会場 ミューザ川崎シンフォニーホール
曲目
- マーラー: 交響曲第3番 ニ短調
アルト独唱: 手嶋眞佐子
指揮: 森口真司
女声合唱: 手嶋眞佐子とマーラー3番を歌う会
児童合唱: ゆりがおか児童合唱団
本年2回目のマーラー3番。
アマオケの水準が上がったためか、聴衆の耳が肥えたためか、昨今はこの3番はじめ、2番『復活』、8番『千人の交響曲』など、マーラーの大曲が演奏される機会が増えた。
100分間休憩なしのクラシック、しかも伝統的なソナタ形式を逸脱した複雑怪奇な構成をもつマーラーの音楽など、なかなか簡単には足が向かない代物である。
それが最近では、2000名の大ホールをそれなりに埋めるくらい人が入るのだから、そして終演後には盛大な喝采と「ブラボー」が飛び交うのだから、「やがて私の時代が来る」と言ったマーラーの予言は当たったわけである。
創立65周年を迎える東京楽友協会交響楽団による今回の演奏も、安定した技術と高い音楽性に裏打ちされたもので、100分という長さを感じさせなかった。
が、残念なことにこの時期の音楽鑑賞は、ソルティにとって鬼門である。
小青竜湯のおかげで症状は緩和されているが、霞のかかったようなぼーっとした頭と水泳授業の後のようなけだるさは、五線入りを鈍くする。
おおむね忘我の境地で聴いていた。
それでも、くしゃみや咳の出るタイプの花粉症でないだけマシである。
面白かったのは、第4楽章のアルト独唱者の位置。
合唱団が並ぶ舞台上方のひな壇にも、オケの中央にも、その姿が見当たらず、どこにいるのかと思ったら、チェロとコントラバスの間の舞台向かって右寄りに、オケに埋もれるように立っておられた。
この位置で独唱者が歌うのを見た(聴いた)のははじめて。
合唱団と一緒にしないのは、おそらく、天使の合唱団(天界)に対する地上(苦界)という対比ゆえかと思うが、舞台中央でなく右寄りというのがどういう意図からなのか分からなかった。
ただ、ソルティの座席は、舞台向かって左手の2階席だったので、ちょうどアルト独唱者と相対する位置であった。
あたかも、ソルティに向けて歌いかけてくれているかのような錯覚が起きた。
おお、人間よ
世界の苦悩は深い
まったくその通り。
この世界が、第6楽章が表現するような慈悲と祝福に満たされる日がはたして来るのだろうか?


