称される「光の画家」と言われることもある応為だが、生前は偉大な父の陰に隠れて、生涯父の仕事の手伝いに追われた。
 「応為」や「栄」の落款のある(彼女の作と知られる)作品はほんの数点のみという。
 彼女はどんな人生を送ったのか?
 父親との関係は?
 北斎作と言われる膨大な作品群のなかに、応為の作があるのか?
 描き残した絵から窺える彼女の実像はいかに?

 応為については、原恵一監督のアニメ『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』(2015)でしか知らなかったので、たいへん興味深かった。
 男尊女卑の江戸社会で、天才である父親のもとに女として生まれたお栄。
 持って生まれた彼女の才すなわちパーソナリティは、果たして十全に開花できたのか? 
 彼女の代表作である『吉原格子先の図』(太田記念美術館所蔵)は、フェルメールやレンブラントというより、闇の画家と言われるカラヴァッジョに近いように思った。
 そのうち現物をこの目で確かめたい。




おすすめ度 :★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損