今年午歳は秩父巡礼にとって12年に1度の特別な年。
普段は非公開の各札所の御本尊(観音像)が一斉にご開帳されるのだ。(3/18~11/30)
それに合わせて、いろいろなイベントも打たれるようで、すでに賑わいが感じられる。
埼玉県寄居町にある県立・川の博物館(かわはく)では、『巡礼者は秩父を目指す!』と題する企画展が開かれている。(5/6まで)
最寄り駅で見つけたチラシによると、秩父巡礼の歴史や意義が感じられる様々な品が展示されているとともに、札所の住職を招いた講演会『秩父札所の歴史と文化』も開かれるとあった。
秩父ファンで、8年前に歩き巡礼を果たしているソルティは、即講演会参加を申し込んだ。

東武東上線・鉢形駅
池袋から1時間半弱。
鉢形城跡には行ったことがあるが、この駅で降りたのは人生初。

ちょっと歩くと、このような景色が広がる。

波羅伊門(はらいど)神社
聞いたことのない名前に足が引かれた。
AIで調べたところによると、
創建年代不明。社の脇を流れる宮川で祓の行事が行われたことに由来すると推定される。住吉三神(底筒之男命、中筒之男命、表筒之男命)を主祭神とし、神功皇后を配祀。一方、古事記や日本書紀には登場しない瀬織津姫(せおりつひめ)を御祭神とする神社としても知られている。瀬織津姫は、災いや穢れを川に流して海に運ぶ、祓い清めの女神である。

川の博物館(かわはく)
1997年8月1日に、「埼玉の母なる川(荒川)を中心とする河川や水と、人々の暮らしとのかかわりを、様々な体験学習をとおして理解してもらうこと」を目的に開館した。いろいろなアミューズメント施設を併設した家族で楽しめるようなテーマパークである。

受付でもらったパンフレットより

敷地の裏手を荒川が流れ、支流の宮川が敷地を横切っている。
北方面に赤城山を望む。
大きな水車(観覧車ではない)がシンボル。

水車小屋

ミニ水族館

本館
観覧料は大人410円(学生200円)
スタッフはみな親切だった。

秩父巡礼は、観音様を本尊とする34のお寺(札所)を巡る約100kmの祈りの旅。
各札所で観音様を拝み、御朱印をもらう一種のスタンプラリーでもある。
上記のような恰好が基本(周囲からすぐに巡礼と分かる)だが、自由なスタイルでかまわない。自転車やバイクや車で回ってもいいが、やはり歩きが一番味わい深く面白い。ソルティは4回に分けて5日間で回った。

現在見つかっている最古の納経帳
最初は札所の御朱印がなかったので、納経帳と呼んだ。

納経帳(御朱印帳)の変遷

札所4番金昌寺の慈母観音(レプリカ)
寛政4年(1792)江戸の商人・吉野屋半左衛門が、相次いで亡くなった妻子の冥福を祈って奉納した。歌麿のデッサンではないか、隠れキリシタンのマリア観音ではないか等々、いろいろ話題にされることの多い美しい母子像である。

26番札所・円融寺岩井堂を描いた絵馬

岩井堂
かつて修験者の修行地として知られた。

鳥山石燕筆『景清の牢破りの図』
遠方の信者から円融寺に奉納されたもの。
秩父巡礼の成り立ちから始まって、札所の見どころ、昔の人の書いた道中日記や巡礼道具、明治初めの神仏分離の影響、鉄道とのコラボによるキャンペーンの様子など、さまざまな角度からの展示が興味深く、札所の歴史と人々の信仰の篤さが感じられた。

秩父札所マップ
講演会の講師は、秩父札所連合会の会長であり、札所11番常楽寺住職である柴原幸保氏。
西国33札所や坂東33札所とは異なる秩父札所の特徴――距離が短く気軽に回れる――や、秩父札所を作った十三権者の正体、午年総開帳の意義、巡礼の楽しみ方と効能など、ユーモアあふれるわかりやすい語り口であった。
「人はなぜ巡礼するのか?」という問いに対して、「日常の役割を脱ぎ捨て、自然との語らいの中で自己回帰する」という指摘が腑に落ちた。
また、西国札所や坂東札所が皇室関係者や幕府の肝入りで(言わば「上」から)作られたのに対し、秩父札所は地元の人々が信仰心に基づき(「下」から)作ったという話も印象深かった。
たしかに、西国札所ならば長谷寺や石山寺や清水寺、坂東札所ならば浅草観音や大谷観音や立木観音といった、誰でも耳にしたことあるような有名な寺院が、秩父札所にはない。
この庶民的な素朴さが、かえって疲れた心を潤すのかもしれない。

13番音楽寺の裏手の峰に立つ案内板
実際の創設者は、13人の最後に上げられている地元の通観法印(仏師?)ではないかと、柴原氏は推測された。

十三権者を祀る石像

よし、今年、2週目行ってみよう!
