京都市内観光はレンタサイクルが便利。
 渋滞も駐車場探しも一方通行も待ち時間も関係なく、狭い路地でもスイスイ入っていける。
 東福寺駅そばのサイクルステーションで電動アシスト自転車を借りて、泉涌寺(せんにゅうじ)の2つの塔頭寺院をめぐった。

日時 2025年8月12日(火)曇り
行程
10:00 JR東福寺駅
10:15 即成院
11:15 悲田院
12:30 鳥戸野陵
13:00 東福寺駅
15:00 新幹線・京都駅発 

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即成院(そくじょういん)
藤原頼通の次男・橘俊綱による創建と伝わる
真言宗泉涌寺の塔頭の一つ

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本堂

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阿弥陀如来と二十五菩薩
最下段左隅の光輪を持たない如意輪観音をのぞいて25菩薩と数える
26体のうち、阿弥陀如来坐像を含む11体が平安時代作、残りの15体は江戸時代の補作(画像は受付でいただいたポストカード)

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この観音菩薩像が見たかった!
阿弥陀如来に向かって右隣に座す
手にもっているのは蓮台である
27体中、飛び抜けた美しさ。
定朝の孫の院助作とする説がある

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本堂から渡り通路を登っていくと・・・

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那須与一の墓
源平合戦屋島の戦いの際、敵(平家)の船上に掲げられた扇を一射で落としたことで知られる日本のウィリアム・テル。
即成院の阿弥陀仏への信仰篤く、晩年は当地に庵を結び、没したと伝えられている。

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泉桶寺総門
山内に9つの塔頭寺院をもつ広大な寺

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悲田院
悲田院と言えば、聖徳太子や光明皇后や鑑真がつくった福祉施設。平安京にも存在したが、当寺との関係は不明である。
拝観は予約が必要。

 ここの何よりの目玉は、快慶作の宝冠阿弥陀如来坐像。
 2009年の調査で頭部内より「アン(梵字)阿弥陀仏」の墨書が見つかり、快慶作と判明した。快慶がこの署名を使ったのは「法橋」という地位を授かる1203年までなので、それ以前の作と考えられている。
 醍醐寺の弥勒菩薩坐像に似た、左右対称性の強い、非常に洗練された像容。
 快慶仏の特徴の一つは、切れ長の目の美青年ってところにあると思う。
 たとえれば、昭和のアイドル沖田浩之。  
 衣もまた、昭和時代のアイドルがよく着ていた、スパンコールをあしらったドレープの波打つきらきらドレスを思わせるところがある。

 このお寺にはまた、土佐光起・土佐光成父子が描いた襖絵がある。
 これが素晴らしい。
 なんでも、長い間お寺の天井裏に丸められ捨て置かれていたものを、平成18年(2006)に京都市観光文化資源保護財団が修復し、3室34面の襖絵に仕立て上げたという。
 「松に猿」、「竹に鶴」、「紅葉に雁」、「蓮・梅・菊」、「滝を見る李白」、「ホトトギスを聴く杜甫」など、よくもまあ紙屑のような古紙からこれだけ修復したものと、保存科学技術の技に感心した。 
 繊細にして優美な筆致も見どころであるが、興味深いのは人物の左目がすべて潰されているところ。
 どういった謂れがあるのやら?
 ちょっと、ぞっとした。


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境内から北西方向に京都市街を望む
左端に京都タワーが見える

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東側に広がる鳥戸野陵と東山

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鳥戸野(とりべの)陵
平安時代以降、葬送の地として知られる
東の鳥辺野、西の化野(あだしの)、北の蓮台野が京の三大葬地

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ここに来たのにはわけがある

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清少納言『枕草子』の主人公である一条天皇妃・定子のお墓なのだ

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ほかにも、醍醐天皇妃・穏子、円融天皇女御・詮子、後朱雀天皇妃・禎子など王朝時代の6人の后が祀られている

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お経の代わりに朗読

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる。

夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。

秋は夕暮れ。夕日の射して、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入りはてて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。

冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼なりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。

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陵墓から見える京都市街
清少納言との楽しき日々を思い出してくれただろうか

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カンカン照りではなかったけれど、奈良と京都の蒸し暑さは関東とはレベルが違う!
徒歩5分でシャツが背中に張り付いた。
でも、この湿気ゆえにお寺や仏像が守られてきたのかもしれないな。

いにしえの人々のいろいろな思いに浸った旅だった。