ここ最近、朝眠くて仕方ない。
目覚ましは二度寝・三度寝のためにある――といった呈で、起きるのがつらい。
唐の詩人孟浩然(もうこうねん、689-740)はホント良く詠ったものである。
春眠不覚暁(しゅんみんあかつきをおぼえず)処処聞啼鳥(しょしょていちょうをきく)夜來風雨聲(やらいふううのこえ)花落知多少(はなおつることしるたしょう)【ソルティ訳】春の朝は眠いなあ。夜が明けたことも気づかなかった。小鳥があちこちでうるさいことだ。それにしても昨夜は風雨が激しかったなあ。いったい、どれくらい花が散ってしまったのか?ふああ~。
8世紀につくられた歌が、それから1300年後の今も十分通じるのだから、いつの時代も「春の朝は眠いなあ~」と思って、布団でグズグズしていた人がいたってことだ。
その理由としてよく言われるのは、
- 夜が短くなって夜明けが早まると、脳の体内時計はそれに合わせようとする。が、体のほうは付いて行かず眠気を感じる。
- 春になり暖かくなると体をリラックスさせる副交感神経が働き、眠気が起こりやすくなる。
ってあたり。
いずれも至極納得のいく説明である。
しかし、ソルティは最近、これとは別の原因があるのではないかと気づいたのである。
初春になると始まるもの――花粉症である。
花粉症という言葉が一般的になったのは、スギ花粉の大量飛散が世間を騒がした1980年代くらいからと記憶している。
が、もちろん、そういった症状に悩まされる人はそれ以前から存在した。
一般的には、「アレルギー性鼻炎」と理解されていたのではなかろうか?
ソルティが高校生のとき(70年代中頃)に好んで読んだアガサ・クリスティのミステリーの中で「枯草熱(Hay fever)」という言葉がよく出てきた。
「かれくさねつ、って何だ?」と頭をひねったのを覚えている。
「かれくさねつ、って何だ?」と頭をひねったのを覚えている。
枯草熱は、19世紀初頭にイギリスで初めて報告されたアレルギー疾患です。1819年、イギリスの医師ジョン・ボストックが、干し草に接触する農民の間で見られる症状(夏風邪のような症状、鼻炎、喘息、流涙など)を医学会に報告し、「Hay fever(枯草熱)」と名付けました。当時は干し草の臭いが原因と考えられていました。1873年、イギリスのチャールズ・H・ブラックレイが、枯草熱の原因がイネ科植物(牧草)の花粉であることを実験的に証明しました。これにより、「Pollinosis(花粉症)」という病名が生まれ、ブラックレイは「花粉症の父」と呼ばれています。(AIによる「枯草熱」の解説)
ちなみに、「かれくさねつ」ではなく「こそうねつ」と読むらしい。
日本で最初の「スギ花粉症」の報告は、1964年、東京医科歯科大学耳鼻科の斎藤洋三医師によるという。
以前BS-TBSで放映していた『メディカルα』という番組のホームページによると、
昭和38年、東京医科歯科大学耳鼻科の医師・斎藤洋三は、栃木県日光市の診療所に赴任しました。日々、患者を診ていた斎藤はあることに気づきました。「春先になると、目のかゆみや、鼻水やくしゃみが止まらない人が多い・・・。これは、もしかして花粉症では・・・?」斎藤は早速、調査を開始しました。やがて彼は患者が現れる時期と、日光市の名物、スギの花粉が飛ぶ時期が同じ2月上旬である事をつきとめます。そこで斎藤洋三は、鼻水や目の痒みなどの症状を訴える患者に、スギの花粉を使って、アレルギー反応のテストを行いました。すると患者たちの反応は全て陽性!斎藤洋三はこの病気に「スギ花粉症」と名付け、発表しました。こうして昭和39年、斉藤洋三によって報告されたスギ花粉症は、新たな花粉症として、世界で認められたのです。
実に1960年代から「花粉症」という言葉はあったのである。
市民権を獲得するまでに20年近くかかったってことだ。
しかるに、「枯草熱」や「花粉症」という言葉が誕生するもっと前から、春になるとこの症状に悩まされていた人は多かれ少なかれ存在したはずである。
しかるに、「枯草熱」や「花粉症」という言葉が誕生するもっと前から、春になるとこの症状に悩まされていた人は多かれ少なかれ存在したはずである。
ただ、その原因が何であるかは分からなかったであろうし、どうしてそういう症状が出る人と出ない人がいるのか、どうして春先など特定の時期にだけ起こるのか、不思議に思っていたことだろう。
一般社団法人『君津健康センター』の「健康コラム」によると、
世界で最も古い記録は、何と紀元前1800年のバビロニアのシュメール人の呪文に記された鼻アレルギー症状です。そして紀元前460年頃の古代ギリシアの医師ヒポクラテスが花粉症と思われる病気について記録しており、体質と季節と風が関係していると述べています。また、紀元前100年頃の古代中国にも、春になると鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状がよく発症するとの記録があり、花粉症の歴史は非常に長いことがうかがえます。
ソルティは2月中旬からスギ花粉に悩まされている。
ソルティの症状は、鼻水やくしゃみはほとんどなく、もっぱら喉の痛みと「頭がぼーっとする」である。
特に朝方がひどくて、目ざめがすっきりしない。
どんなに寝ても寝足りない気がする。
目覚ましは、二度寝・三度寝のためのスイッチと化している。
もう、お分かりだろう。
孟浩然さんも実は、ソルティ型の花粉症だったのではないかと思うのだ。
夜来風雨聲
花落知多少
「昨晩は風雨が凄くて、花粉が散乱したに違いない」
だから、今朝はいつも以上に頭がボーっとして眠いのである。


