京都市内観光にレンタサイクルはとっても便利――は立証済みであるが、奈良市内観光もまたレンタサイクルは大いに威力を発揮する。
 JR奈良駅を中心におおむね半径4kmの円の中に、主要な観光名所――春日大社東大寺、興福寺、正倉院、奈良国立博物館新薬師寺元興寺、ならまち、薬師寺、唐招提寺、秋篠寺、西大寺、平城京城址、法華寺――はすっぽり入ってしまうからだ。
 それもそのはず、この円の中に平城京はあった。

 京都=平安京のようには碁盤の目状に道が残ってはいないので、馴れるまでは自分がどこにいるか確かめつつ走らないと迷ってしまうけれど、平城宮城址とJR&近鉄2つの奈良駅と東大寺の位置関係さえおさえておけば、GPSで自分の居場所を知るのは難しくない。
 自転車で回るのは効率的であるし、気候さえよければ気持ちいい。
 昔からソルティは、自分の足で歩き倒すか自転車で漕ぎ回ると、その街と通じ合った気分になる。

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電動アシスト付き自転車をレンタル

09:30 ならまちの宿出発
09:40 最寄りのステーションで自転車レンタル
10:00 法華寺(80分滞在)
11:30 平城宮城址(60分滞在)
12:40 西大寺(90分滞在)
14:30 奈良大学
    昼食
14:50 奈良大学博物館&図書館
16:40 孝謙天皇陵
17:00 西大寺駅最寄りステーションで自転車返却

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法華寺
もとは藤原不比等の屋敷があった。娘の光明子が相続し、皇后となったあとは皇后宮として用い、その後、国分尼寺の総本山となった。(現在も尼寺である)
この時代、天皇と后妃たちは別居が普通だった。日本では、光仁天皇(桓武天皇の父)の御代から内裏内同居(いわゆる後宮)は始まったと言われる。

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本堂
  • 光明皇后をモデルにしたとされる十一面観音立像が御本尊。体じゅうに矢が刺さったかのような――黒澤明監督『蜘蛛巣城』の三船敏郎の最期を思わせる――お姿に一瞬ドキッとする。が、これは蓮の茎を光線に見立てた光背であり、お体に直接挿してあるのではなく、像の背後に立てたポールに挿してある。ご安心を!御本尊は期間限定で公開される。その期間外は、厨子の隣にある原寸大の模刻像を拝むことができる。こちらも、インドのネルー首相から送られた白檀を用いた原寸彫刻であり、貴重な逸品である。
  • なんともラッキーなことに、60日に1日、扉が開かれる大黒天像を拝観することができた! 大黒天はもともと憤怒相の戦闘神だったが、日本に入って柔和相の福の神へと変貌を遂げた。ここにある像は、柔和相の大黒天のもっとも古いものだいう。
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鐘楼(奥)と護摩堂
尼寺と知ったせいか、境内は穏やかなやさしい気に満ちているように感じられた。

慈光殿では、仏像や仏画、経巻などの寺宝を公開している。
国宝の維摩居士(ゆいまこじ)坐像(奈良時代)や聖徳太子童子像など、いろいろ見どころはあるが、とくに巨大三仏頭が目を引いた。
天平期の梵天・帝釈天、鎌倉時代の釈迦如来の頭部が横に並べられている。いずれも素晴らしい丈六(4.8m)像であったことをうかがわせる瑞々しさと気品に満ちた顔立ちである。

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から風呂(1766年再建)
今で言うサウナのこと。昭和時代まで実際に使われていた。
光明皇后がここでハンセン病患者の膿を吸って垢を流したという伝説がある。
隣りは井戸。

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庭園
もっとも色のない季節だったが、春から秋へのこの庭の美しさは想像し得る。本尊御開帳に合わせて、また訪れたい。

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光月亭(旧東谷家住宅)
江戸時代の民家が移築されている。
縁側に座って温かいほうじ茶(給茶機)で一服した。

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北西地点から望む平城宮城址
東西1.3km、南北1.0km
近鉄奈良線から見える広大な平原についに足を踏み入れた。
都が京都に移ったがゆえに、開発を免れ、遺跡が守られた。
ここは自転車で回るのがベスト。

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平城宮城址マップ

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朱雀門
南端にある平城宮の入口
2階建てに見えるが、中は吹き抜けになっていて、階上はない。
ちなみに平城“京”の南端にあるのが羅生門である

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ちょうど雛人形大展示中!

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お内裏さま
やはりここでは聖武天皇か。

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お雛様
光明皇后か。
(奈良時代は十二単はなかったけどね)

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三人官女
紫式部、和泉式部、清少納言か――って時代が違う!

