2000年アメリカ映画。
112分
原作はもちろんシェークスピアの『ハムレット』。
舞台が中世のデンマークから現代アメリカに置き換えられているのは、DVDパッケージの解説を読んで事前に知っていた。
人物関係やプロットは原作そのままに、設定やセリフを現代風にアレンジしているのだろうと思っていた。
が、驚いたことに、セリフはほとんど原作まんま。
シェークスピアの書いた初期近代英語を現代英語に変えただけである。
そんなこと可能なのか?
いろいろと意味的な不自然が生じてくるだろう?
――と思ったけれど、そこはうまく工夫している。
たとえば、ハムレット王子の将来治めることになる“デンマーク”を、ハムレット青年が将来継ぐことになる大企業“DENMARKE”に変換している。
だから、ハムレットが学友のローゼンクランツとギルデンスターンに向かって投げかける、「なぜ、君たちはデンマークに送られて来たんだ?」というセリフがそれなりに符合するという具合。
まあ、英語のヒアリングが苦手なソルティは、日本語字幕をたよりに観るので、セリフの意味的な不自然さは気にならないのだが。(日本語字幕はそれなりに現代社会に合うよう脚色されているので)
むしろ、単純に、シェークスピアの書いたセリフが持っている高貴さやリズムの面白さが、音楽でも聞くように味わえた。
To be or not to be, that’s question.
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」から始まるハムレットの独白には、時代や地域に関係なく、一度でも自死を思ったことがある者なら誰にでも共感できる真理の響きがある。
やっぱり、シェークスピアって凄い!
役者が豪華メンバーかつ演技達者で驚いた。
主演のイーサン・ホークは、『テスラ エジソンが恐れた天才』(2020)でもアルメレイダ監督と組んでいた。舞台もこなせる実力派である。
ハムレットの叔父クローディアス役は、『ブルーベルベット』や『ツイン・ピークス』シリーズや『デスパレートな妻たち』で有名なカイル・マクラクラン。甘いマスクがカッコいい。
ハムレットの亡き父親(亡霊)役は、劇作家にして名優のサム・シェパード。渋くてカッコいい。
ポローニアス役はハリウッドが誇るコメディアンのビル・マーレイ。
ハムレットの母親ガートルード役のダイアン・ヴェノーラ、オフィーリア役のジュリア・スタイルズも役にはまって良かった。
シェークスピアの難しいセリフ回しを見事にこなせるのは、皆、舞台の基礎が身についているからなのだろう。
ハムレットを、ファザコンの映像オタクで統合失調症患者的に解釈したアルメレイダ監督の演出と、スタイリッシュな映像も、見る価値あった。
一番驚いたのは、ハムレットが自分の部屋でひねもす流している映像の中に、ティク・ナット・ハンが出てきたこと。
ハンの有名な Interbeing(相互共存)の説法が突然流れてきて、思わず姿勢を正した。
To be or not to be, that isn’t question.
Just “interbeing”.
在るのでも、無いのでもない。
「共に在る」のです。
――という、監督の投げかけた禅問答だったのかな?
おすすめ度 :★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
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