111130_1021~01●11月30日(水)晴れ、風なし、小春日和

●ルートとタイムスケジュール
10:10 京王線・高尾山口駅着
      歩行開始
11:45 高尾山頂上着
12:30 城山山頂上着
13:30 下山開始
14:30 小仏バス停着
      歩行終了
14:40 京王バス乗車
15:00 JR高尾駅着

●所要時間 4時間20分(=歩行3時間+休憩80分)


 小春日和、紅葉シーズン。そして、高尾山はミシュラン三つ星の名山。都心からのアクセスも良く、山頂近くまでケーブルカーやリフトで気軽に上れる。登山道も歩きやすく整備されている。薬王院をいただく信仰の山としても名高い。人気があって当然の山ではある。
 しかし、平日にも関わらず、なんと人の多いことか。
 京王線の高尾山口から登山口となるケーブルカー清滝駅までの小道は、まるで日曜日の竹下通り、もとい巣鴨地蔵通りであった。
 そう、万全の登山スタイルに身を包んだ「毎日が日曜日」な高齢者グループに、山道はすっかり占拠されたのである。
 
 これが高齢社会か・・・。

 山登りできる体力と元気と仲間がいることは素晴らしいことである。
 総じて彼らはお金がある。靴もヤッケもスティックもザックも、アウトドアショップで売っている本格的なものばかりだ。1000円のジョギングシューズ、1500円のデイバッグ、ユニクロのコットンパンツで、どんな山でも登ってしまう自分とは大違いである。プロ仕様としか思えないゴージャスなカメラを抱えて動き回っているおじいさんもよく見かける。(この記事の写真はすべてau携帯で撮影)
 まあ、パンプスにタイツ姿の若い女性、ベビーカーを押しながら山道を登ろうとするヤンママ集団・・・。あきれるほど山をなめている若者たちに比べれば、彼らの山に対する態度は立派である。

 高尾山の登山路では琵琶滝の脇を通って渓谷を遡る6号路がもっとも人気が高い。森と水を十二分に楽しめる気持ちのいいコースである。自分も大抵このルートをとる。
 しかし、今日は数珠つなぎのように前にも後ろにも人が続く。なんと11月いっぱいは混乱を避けるため、登り専用になっていた。こんなことは他に富士山くらいしか考えられまい。
 予定を変えて、琵琶滝の横の階段を上って、森を横断し、3号路に変更することにする。いきなり登りが続くが、案の定、人は少なくなった。ゆっくりと一歩一歩踏みしめながら、高度を上げていく。
 ところが、3号路は崖崩れのため通行禁止。いったん表参道(1号路)に出て、浄心門(写真)のところで、4号路に入る。
 いろいろなルートがあって、植生や景色の違いを楽しめるところが高尾山のもう一つの魅力である。 

 山頂近くのトイレは改修工事をしていた。ミシュランに載ってから、山のあちらこちらで整備が進んでいる。新しい展望台や階段ができ、東屋ができ、ところどころ道が広くきれいになった。
 それはいいことなのだが、木々の間から見える建設中の圏央道のグロテスクさは、どんなに山自体をきれいにしたところでどうなるものではない。環境や生態系の破壊も気になる。

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 高尾山頂はまるで花見会場のような賑やかさであった。腰を下ろす場所を見つけるのも一苦労。
 紅葉を天井に一息ついていると、隣りで昼食を取っている高齢者グループの会話が耳に入ってきた。

 「Aさん、三日前に亡くなったんだってさ」
 「へえ、いくつだったっけ?」
 「75歳」
 「え~、まだ若いのにねえ。なんで死んだの?」
 「肺ガンだって」
 「ああ、ずいぶんと煙草吸ってたもんね。Bさんと同じだ。」
 「違うよ。Bさんは脳梗塞だよ」
 
 これが高齢社会か・・・・。

 天気は西から下り坂。富士山は見えなかった。

111130_1235~01 高尾山から城山への道は、尾根とは言え、上り下りが続き、短い距離のわりには疲労する。
 しかし、山頂は高尾より断然城山がいい。
 広々として、眺めも東西に開けている。
 都心側の崖の突端に、新しく木彫りの天狗の像が立っていた。
 微妙・・・。

 昼食にする。
 ここで最大のお楽しみは、城山茶屋のなめこ汁(250円)。
 なめこと豆腐のたっぷり入った醤油仕立てのあつあつの汁をいただくと、実に幸福な気分になる。
 こんなにおにぎりと合うものが他にあるだろうか。
 おそらく、下界で同じものをいただいても同じ感動はないだろう。
 はるばる時間と体力かけて登ってきて、心晴れる眺めを見下ろしながらこその美味である。
 
 ああ~、登ってきて良かったあ~。

 下山はあっという間。
 高尾駅から送迎バスに乗って「ふろっぴい」で温泉に浸かる。
 湯上がりに生ビールをぐいっと飲み干して、無事山登りが終了。

 それにしても・・・。
 数年後には団塊の世代が定年を迎える。
 彼らもまたどっと山に繰り出すことだろう。
 アクセスの良い人気のある山はどこも渋滞になるかもしれない。
 静かな山歩きを楽しみたい自分のような人間にとっては災難である。

111130_1350~01 これもそれも高齢社会ゆえ、仕方あるまい。