学芸大60回演奏会

日時: 2025年12月20日(土)16時~
会場: さいたま市文化センター大ホール
曲目:
  • A. ドヴォルザーク: 序曲「謝肉祭」 作品92
  • P. チャイコフスキー: イタリア奇想曲 作品45
  • J. シベリウス: 交響曲第2番 ニ長調 作品43
  • アンコール シベリウス: 組曲『カレリア』より「行進曲風に」
指揮: 苫米地 英一

 埼玉会館と勘違いして浦和駅まで行ってしまった('A`|||)
 さいたま市文化センターは南浦和駅西口から徒歩8分のところにある。
 南浦和にこんな立派な施設があったとは!
 35年以上埼玉県民やっているのに知らなかった。

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さいたま市文化センター
市立南浦和図書館を併設している

 苫米地英一の指揮は、ベートーヴェンを専門とするL.v.B.室内管弦楽団との共演を過去に聴いている。
 熟練のオケによる安定度の高い素晴らしい演奏であった。
 学生オケとの共演はどうであろうか?

 前プロの2曲は、非日常的なお祭り(カーニヴァル)がテーマであったり、イタリア旅行に触発されたチャイコが作った異国情緒あふれるカプリッチョ(気まぐれ)であったり、いわゆる“ノリのいい”曲。
 若くエネルギッシュな学生たちに向いている。
 教員養成校として知られる学芸大学の生徒ゆえか、総じて真面目で教科書的な演奏であったが、そこに若いエネルギーとフレッシュネスが加わり、バランスよい音楽となった。
 休憩中にプログラムを開いて、唖然とした。
 オケのメンバーたちの名前のあまりのキラキラしさに。

愛萌、叶望、咲季、颯世、唯花、愛菜、咲綾香、美音、日、実都葉、
綺花、夕姫、陽日樹、海央、華衣、芽瑠萌、桃花、美空、彩愛、
心音、藍菜、麻飛、帆乃花、理桜、花音、貴城、柚穂・・・・。

 よ、読めない (; ̄Д ̄)
 なんか凄いことになっている。
 彼らの親御さんたちは、大体70~80年代生まれだろう。
 キラキラネームは90年代半ば頃から増えたと言われるが、まさに第1世代が社会人デビューを迎えているのだ。
 大切な子供に美しい名前をつけたいという親心は理解できるものの、学校の先生は苦労しているだろうなあ~。
 ――と思ったら、彼らこそが先生になる可能性大の人たちであった。

 ちょっと前に、ソルティは仕事で地域の小学校に認知症の話をしに行った。
 生徒たちの机の上には、各人の名前が書かれた三角ネームプレートが貼り付けてあった。
 漢字の上に(あるいは英語やタガログ語の上に)大きくふりがなが振ってあった。
 そういう時代なんだな。

世界の子供

 さて、後半のシベリウス第2番。
 やはり、実直な演奏で、大きな乱れはない。
 シベリウスの代表曲と言われるほどの名曲なので、あやまたず感動をくれる。
 最終楽章ではソルティの胸のチャクラに矢が突き刺さった。

 死の淵をさまようような重苦しい第2楽章から、苦しみと哀しみを避けられない運命の受容といったふうの第3楽章を経て、生々流転・自然法爾の第4楽章。
 ソルティはこの曲に東洋的・道教的なエッセンスを聴く。
 なので、この曲を指揮し演奏するには、やっぱり人生経験がものを言うと思うのである。

 キラキラネームを持つ若者たちが、いつかこの曲の真価を悟り、自らの人生や心と呼応させながら演奏できる日が来るのだろうか?
 苦しみや悲しみを知らないまま、いつまでも子供のように無邪気に罪なく美しく生きてほしいと親は願うものだが、それが子供にとって必ずしも幸福であるとは限らないのである。