1979年ポーランド
93分、白黒

 イメージフォーラム上映中のポーランド暗黒SF《文明の終焉4部作》。
 『宇宙戦争 次の世紀』(1981)が衝撃的だったので、ふたたび足を運んだ。
 日曜日だったが、数えられるくらいの入りだった。
 ゴーレムとは、ユダヤ教の伝説に登場する動く泥人形のことで、ヘブライ語で「胎児」を意味する。作った主人の命令だけを忠実に実行する怪物である。
 本作では、世界核戦争後の人口減の対策として、政府によって秘密裏に造られたクローン人間をゴーレムに見立てている。
 ある日誕生したゴーレムの男は、彫金の仕事をしていたこと以外、自分がどこの誰だかわからず、記憶もなく、周囲の状況もつかめない。
 いわば、記憶喪失になってアイデンティティが失われた状態。
 もちろん、自分がクローン人間だとは思いもしない。
 殺人容疑で警察の尋問を受けるが、何一つ答えようがない。
 隣人たちの奇態なふるまいに困惑し、理解不能の世界になんとか意味を見つけようと行動するが、謎は深まるばかり。
 そんな彼の動向を監視している者たちがいた。

 あたかもカフカの小説のような不条理の世界である。
 現在では、『トータル・リコール』、『アジャストメント』などフィリップ・K・ディック原作の映画群をはじめ、「アイデンティティ喪失」というテーマは珍しくないが、1979年では画期的だったのではなかろうか。
 そうしたテーマが思いつくような社会(全体主義管理社会)にピョトル・シュルキン監督が生きていたことの証なのかもしれない。

 映画自体は、ストーリーが単調なうえ、説明不足が目立ち、面白味を欠く。
 もうひとひねりほしい。
 途中眠気と戦った。
 




おすすめ度 :★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損