2022年明日香出版社
認知症になった高齢の母親を同居介護した娘(新美)の体験記。
副題は「交換ノートなら認知症の親との関係はうまくいく!」
新美が50代後半のとき、父親が、ついで母親が、認知症を発症。
父親は近所のグループホームに入居、穏やかな最期を看取った。
母親にはできる限り住み慣れた自宅で過ごしてもらおうと、新美は自らの家族から離れて実家に戻り、母親との同居を決意。
しかし、現実は甘くなかった。
認知症が進行し、しっかり者だった母親の性格は一変。
天使のように素直かと思えば、悪魔のように怒り狂う。
昼夜逆転し、家の中を徘徊し、トイレを便まみれにする。
何が起こるか分からないので、一人にしておけない。
疲れ切った新美が頼りにしたのは、一つめは介護保険。
ケアマネに相談し週3回デイサービスを利用、母親から離れる時間をつくった。
二つめは家族の協力。
夫や娘がつらい気持ちを受け止め、必要な時は手を貸してくれた。
そして、三つめが母親との交換ノート。
大学ノートを使って、毎朝母親に問いを投げかけ、答えを書いてもらった。
この交換ノートで、母親の体調や機嫌や考えていることを知り、認知症の進行を抑えるための脳トレ(クイズや計算)を実施し、その日の行事など連絡を行い、日にちや名前や生年月日を書いてもらって母親の自己確認を扶ける。
もちろん、ふだん口にはなかなか出せない互いの思いを伝え合う、母と娘の心の交流にもなる。
高齢者の介護相談やケアマネジメントを職とするソルティ。
この交換ノートはいいアイデアと思った。
できるかどうかは、当事者(認知症患者とその家族)の性格や認知症の程度、それまでに紡いできた両者の関係性にもよるけれど。
読み書きができて、じっとテーブルに向かっていられる人ならば、楽しんでやってくれるかもしれない。(メール世代には難しいかも)
関わっている認知症高齢者とその家族に提案してみようかな。
いや、90歳近い自分の両親で試す日が来るかもしれん。
石玉サコの絵は上手で見やすく、ほのぼの感があり、テーマに合っている。
おすすめ度 :★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
