2019年原著刊行
2021年創元推理文庫

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 英国初のYAM(ヤングアダルトミステリー)。

 女子高生のピップは、自らの町で5年前に起きた女子高生アンディ・ベル殺人事件の真相を探ることを、学校の自由研究課題に選んだ。
 犯人とされたサリルはアンディのボーイフレンドだったが、自白メッセージを残して自殺。アンディの遺体は見つからなかった。
 サリルに憧れていたピップは、真犯人は別にいると思い、サリルの弟ラヴィの協力を得て、ITを駆使して独自の調査を開始する。

 寝る前にちょこっとサワリだけ読むつもりが、あれよあれよと引き込まれてしまい、気がつけば午前4時。寝不足のまま出勤。
 それが二晩続いてしまった。
 日中しんどかった。

 魅力のいちばんは、ピップという少女のキャラにある。
 好奇心旺盛、行動力バツグン(いささか軽率)、家族思い・友達思い、同級生男子を手のひらで転がし大人と対等に話せる押しの強さ、ITを使いこなす頭の良さ。
 ヤングアダルトな読者にしてみれば、自分もこんなふうにありたいなあと思うような痛快キャラである。
 ヤングアダルトでない読者にしてみれば、いくら高校生の自由研究とはいえ、町を揺るがした殺人事件の調査に、記憶いまだ生々しい事件の関係者たち(加害者と被害者の家族含む)がこんな簡単に調査協力するわけないだろと、ご都合主義に鼻白みながらも、ピップの勢いに巻き込まれて調査の行方が気になってしまう。
 それはつまり、著者のストリーテリングの冴えを表している。

 冷静に考えると、この小説には現代社会の若者たちをめぐる毒々しいテーマがてんこもりである。
 いじめ、ドラッグ、レイプ、ドメスティック・バイオレンス、ネット犯罪、機能不全家庭 e.t.c.
 ピップとラヴィは真犯人を見つけ出し、サリルの無罪を証明することに成功するが、その真相は決してハッピーエンドと言えるものじゃない。
 とても自由研究優秀賞としてみんなの前で発表できるたぐいのものではない。
 なのに、なぜか物語には陰惨なところがなく、明るいタッチに終始している。
 読み終えた後は、不思議とさわやかな印象が残る。
 まったく同じ題材を社会派ミステリー仕立てにしたら、かなり陰惨かつ深刻な話となり、読後感は相当に重苦しかったろう。

 ヤングアダルトミステリーならではのリアリティ、すなわち世界観ってのがある。
 それに乗れた人には、寝不足必至の面白さ。




おすすめ度 :★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損