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五人囃子
SMAPかドリフか・・・・もはや無茶苦茶。

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牛車
奈良時代に牛車はまだ普及していなかった。
天皇や上皇の移動は「輿」(こし)に乗って人に担がせた。
貴族や役人たちは歩いて宮中に通勤していた模様。

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朱雀門から見た大極門

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大極殿
天皇の即位式など重要な儀式が行われた場所
平城宮の北端にある
柱や組物の朱色と屋根瓦の青丹色が青空に映える

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西大寺
天平宝字8年(764)称徳天皇が鎮護国家と平和祈願のために、金銅四天王像を造立を発願したことに始まる。かつては東の東大寺に並ぶ大寺であった

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四王堂、本堂、愛染堂の3つを拝観できる。
それぞれの受付で説明リーフレットをもらえるので、まず熟読してから鑑賞するのがおススメ。仏像などのいわくが分かるとより面白い。西大寺愛あふれる受付の人が熱く語ってくれるので、声をかけてみよう。

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四王堂
その名の通り四天王がおられる(鎌倉時代に再造されたもの)。
像高約6mの藤原時代の十一面観音菩薩立像、日本最古の印刷物(お経)を納めた百万塔陀羅尼、なんといっても現・市川團十郎(若き日の海老蔵)をモデルにした道鏡像が見物。清らかなイケメン、女心をくすぐる子犬なまなざし。称徳(のちの孝謙)女帝がよろめいたのも無理ないと納得の美僧である。(2020年に「せんとくん」作者の薮内佐斗司が製作) 海老蔵が選ばれたいわれも深掘りしたい。

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本堂
江戸時代中期に再建された土壁のないお堂が美しい。
仏師善慶による清凉寺式釈迦如来立像、灰谷健次郎の小説『兎の眼』に登場する善財童子像のつぶらな瞳に注目。

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善財童子(お寺で購入したポストカード)

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愛染堂
見どころは、本尊の愛染明王像と国宝の叡尊上人坐像。
西大寺再興に功績あった叡尊上人(1201ー1290)。親鸞、道元ら鎌倉新仏教のスター選手たちの陰に隠れているが、乱れていた仏教界の戒律復興につとめ、非人やハンセン病患者の救済を行い、川に橋をかけるなど土木工事も手がけた。まさに菩薩というにふさわしい人である。
叡尊上人がつねに拝んでいたという愛染明王像は、「煩悩や欲望を浄化し、生命力に転化する」力があるとされる。叡尊上人もまた自らの欲望とたたかったのであろう。

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愛染明王

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叡尊上人像(国宝)
80歳を祝って造られた生前の肖像彫刻。
凛としたたたずまいに志操の高さがにじみ出ている。

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母校・奈良大学まで足を延ばした。

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目的は大学運営の博物館。
一度覗いてみたかった。

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入口に、当時の方法(脱活乾漆技法)どおりに復元された阿修羅像が陳列されている。最新の科学技術による分析の結果、現在の顔とは異なる表情をもつ原型の顔が下から現われた。

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「ザ・コレクション展」というのをやっていた。
大学の教職員が幼い頃より収集してきた趣味のグッズが披露されていた。
こちらはグリコのおまけやカプセルトーイ、食品ミニチュアサンプルなどのコレクション。

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すごい量、すごいバリエーションである!

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コップのフチに引っ掛ける「コップのフチ子さん」という玩具。2012年に発売され大ヒットしたらしいが、ソルティはとんと知らなかった。だいたいがコレクション癖というのが昔からない。

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こちらは、かつてはキーホルダーと並んで旅行記念の定番だったペナントのコレクション。

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なかなか簡単には旅行に行けない時代だったからこそ、こういったグッズがもてはやされたんだろうなあ。「年月日」を書き入れるスペースがあるのがアナログチックで面白い。

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こちらはひと昔前の民具いろいろ。
前の2つにくらべると奈良大学カラーが匂っている。
考古学や文化財を生涯の仕事とする人たちは、やっぱり子供の頃からマニアックな(オタク)気質があったのかなあと思った。

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本日最後は称徳(孝謙)天皇陵への参拝
精力絶倫の妖僧にたぶらかされ道を誤った、まるでホストにのめり込んだ箱入り娘のようなイメージがついてしまった女帝。男系天皇制における皇女の身のふり方の難しさを象徴する一人である。

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大和西大寺駅で自転車返却

また奈良に一歩近づいた感ある一日であった。

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せんとくん